第6階層、ステーキには黒胡椒とおろしにんにくと醤油。約7400文字。
【登場人物】
九藤晶……主人公。ヘタレで臆病な高校生。ひょんなことから現代と異世界と行き来できるようになる。魔法使い。レベル34。
スクレール……晶が助けた耳長族の少女。特殊な格闘術の使い手。晶には恩義を感じている。前衛拳闘士。レベル28。
ライオン丸先輩……獣頭族。主人公が異世界に来てからお世話になった人の一人。本名ドラケリオン・ヒューラー。前衛剣士。レベルは……すんごく高い。
この日冒険者ギルドで会ったのは、最近ガンダキア迷宮で目覚ましい活躍が噂される耳長族の少女、スクレールだった。
奴隷として会ったときは粗末な服を着せられてひどい状態だったけど、いまは身なりもちゃんと整えており、ボディコンシャスな薄手の青い民族衣装に、和服のような幅広の帯を巻いた出で立ち。両腕にはごついガントレットが嵌められており、殴られたら痛そうなことこの上ない。というか死ぬ。相手は死ぬだ。
銀の美しい髪は綺麗に手入れされており、やはりリスの尻尾のように先の方がくるんと丸くなっている。ぷにぷにした柔らかなほっぺに、可愛らしい小さな唇。種族特有の長い耳はピコンピコンと動き、目はいつも眠そうな具合に開かれているが、瞳の中には強い力が宿っている。
会うなり彼女は、何かの儀式のように、目の前でくるくるくねくね踊り出したのだが――
「それ、なに?」
「……なんでもない」
訊ねると、ぷいっと顔を背けられた。一体全体なんだったのかよくわからないが、可愛い子が綺麗な衣装を身にまとい、目の前でくねくねと動くのを見るのは、何とも眼福だった。
この前、師匠のせいで随分とひどい目にあったので、特にありがたい。彼女は僕のSAN値を回復してくれる唯一の存在だろう。
「……アキラこそ、何してるの?」
「拝んでるの。ありがたいものを目の前にしたときにするポーズ」
「……? そう」
「で、どう? フリーダでの生活は?」
「普通。食べて、学んで、寝る。里での生活から、育てるがなくなって、探して倒して狩って稼ぐが増えただけ」
「へぇ、ここに来る前も似たような生活してたんだ」
「うん」
スクレールはこくんと頷く。耳長族は人間から離れて生活しているため、自給自足のような生活スタイルになるのだろう。要は畑を耕す、獣を狩る、食料を探す等々があったのが、全部迷宮探索に置き換わったということだ。
「帰らなくても良かったの? 別に登録したからって無理にここで生活する必要はないんだし」
「いい。ここにいる理由もあるから」
「理由?」
「……なんでもない」
スクレールはそう言って、また先ほどのようにプイと顔を背けた。なぜ理由を聞いたら顔を背けられたのかはよくわからないが、どうも彼女は素直じゃないタイプらしく、会うたびいつもこんな感じなのだ。別に嫌われているわけじゃないと思う。たぶんだけど。
まあ僕のことはいいとしてだ。
「誰か仲のいい人とかは作った?」
「別に、そういうのは、いらない」
「でもほら」
今後を考え、フリーダで友人知人を作ることを勧めるが、
「大丈夫。人間は基本信じないから」
「……それはそれでなんかなぁ」
そこまで人間不信なのか。まあ、耳長族は人間のことをかなり嫌っているという。無論その根っこは奴隷関係の話になるわけだが、スクレールもそうなのだろう。というか一度奴隷にさせられたのだ、そりゃあ人間嫌いになっても仕方ないか。
「フリーダではギルドの職員の話をよく聞いてれば問題ない。……というか、フリーダで会うのは大抵冒険者ばかりだから」
「あー、そっか。そうだよね。どっちかっていうと会う人間のほとんどが胡散臭いのか」
「そう。一番厄介なのは勧誘」
「だよね。僕もしつこく勧誘受けてる魔法使いを見たことあるけど、あれはごめんだなぁ」
「……アキラはないの?」
「僕がフリーダに来るときは基本このカッコだから」
「だからそれで変な格好をしてるんだ」
「いや別に変な格好と思って着てるわけじゃないんだけど……」
確かに、魔法使いであることを誤魔化すための服装というのは正しい。魔法使いはみんな右ならえしてローブをまとっているため、この格好をしていれば誰も魔法使いとは思わないのだ。
だけど、この世界の者たちには、サファリルックはそれほど奇異に映るのだろうか。確かに地球の服だからそう見えるのかもしれないけど、珍しい服を着ている者はこの世界にもいっぱいいるのだ。自分だけ変な目で見られたくはない。
「ねえスクレール」
「スクレ」
「……?」
「そう呼んで。そっちの方がいいから」
「ああ、うんわかった」
略称というか、愛称か。そう言う風に呼んでいいということは多少なり気心を許してくれたということなのだろう。再びスクレと呼ぶと、彼女は何かに納得しているかのようにうん、うんと頷く。
「それで、スクレ。今日は迷宮に行くの?」
「さっき潜り終わって帰って来たところ。ここでダラダラ休んでた。アキラは?」
「僕はこれからステーキだよ」
「ステーキ? 食べるの?」
「そうそう。久々のごちそうターイム」
「私も一緒にいってあげてもいい」
……なんなのだろうか、この不思議な言い回しは。ま、それはともあれ、
「あそこ、結構高いよ」
これから向かうのは最上階にある高級レストランだ。ちゃんとお金を溜めないと行ってはいけないレベルの店であり、思い付きで行くと懐がひどい目に遭うこと請け合いの場所だ。「行こうぜー」「いいよー」の遊びに行く感覚的なノリで行ってはいけない場所である。
「アキラ、奢って」
「え? いや……さすがに二人分はちょっときついっていうか……」
男気が試される話だが、正直二人分の支払いはきつい。そうでなくても、この前大出費したばかりなのだ。二人分出せば今後の迷宮探索に支障が出るレベルになる。
すると、
「うそ。ちゃんと自分で出す」
「……大丈夫なの?」
「これだけあれば十分」
スクレールはそう言って、腰に下げた袋を見せてくる。中身を見てみろというような素振りをされたため、袋の中身を覗いてみると、金貨や銀貨が沢山入っていた。
「お、お金持ちなんですね、スクレールさん……」
「うん。いっぱい稼いだ」
スクレールは胸を張って、ドヤァと自慢げな顔をする。そういえば、耳長族としての実力をいかんなく発揮し、ぐんぐんとランクを上げているという話だ。新進気鋭の冒険者で、フリーダでは一躍有名となっている。
活動は一人。迷宮中層でも難なく潜り、冒険者ギルドが冒険者向けに出す依頼――迷宮任務をガンガンこなす、可愛らしい拳闘士。これで有名にならないわけがない。
いまだって、周囲からは遠巻きにだが、注目を集めている。僕と話していなければ勧誘がかかっていることだろう。話し終わるのをいまかいまかと待ち構えている感じの人間が、ちらほらいる。
「あと、これ」
ふと、スクレールが袋から数枚の金貨や銀貨を取り出し――袋の方を差し出してきた。
「これは?」
「この前のお金。少しずつだけど、返す」
「あれ? 僕、なにか貸したっけ?」
「……ハイグレードマジックポーションと核石のお金」
「ああ、あれ? あれは別に気にしなくていいよ?」
「アキラは返してくれって言った」
「無理のない範囲でっていうのも言ったと思うけど」
「いいからもらう」
「拒否したら?」
「許さないし殴る」
「理不尽」
スクレールは少し怒った様子で、袋をぐいぐいと顔に押し付けてくる。借りたままではプライドが許さないといったところか。気高い種族ゆえのものだろう。というか硬貨を顔に押し付けられると痛いですからやめてください。
ともあれ、二人でステーキを食べに行くことに決まったので、ギルドの正面ホールから一度出て、ロープや歯車で動くエレベーターに乗り、迷宮入口上に建てられた複合施設の最上階へ。
目的のレストランは目によろしくないキラキラ加減の相変わらずお高そうな内装で、庶民にはちょっと通いにくいタイプの店だ。だが、ここにずっと食べたかったものがあるのだ。入店のしにくさや、場違いさなんて、いまは正直どうだっていい。
テーブル席に案内され、二人で対面に座ると、店員さんがすぐに注文を取りに来たのでお目当てのものを頼む。
「白角牛のステーキを一つ」
「私も同じものを」
この白角牛のステーキ。金貨五枚――日本円に換算すると一枚だいたい五万円くらいするという馬鹿げて超高級なステーキなのだ。これ一つで、怪我が大概治るハイグレードポーションや魔力が完全回復&一時的な上限の上昇が見込めるハイグレードマジックポーションなど、超超高級アイテムが買えるのだから恐ろしいことこの上ない。
頼むと、やがて鉄板に乗せられたステーキが、じゅうじゅうと音を立てながら運ばれてくる。
「おー」
「これがまた美味しいんだよねー」
「初めて、楽しみ」
スクレールの目がステーキにガチで釘付けになっている。彼女は結構食いしん坊らしい。
ともあれこれが、僕のお目当てのステーキだ。塩で下味を付けられ、目に見えて濃厚そうなバターが置かれ、脇にはキノコや細かく切ったイモの付け合わせ、そしてソースもある。
だが、今日の僕には、そのソースは不要なのだ。
「うふふふふ、ついに僕の野望が成就される」
なんとも安っぽい野望だとは自分でも思うが――ともあれそう言いながら、ステーキに手を付ける前に、バッグからいくつかのビンを取り出した。
スクレールが不思議そうな顔をして除きこんでくる、
「それは?」
「黒胡椒とおろしにんにくと醤油」
「胡椒とニンニクは聞いたことあるけど、ショウユウー?」
「醤油ね、しょうゆ」
やはり不思議そうに首を左右にかく、かくと傾けている。当然だ。異世界には魚醤っぽいものはあれど、日本の誇るスーパー調味料醤油など存在しないのである。
ともあれ、僕がバッグから取り出したのは、ミル付き黒胡椒のビン(ギャバンではない)。業務用のおろしにんにく一キロ。醤油五百ミリ。その三つの神器である。
これが僕のやりたかったジャンキーな食べ方だ。まずアツアツのステーキにあらびきの黒胡椒をたっぷりと削りかけ、おろしにんにくをステーキの表面にこれでもかと塗りたくり、最後に醤油をぶわっとかける。ステーキの食べ方の定番だ。
ステーキのジャンク的汚染作業に取り掛かろうとしていると、手を加えていることに気付いたらしい支配人らしき人物が、無粋にも水を差してくる。
「あのお客様。当店ではもちこみはご遠慮いただいていまして……」
「ねぇスクレ」
「アキラの邪魔しないで」
「は、はははははい! では今回だけは特別ということで……」
僕の頭に配慮という言葉などすでに忘却の彼方。作業に集中しつつ、スクレールに声をかけると、彼女は支配人さんの顎先に拳をズンと突き出した。さすがの支配人さんもおしっこちびりそうになるくらいの殺気の前には、膝を屈するしかないか。逃げるように退散する。
やがて黒胡椒とにんにくの匂いが周囲に広がり、最後に鉄板で熱された醤油が食欲を暴走させるかぐわしい香気を発する。じゅわぁあああがヤバい。音も香り立つ匂いも。
「ごくっ……」
この世界に胡椒はあれど、こんな贅沢な使い方などできないだろう。にんにくも、手に入れることはそう難しくないかもしれないが、こういった使い方はそうそうしないはず。もちろん醤油など、いわずもがな。
「ふ、ふふふふふふ……やった、やったよ、僕ついにやっちゃったよ……」
こんなのは、料理に対する冒涜的な行為だろう。出された状態を完全改変したのだ。シェフをすべて否定したことになる。だけど、だからと言って、やっていけないという理屈にはならない。
ふと、横を見ると、スクレールが切羽詰まった様子で見つめてきて、
「あ、あのあのあのあのあのあの……」
「スクレもする?」
訊ねると、彼女は頭を縦にぶんぶんと振る。完全にドラムのヘッドバンキング。三種の神器を渡すと、彼女は見よう見まねで、ステーキの表面を塗りつぶしていく。
気付けば、醤油の暴力的な香気に誘われて、周囲の客の視線も釘付けになっていた。こんな食べ方なんてしたことないからだろう。まだ上品なマナー自体、未熟な世界だ。金持ちの来るレストランなんて、どれだけ豪華な食事を豪華に食べることができるかってだけだし、香辛料をこれでもかと使っているいまの僕たちの方が、彼らには金持ちに見えるのかもしれない。
「いただきます」
ステーキの焼き加減は個人的に最もいいと思われるミディアムレア。中心にほんのわずか赤が残り、そこをピンクが取り囲み、外側はよく焼けた色という三層構造。三センチもあるかというぶ厚いステーキ肉をナイフで切ると、異世界のシェフでは閉じ込めきれなかった赤身汁が、じゅわっと溢れてくる。血とは違う牛のうま味が最大限に詰まったその汁が鉄板に流れると、なんとも言えない香りがたちのぼった。
ステーキを一口大に切って、醤油とうま味汁の溢れた鉄板に泳がせ、口の中に放り込む。
「へふっ」
あまりにおいしすぎて、おかしな笑い声が出てしまった。ヤバい。マジヤバい。そんな語彙力レベル最低ランクの言葉しか出せなくなる。
「ふああああああああああああああああああ!!」
「へ?」
突然発せられた大きな声にびっくりして隣を見ると、スクレールが長い耳をぴこんぴこんと動かしてそのおいしさに感動していた。ステーキのジャンキーな食べ方が彼女にはよほど衝撃的だったのだろう。耳長族は感情の起伏で耳が動くと言うので、跳ねているのは興奮しているときの証拠だと思われる。
ともあれ彼女は一瞬天に昇ったかと思うと、すぐに正体を取り戻し、夢中になってステーキを食べ始める。
「お、おきゃ、お客様! その質の良い胡椒とペースト状になったニンニクと暴力的な匂いを発するソースは! い、一体どこで!」
「あ、え、これの出どころはその、言えなくてですね……」
支配人さん再びの登場。店の奥からダッシュ出てきて、詰問するかのような勢いで訊ねてくる。そりゃあ気にもなるだろう。胡椒はたっぷり、ニンニクたっぷり、しかも未知の調味料とくれば興奮を禁じ得ない。ふんすふんすと鼻息荒い。
雰囲気に圧され言葉に詰まっていると、スクレールが興奮気味に話しかけてきた。
「アキラ! アキラ! これ、おいしい! すごい!」
「やっぱりおいしいよね。誰がなんと言おうとこれがステーキの一番おいし食べ方だと僕は思うな」
こういったジャンキーな食べ方をすると、貧乏舌などと言われるかもしれない。だけど、ジャンクは人間にとって本能なのだ。逃れられない宿命なのだ。
「ショウユウー、ショウユウー」
どうやらスクレールは醤油の味が気に入ったらしい。ステーキだけでなく、キノコとイモの付け合わせにもかけている。
「スクレ、そこに残ってるバターを混ぜるんだ……」
「こう?」
「そう。それで醤油バター味の完成だ」
「は、はふっ!? ふはわっ!?」
醤油とバターで味付けされたキノコとイモの味は、もはや言うまい。口に入れたスクレールが驚いたような顔をしている。
うまいおいしい言いながら、二人でステーキに夢中になっていると、ふいに入り口の方で、
「いらっしゃいませ――ひっ!?」
悲鳴にも似た上擦った声が聞こえたため、そちらに気を配ると、殺気にも似た強烈な野生のオーラが感じられた。それに驚きつつも視線を向けると、ものすごい勢いでライオン丸先輩が近づいてくる。こっちに。
「ら、ライオン丸先輩……?」
血走った目とらしくない雰囲気に、一抹の不安を感じていると、
「クドー……」
ガシッ!
「ひぃっ!? 食べないで! いくらここがお食事処だからって僕は先輩のお食事じゃないですから!」
「だからいつも食わんと言ってるだろうが。お前はいつになったら俺に慣れるんだ」
無理ですきっと一生慣れません。だってライオンだもの。
「ど、どうしたんですか先輩? いつもと雰囲気が」
「ああ。ちょうど近くに来たんだが、その暴力的な香りが俺の鼻を刺激してな」
「先輩を呼び寄せてしまったと」
「うむ」
ライオン丸先輩は頷くと、調味料の入った瓶に目を向け、
「この香りのもとはそれか」
「は、はい」
「クドー! 後生だ! 俺にその調味料を全部売ってくれ! 金に糸目は付けん! いくらでも出す! 頼む!」
ガオーという吼え声のように発せられた先輩の頼みに、僕はちょっとビビりながらも頷く。
「え、ええ、ええ。先輩にはいつもお世話になってるんで全部差し上げますよ」
「本当か!」
「ちょっと待って」
何故か、スクレールが待ったをかけた。それに、二人して顔を向けると、
「あと一皿頼むから、その分だけちょうだい」
「うむ構わん。一向に構わん」
ライオン丸先輩は快く受け入れた。するとスクレールはすぐにステーキを頼み、別のさらに必要な分の調味料を取って残りをライオン丸先輩へと渡した。
「これがこのステーキをさらに昇華させるものか……」
そう言ったライオン丸先輩はふと醤油を指に垂らして口に入れた。
「!?!? ……これは!?」
「どうです?」
「ああ、美味いぞ……」
「ショウユウーはおいしい。何にかけてもおいしい」
「うむ。塩の味とはまた違った味わい深い塩辛さが堪らないな」
そう言って機嫌良さそうに喉をゴロゴロ鳴らす先輩。猫が醤油とか塩分すごすぎて普通ダメだが、たぶん異世界の不思議人種だから大丈夫だろう。なんでも深く考えてたら、この世界では過ごせないのだ。
「ステーキを頼む! ひとまず5皿だ! 大至急頼むぞ!」
さすがはライオン丸先輩だ。一度に5皿頼むとか豪快すぎる。しかもひとまずとかどれだけ食べる気なのだろうか。
やがて出てきたステーキに、ライオン丸先輩は黒胡椒を削りかけ、おろしにんにくを塗し、醤油を垂らした。
そして、ナイフで切ることもせずに、フォークやナイフで刺して、野獣よろしくかぶりついた。
がぶりと噛み付いて、暴力的に引きちぎって、咀嚼する。まさにライオンスタイル。
「くぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお! なんという至福! なんという味覚の暴力! 俺の口の中はいま蹂躙されているぅううううううううううううううう!」
先輩はすごい声で叫び出した。それくらいジャンキーな食べ方は衝撃的だったのだろう。
「なんだこの上品さのかけらもないクセに恐ろしいほど美味い食い方は……お、俺の野生が呼び起されそうになるぞっ」
そう言いながら、二枚目のステーキに取り掛かる先輩。
だが、それがジャンクの魅力だ。こういっては悪いが、下品、身体に悪い、だがそれゆえ、強烈な魅力があるのだ。
ライオン丸先輩の言葉を聞いて、スクレールもうんうんと頷いている。そして二枚目に調味料を塗りたくり、頬張り、すごいにこにこしている。幸せそうで何よりだ。
「……次はわさび醤油かな」
そんな呟きを漏らした途端、横にいたスクレールの目がぎらりと光ったような気がしたのは、たぶん気のせいだろう。たぶん。
メシテロ会です。深夜に読まないようお気をつけください。