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終幕:蛇足



『愉快なものだなぁ……五界ノ魔男(いつかいのまなん)

『ああ、そうだね。貴様と僕のどちらかの最期には相応しい夜だ』


満月の晩、銀髪の男は大鎌を構えて科学者と対峙していた。


『その中身はなんだ。壊していいのかな?』


背後に成人男性が培養液に浸っているのが見える。


『知らんな、これは私のでは無い。もう一人の研究者のものだからな』


勝手にすればいいと、これから死ぬかもしれない科学者は他人事のように振る舞う。


『何故人間の道を外れたんだアイリアス』


銀髪の男は鎌を振り上げて科学者に斬りかかる。


『愚かな問いかけだな。人間の道の内か外かなど、自分が決める事だ』


科学者は攻撃を受けて事切れる。

その晩、銀髪の男は汚れを落とす為に川へ向かった。


『もうしばらく私の遊戯に付き合って貰おう』

『……貴様!』


銀髪の男は川に沈んで絶えてしまった。



『は……はじめまして……』


まさか暗殺に失敗し、死して敵対組織に拾われるとは思わぬ誤算であった。


『はじめまして』


破棄のない人形、いいやまるで死体のような女が声をかけてくる。


『貴女たちのことは噂で聞いてから気になってたんです』


存在すら怪しい噂レベルの組織メルヒエド。

殺し屋ならば知らぬものはいないだろう。

まさか自分の組織と敵対している相手が組んでいたとは思わなかった。


『ここより大きな組織はいくつかありますが、その手がありながらどうしてここの元締めに従うのですか?』


彼女のような可憐で儚げな少女のいていい場所ではない。

少女はしばらく何も答えてくれなかった。


『……さっき僕を殺した相手のことを教えていただいたんです!』


教えられずとも、検討はついているのだが――



『いやなら、貴女が新しい殺子(さつき)になって死ぬだけよ』


クインディテは彼女を切り捨てると言う。やはり噂の通りに非常なボスだ。


『裏切り者がいる』


――やつは自分がそれである事を気づいているのか?。


『裏切り者は……』


自分が任務に失敗したせいで、彼女達はある男が作る舞台に巻き込まれる。


『そう、僕だ』


――この物語は喜劇か悲劇か、それは彼女にしかわからない。

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