再婚と再会
仕組まれていた恋心。
それはとても簡単なこと。
愛に飢えた男女を一つにしただけ。
これで彼女は僕から逃げられない。
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「父さん、再婚しませんか?」
「……なんだ急に、」
自宅のソファーに座りパソコンに向き合う父に
唐突に投げつけた言葉。
「父さんにピッタリの女性を見つけたので。つい。」
「………」
一瞬、動きが止まる。
その一瞬を僕は見過ごさなかった。
「今度、会わせるから日曜予定空けといてくださいね。」
「お前、勝手に…」
即座にリビングを離れ言い逃げを決め込む。
父は案外、律儀な人なので約束通り
日曜の予定を空けるだろう。
僕は以前、”偶然”出会った女性に電話した。
「もしもし、元日田ですが。
お久しぶりです。”椿木さん”」
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約束の日曜。
結果は勿論、成功だった。
母と父は元々、親に決められた結婚で
そこに愛はなかった。
僕を産んで他の男と出ていった母…
仕事中毒な父…
だから僕も愛を知らなかったのかもしれない。
彼女に出会い愛を知った今では
どうでもいい話だ。
父は、自分を愛してくれる優しくて
家庭的で子供が好きな女性が似合う。
一方、ギャンブルに金好きなDV男に
悩まされた家庭的な優しい女性。
自分の子供を誰よりも愛している愛情深い人。
そんな女性には、愛情深くて優しくて不器用で
だけど家族を絶対に守る男性が似合う。
二人は出会って恋に落ちるのは早かった。
両方の子供が納得すれ
ば結婚しようという話しになった。
僕は勿論、賛成だった。
僕の目的は彼女との結婚ではないからだ。
彼女と長い時間共にいたい。
それだけだから。
母となる女性の子供も反対しないだろう。
何故なら彼女はとても優しい人だから。
自分の為に苦労してきた母の幸せを拒んだりしない。
僕の顔を見たらきっと感激のあまり
花が咲くような笑顔を向けてくれるでしょう。
もしかしたら、僕と将来結婚出来なくなって
泣いてしまうかも知れません…
大丈夫ですよ、僕は例え義兄になろうと
貴女を愛することに変わりありませんので。
嗚呼、楽しみだ。
沫が大好き過ぎて一緒にいれるなら
形はなんてどうでもいい新…
新は、兄妹になっても
平気で沫に手を出す(性的な意味で)。
沫は沫で新に手を出す(物理的な意味で)。