声だけかよ!
え、なんで???
俺はビビった。恥ずかしげもなく固まった。
だけどよく考えて欲しい、部屋を出て、戻ると人がいるってどんな恐怖だよ。そんな事前に覚悟してるわけじゃあるまいし、真面目に謎でしかない。そして分からない事こそ恐怖だ。
幽霊だったらどうする??攻撃してもきかねーんだぞ?そもそも向こうが人間だとしてなんの用意(武器とか武器とか武器とか)も無しに人の部屋に不法侵入するか??
詰んだと思った。相手が背を向けてるから逃げようと思えば逃げれたのかもしれない。だけど体が動かない。人間あれだな、理解不能な出来事にあうと取り敢えず固まるんだな。
そして奴は動いた。
「どぉーもっ↑はろはろ〜〜こ ん に ち は ♡ところでぇ〜君は〜一体誰かなぁ〜???」
「は?」
声は可愛いかった。奴から見て後ろにいた俺に向けて体を動かしたはいいが、そのおかげで相手の容姿が俺にも把握出来た。
が。
これは知らないままがよかったのかもしれない。実は可愛い声を聞いた瞬間俺の心臓はどっきんどっきんしてしまった。こんな可愛い声の子に殺されるのかな…あーそれもありかもしれないむしろご褒美かもしれないなんて一瞬でも思ってしまった自分を奴の姿を見た瞬間後悔した。
ほんの0.数秒前の自分を殴り飛ばしたい。
そこに居たのは可愛い声を持つ筋肉ムキムキ(俺よりある)のいつの時代だよって思える程の厚化粧を施したオネェだった。