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第28階層 階層によっては救助っていうのも一苦労でして……そのいち

【登場人物】


 九藤晶……主人公。迷宮にレベル上げに来ているはずなのになぜか最近はあまりレベル上げが出来ていない。この頃、自分に対する妙な呼び名を良く聞くようになったようなそうでないような。


 スクレール……耳長族の少女。最近ではメキメキと頭角を現しており、いろいろなチームから一目置かれ始めている。『銀麗尾(シルバーテイル)』の通り名を持つ。最近では晶との距離も縮まっているのかそうでないのか。


 アシュレイ・ポニー……冒険者ギルド七番受付の受付嬢。赤い髪を小さなポニーテールにしている。晶とはうまく関係を築いている。冒険者の状態を見抜く眼力はなかなかのもの。




 とある日の午後のこと。冒険者ギルドにて……。


 この日の午前中は師匠に付き合わされて、一緒に迷宮に潜った。

 今回は師匠と一緒なのにもかかわらず、意外なことに潜行場所は低階層で済んだ。本当に意外だけけど。

 もちろん環境的にもモンス的にも嫌なところじゃなかったから、午後も余裕綽々で体力あり余りってるくらいには元気で、正面ホールに戻っても「さあもうひと潜り行っちゃおうかなー」って言えちゃうほど、心の中で恒久的平和を願わなくてもいい程度には何事もなかった。



 いつもはヤベーところかヤベー奴がいるところに強制連行されて、なぜかほとんど師匠にひいひい言わせられる羽目に遭うのに、だ。何もなさ過ぎて実は師匠のフリをした偽物なんじゃないかって思ったうえ、ついつい口にしてしまったほどだ。



 口にしたあとのことはどうなったって? うん? そう言えば思い出せないね。でも覚えてないってことは印象に残るようなことは何もなかったってことだよ。そう信じたい。



 でも、迷宮探索は本当に楽なものだった。これはなにか良くないことの前触れだろうかとか考えちゃうくらいには楽勝楽ちんな迷宮探索だったからね。



 そんなお久しぶりの師匠との迷宮探索が終わったあと。

 師匠は午後から行くところがあるというので、帰還前にその場で解散。時間的にもまだまだ余裕だったので、一度大ホールでに戻ってから、さて浅いところをもうひと潜行しようかなと画策していたところなんだけど。



「むー」



 いま僕の前には、むくれ顔のスクレールがいる。

 ぷにぷにした両のほっぺたが、わずかに盛り上がっているといった具合。求肥(ぎゅうひ)みたいでとても柔らかそう……なんだけど、そんな風になにかお気に召さないことでもあったのか、怒っているような顔をして僕を見上げていたりする。



 はて、僕が何かしてしまったのだろうか。

 そんな風に考え、これまでの経緯を辿ってみる。



 迷宮から帰ってきて。


 アシュレイさんに報告して。


 少しの間椅子に座ってまったりして。


 食堂の復刻メニューに群がる怪着族のみなさんをボーっと眺めて。


 ケモ耳や尻尾の具合はどうだとか比べ合いをしている尻尾族さんたちを見て。


 これから迷宮に潜るっていうスクレールとばったり会って。


 僕も迷宮に潜り直す前に簡単な準備を進めていた折だ。



 いつものように話していたスクレールが、突然何かに気付いたように僕の身体に鼻を近付け、くんくんし始めたのだ。



 ……この前の子ウサギたちもそうだったけど、最近やたらと匂いを嗅がれる気がしてならない。僕ってそんなに匂うのだろうか。お風呂も毎日入っているし、服だって臭くないはずなのに。



「僕匂う?」


「匂う。他の匂いがする」


「他? 他ってなに? どんな匂い?」


「むー」



 聞いてもむくれた唸り声の音量と頬のふくらみがアップするだけで、全然答えてくれない。

 なんだかよくわからないからこっちは眉をひそめるばかりだ。



 その一方で、スクレールさんはやっぱりむくれたような妙な唸り声を上げている。

 やっぱり何か匂うのだろうか。午前中の潜行では汗は冷や汗しかかいてないし、匂い移りをするような場所にも行ってない。師匠の激しいレッスン(卑猥な意味ではない)もなかったはずだ。

 そんなことを考えていた最中――



 ぎゅむ。



「ふひぇ!?」



 突然、スクレールがくっ付いてきた。

 くっ付く、いや、これは抱き着くだ。椅子に座っている僕に覆いかぶさるようにして抱き着いてきたのだ。色んなところの感触が伝わる。柔らかい部分とか柔らかい部分とか柔らかい部分とか。うん、全部柔らかい部分しかない。さすが女の子。押し付けられている部分の主張が特に激しい。



 とかなんとか考えている場合じゃない。



「あ、あのあの!? スクレさん!? 突然いったいどうされたんですか!?」


「別に、なんでもない」


「なんでもないってなんでもないわけないでしょあなた突然抱き着いてるんですよ!」


「なんでもない。だからなんでもない」


「ちょっと! どっかの政治家さんみたいな構文を使って否定するのはヤメテ!」



 僕が切羽詰まった叫び声を上げても、スクレールは離れてくれない。いや別に離れて欲しいわけじゃなくてなんていうか心の準備と言いますかそんな感じのものが整っていなくてですねあんまりにも不意打ち過ぎて頭パニックになっているというかですねそんな感じなんですよね。



 すりすり。



「ちょっ!? ふおっ!?」



 すりすり。



「や、やばいですよ!? 僕のどこがヤバいと言うのは僕の口から言うのは大変憚られることではございますが!」



 すりすり。



「お、おおぅ…………」



 もうね、硬直だよね。だってスクレールさん、密着した状態で身体を擦り付けてくるんだもの。そりゃあもうお元気におなりにあそばせるってもんです。どこがってのは敢えて口にすることはしないんだけれど。下手に動くとほんとにマズい。



 僕がピシッと彫像のように固まっていると、スクレールは満足したのか離れてくれた。

 そして、なぜかやり遂げたというような表情を見せる。



「これでいい」


「いまので一体何か変わったの……」


「匂いはしなくなった」


「って! 匂い付けしてたんかい!」



 まさかやっていたのはそんなことだとは。マーキングか。

 スクレールは咎めるような表情を見せる。



「他の匂いはダメ」


「ダメってどんな匂いなの……」



 うーん。スクレールの行動もそうだけど、原因がわからんと、僕もどうすればいいのかわからない。そのうちおしっこ引っ掛けられるんじゃなかろうか。やめてよ出会って五秒で放尿プレイなんて上級者向けプレイ。変態番付に名前が載っちゃうとかほんと勘弁して欲しい。僕のレベルじゃ到底たどり着けない領域にある。



 というかスクレールは一体なんの匂いを上書きしたのか。

 それはともあれ、スクレールは不思議そうか表情を見せる。



「獣頭族と尻尾族はよくやってるけど?」


「いや、確かにあの人たちはそれっぽいことしそうだけどさ」


「嫌?」


「べ、べべべ、別に嫌ってわけではなくて……」


「じゃあいい」



 スクレールがそう言うと、またくっ付いてすりすりした。

 ……うん。僕も嫌じゃなくてむしろ良くてスクレもご機嫌でwin–winだから全然いいことではあるんだけど、前屈み的にしばらく立ち上がることができなかったということはだけは報告しておこう。

 耐性ないって? 仕方ないだろ僕は健全な高校生だぞ!





 スクレにすりすりされたあと、再度迷宮に潜るために受付に報告しに行った。



 僕が窓口に姿を見せると、不必要にニコニコしたアシュレイさんに出迎えられた。

 もうね、嫌な予感しかしないよねこんなの。いまなら僕も予言者になれる。実力はメンタリストとか占い師レベルだろうけど。よくないことが起こるに一日だけ外出していい券を賭けてもいい。地上ではまったく価値のないものなんだけど。



「クドーくん、クドーくん」


「アシュレイさん。ちわーっす。さっき会ったばっかりですけど」


「今日は本当に機嫌よさそうね」


「いえ、そんなことないですよ。すごい悪いです。もう最悪って感じです。いまにも吐きそうなのをどうにかこうにか堪えている最中なんです」


「……ねぇ、なんでそんな嘘つくのよ。体力的に余裕だからもう一度迷宮に潜りに来たんじゃないのあなた」


「さすがアシュレイさんよく見てる」


「当たり前よ。それが仕事なんだもの。それで?」


「だってアシュレイさんが、突発的に機嫌の話にもってくるなんてなにかあるに決まってるじゃないですか。絶対機嫌良いことに付け込んでなにか無理難題ふかっける前振りですよ前振り。迷宮任務とか提出物とか。何かお願いあるんですよね?」


「そうなんだけど」


「さよなら」



 アシュレイさんの返事を聞いた僕は、ノータイムで踵を返した。回れ右。もはやここに留まる理由は一つとしてない。一目散に逃げ帰るべきだろう。何が起こるかわからない以上、冒険者ギルド大返しは必須の策である。巻き込まれ系キャラなんてやってたら命がいくつあっても足りないのだ。僕にはそんな主人公的なご都合主義的な強運は存在しないし。



「あのね、ちょっとお話だけでも聞いてよ」


「嫌です嫌です。聞いたら最後、話を聞いた以上従ってもらう。拒否するというなら死だ的なセリフが飛んでくるに決まってるんだ。僕知ってる」


「そんなことないから」


「そう言って人を騙す詐欺師がこの世にどれだけいると思ってるんですか! お話だけだから。すごい人がいるから一緒に会いに行こう。ここだけの話あなただけにお教えする儲け話が――で騙された人はそれはもう星の数くらいいるんですからね!」


「私を詐欺師扱いしないで。なにも私はクドーくんを騙すつもりはないのよ? 今どうなってるかを伝えるだけだから。ね?」


「あーもうそうやって人の良心に付け込むんだからー」



 あくまで問題ごとを聞かせようというスタンスを崩さないしたたかなアシュレイさんを前にして、僕は聞こえよがしに大きく息を吐いて、ひどく深刻そうな顔を作った。



「アシュレイさん」


「何かしら?」


「僕はね、好きなことして生きていたいんですよ。自由で、なんというか救われてなきゃいけないっていう有名なグルメ漫画のアレですアレ。わかりますよね?」


「なにがわかりますね? よ! わからないわよ! それに自分だけ特別みたいに言わないで! そんなのみんな同じよ! 私だって好きなことして生きていたいわ! 働かなくてもお金が入ってくる生活したい!」


「じゃあそうしましょうよ! そしたらみんなハッピーです!」


「できるわけないでしょ! 社会生活舐めないで!」



 仕方ない。僕は学生だ。社会生活までまだまだ時間的に余裕がある。



「クドーくん。お願いだから聞いて。話が進まないから」


「…………冗談じゃなくてガチで真面目なお話なんで?」


「ええ」



 やだ。もうマジで帰りたい。ここでぽぽぽぽーんとさよなライオンさせてください。



「あのね。ある冒険者の一人が迷宮で遭難しちゃったのよ」


「そうなんですか。いつものことですね」


「ええ」



 僕の渾身のギャグは素っ気なくスルーされた。いや、うん、翻訳の問題なんだろうけどね。僕がギャグを重ねても通じないことがよくある。いやこの場合通じるのがおかしいんだけどさ。



「っていうかなんでみんなそんなに遭難したがるんですかね? 迷宮なんてそんなよく遭難するような場所じゃないはずなのに」


「クドーくんクドーくん。それ上級者基準の物言いだから」


「上級者ってそんなバカな。僕と同じくらいの歳で余裕で潜ってる人だっているでしょ。スクレールとかリッキーとか、ちょっと年上だとリンテさんとか。ミゲルなんかはチームリーダーで全員の探索管理までしてるんですよ?」


「そういう飛び抜けた人たちを例に出さないで。普通はその十倍は帰って来れないんだから」


「……やっぱ生活懸かってると焦っちゃうんですかね」


「そうよ。ここはそんな人が大半なんだから」


「じゃ、今回の人も?」


「ううん。今回の人はそういう人じゃなくてね」


「あ、違うんだ」


「ええ。生活に困らないような人で、道楽で潜りに来たの」


「あー、うん。僕も似たような人間ですけどはっきり言って救いようがないですね。さすがに自己責任問題ですよその辺り」



 それはダメだ。この前のデュランくんみたいな身の上なら、ちょっと頑張っちゃおうとか思うけどさ。道楽で潜りに来たんだったら他の人のご迷惑になっちゃいけない。

 僕だって自己責任っていつも言ってるし、絶対に無茶はしないし。師匠がいるときはまあ別なんだけど。救助に回される人たちに迷惑なんてかけたくないよ。



「ともかくそれで、救助隊のメンバーを募っていると」


「正解。いまのところ四チームくらい」


「珍しいですね。いくら裕福ーとか資産家ーとかでも迷宮に入った冒険者(ダイバー)一人にそこまで集めるなんて」


「それがね。ちょっと遭難した人がいろいろあるのよ」


「あ、もしかして上級国民的なあれですかね?」


「なにその上級貴族を改造したみたいな言い回しは……まあ、そんなところよ。フリーダの議員さんの親戚なんですって」


「うーん。そういうの僕はあんまり気が進まないなぁ……」


 だってそんなのめんどくさいことになるのは目に見えているもの。助けられなかったら僕らの責任になるし、助けたら助けたで「なんでもっと早く助けに来なかったんだ!」とか、言われてどっちにしろ責任おっ被せられる羽目に遭うのだ。そんな映画で貧乏くじ引く主人公を僕は一体どれだけ見てきたことか。まあ大半はそんなことを言った人が、因果応報とばかりにひどい目に遭うかお亡くなりなるような目に遭うかして、気持ちよく終わるんだけれど。



 それに、だ。途中で助けるのはまあいいとしても、わざわざ助けに行くのは何か違う。知り合いだったらその限りじゃないけれど、僕は他人のために命掛けたり労力を注ぎ込める人間ではないのだ。そういったものは全部ヒロちゃんに任せてある。



「そもそも四チームもいれば十分なのでは? 正直過剰なくらいでしょ?」


「ひとチームあたりの数が多くないし、それに遭難した場所が深いところなのよ」


「深いって、どこですか?」


屎泥(しでい)泥浴場(ぬたば)


「え? あっ……いやー、そこだともう手遅れなのでは? ガス噴出地帯とか行っちゃってたら基本終わりですよあそこ」


「救助要請に来た仲間の冒険者(ダイバー)からそういうところには立ち入っていないって聞いてるから」


「一応は気を付けて動いてたってことですね」


「ええ。そうみたい」



 でも、さすがに『屎泥の泥浴場』はヤバいのではないだろうか。場所的にも時間的にも。



「その遭難組のお仲間さん、大ホールに着いたのはいつ頃なので?」



「ついいましがたよ。それで、緊急で潜行の実績のある冒険者(ダイバー)を集めてるの」


「そういうところに行くのちょー余裕そうな高ランクの方々は?」


「ドラケリオンさんとシーカー先生はちょうど出払ってていないし、他の人は割に合わないとか、潜った奴の責任だって言って基本パス。準備の問題もあってダメな人もいたわ」


「あそこは準備してないと潜りたくないですからね。いくら多額の報酬が出るからって言っても準備もなしに行きたくはないですよ」


「だからちょっと無茶してね? 迷宮任務扱いにして受付嬢みんなでどうしてもって人に強権(アイアンハンド)使ってるの」


「えぐーい」



 強権(アイアンハンド)。これは冒険者(ダイバーズ)ギルドの受付嬢が持つ強制命令権のことだ。受付嬢権限で担当冒険者(ダイバー)に無理やり言うこと聞かせるって言えばいいかな。まあよっぽどのことがない限り飛び出さないものなんだそうだけど。まさかそんなものまで使って集めるとは思わなかった。



 しかし、それでもやっとなんとか集められたのが四チームだけとは。普通、迷宮任務にすればみんな、芥川龍之介のお釈迦様的な蜘蛛の糸並みに我先にって飛びつくけど、遭難場所が遭難場所だからだろうね。あそこは誰だって準備なしには行きたくないもの。二次遭難の確率が他の階層とダンチで高いのだ。アシュレイさんアイの「蓄積してる」ポイントがちょっとでも入ったら、潜行を止められるくらいの危険地帯。



 ……そう、あそこは『危険地帯』なのだ。『迷宮』って字面が邪魔してるけど、あそこは僕ら現代人視点で見れば立入禁止エリアに相当する。毒性を示す骸骨のマークとかバイオハザードを示すマークとか化学兵器のマークとかをごっちゃにさせたハザードシンボルを新しく作って、そこら中に立て看板置いとく必要があるくらいには即お陀仏という理不尽さがあるのだ。



 かすかな嘆息が聞こえてきた。



「……正直みんなこんなことには使いたくないんだけど、ギルドとしては有力な議員さんとぶつかるのは極力避けたいらしくて」


「社会ってツライですね」


「何言ってるの。あなたももうその歯車の一員でしょ」


「いえ、僕はいつでも逃げられますから」


「いいわねそういうの。うらやましいわ」


「あ、なら僕の人生代わります?」


「絶対嫌よ。あなたの人生絶対ハードだもの。そんな顔して実は何回かシャレにならない感じで死にかけてるでしょ?」


「えへへ」


「……否定しなさいよまったく」



 そんなことを言われてしまった。まあ当たらずとも遠からずである。

 あ、それ師匠とは関係ないことなのは師匠の名誉のために明言しておこう。



「まあそれでね? いつでもどこでも突発的に行ける準備のあるクドーくんが必要なのよ」


「え? 僕がですか? 準備なんてまったく全然なんにもしてませんよ?」


「クドー君嘘ついてるときとかほんとわざとやってるんじゃないかってくらい露骨よね」


「…………」


「…………」



 アシュレイさんのジト目が痛い。そんなに僕の演技はアブラナ科の白い根菜類なのか。



「…………まあ用意はしてますけども」


「さっすが! 冒険者(ダイバー)の鑑!」


「調子のいいこと言ったって僕には効きませんからね?」


「ほんとクドー君、こういう話になると急にドライよねあなた。なに? 私もさっきのスクレールちゃんみたいにくっ付いてすりすりしたらいいわけ?」


「そそそそそそ、そんなことでホイホイ言うこと聞くようになるわけななななななないじゃないですか! 僕を見くびらないでくださいよね!?」


「……ねえちょっと、いくらなんでもわかりやす過ぎない?」


「アシュレイさんは僕をなんだと思ってるんですか!? 年頃の少年ですよ!」


「あ、うんそうね。そうなるわよね。ごめんね」



 そうだよ。っていうか僕じゃなくてもそんなこと言われたら心揺れ動いちゃうでしょ。むしろコロッとやられてしまう人間がどれだけいることか。なんだか「察した」って目で見ないでお願いだから。



「そもそもそんな寄せ集めみたいな感じで大丈夫なんですか? 知らない人ばっかりで行ったら、絶対問題起きますよ? 特に僕はランク低いし、間違いなくトラブルありますって」


「背に腹は代えられないわ。それにクドーくんなら大丈夫よ」


「どこにそんな根拠があるんですか。僕なんかしがない木っ端冒険者(ダイバー)なんですよ」


「どうしてあなたがそんなこと言ってるのか私はいまだに疑問よ……いい加減自己評価上げたら?」


「僕は小市民、木っ端冒険者(ダイバー)でいいんですよ。そういう主人公的なムーブは他の強くてかっこいい人がやってくれますから。主に先輩とか先輩とか先輩とか」


「ドラケリオンさんしかいないじゃない……」


「先輩はみんなのヒーロー。オーケー?」


「それはわかってるけど」




 …………そんなこんなで、まあ結局救助隊に参加することになったんだけど、やっぱり不安は募るばかりだ。



「はーあ……なんていうか船頭多くして船山に上るになりそう」


「面白い言い回しねそれ。でも、そんな気にしなくても大丈夫よ。ちゃんと選びはしてるから」


「わかりました。アシュレイさんを信じます」



 その発言を、早々に後悔しそうになったりならなかったりなんだけど。




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― 新着の感想 ―
[一言] >「ほんとクドー君、こういう話になると急にドライよねあなた。なに? 私もさっきのスクレールちゃんみたいにくっ付いてすりすりしたらいいわけ?」 アシュレイさん、「くっ付いてすりすり」もいいで…
[良い点] >何が起こるかわからない以上、冒険者ギルド大返しは必須の策である クドーくんの、このような独特の言い回し、面白くて私は好きです(笑。 今回のは、羽柴秀吉の、「中国大返し」に準えているので…
[気になる点] >「ほんとクドー君、こういう話になると急にドライよねあなた。なに? 私もさっきのスクレールちゃんみたいにくっ付いてすりすりしたらいいわけ?」 >…………そんなこんなで、まあ結局救助隊に…
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