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高校生とランドセル  作者: 湊つぐむ
7/13

再婚と最悪な再会

仕組まれた再会。


「沫ちゃん、あのねお母さん再婚しようと思うの…」


母が急に真剣な顔で言うものだから驚いた。

驚いたけど、今まで沢山苦労してきた母の幸せだ。

私が拒絶出来るはずがない。


「そうなんだぁ、おめでとーお母さん!」


「…嫌じゃないの?」


「その人、お父さんみたいな人…?」


それだったら絶対やだ。



「いいえ、とても優しくて

私たちを守ってくれるような人よ。」


母の目は穏やかで慈しむように優しく笑っていた。


(…嗚呼、これが愛することなんだろうな…)


私には無い感情だ。

愛を知った母を酷く羨ましく思う

反面、これでようやく母が

幸せになれることを心から喜ぶ自分がいた。


「それならいいよ。」


(…でも、)




(私の存在は邪魔じゃないのかな…)



そんなこと母に言えるわけもない。

その言葉は喉で止まり口にすることは無かった。



(…どんな人なのだろう。子供いるのかな。…仲良く出来るかな…)




期待と不安で胸いっぱいになった。




_______________________





週末、お父さんとなる人と会う約束の日…


私はお母さんが小学校の

入学式用に買ってくれた正装に着替えた。


お母さんもいつも綺麗だけど

今日は今まで見た中で一番綺麗だった。



(正装って…どこで会う約束してんの?)



レストランって言ってたから近所のファミレスだと思ってた…

…それが間違いだった。



(何これ)



入口の前には係員、

入ることを躊躇するレベルの外観。


間違いなくボロアパートに住む親子が入る店じゃない。


(え、うそ、ここですか、ここに入るんですか?)


母が緊張気味にゲートを通る。


(…帰りたい。切実に。)



平凡で暖かい家庭を夢見てたのに…

さよならドリーム…


…逃げちゃダメかな…。



(というか、こんなレストランで待ち合わせって

どんな人ですか?!政治家?芸能人?)


そんな人と仲良くなれるスペックは私には無い。


(どんだけ金持ちなの、普通のサラリーマンとかと思ってたのに、

てかお母さんはどこでそんな人と出会ったの?!)



実を言うと相手がどんな人か全く聞いてない。

会えば分かるしいいやと思って…


……こんなことなら会う前に聞いとくべきだった!!



「相変わらず、突然の出来事に弱いですね?」


不意に背後から声をかけられてビクッとなった。

その声は記憶に新しい…

…というか忘れられるわけない。


振り返るとそこには嫌な笑みで笑う

いつぞやの変態がいた。


(…げ、最悪。こんな所でも会うなんて、ついてなあい。

今日は厄日かしら?)



「今日から宜しくね新くん。」


「こちらこそ、由美子さん。」



(……え、)



何故、母がコイツのことを知っている?

何故、コイツが母のことを知っている?

今日からよろしく?


今日は誰に会いに来た?




(……コイツがお母さんの好きな人…?)



チクッ)



(……?)



胸が痛くなった。

なんだろう?こんなにコイツが父親になるのが嫌なのか?

確かにこんなロリコンが好きなんて

母の男運の無さと趣味の悪さには引くけど…

遂には心臓までもが拒絶するとは…



「お母さ…」

「さぁ、行きましょう。父も向こうで待ってます。」


「拓海さんが…?きゃー、どうしましょ!

緊張してきたわ!沫ちゃん、お母さん変じゃない?!」


「え、あ、うん、お母さん綺麗だよ。」



頭が上手く回らない。

…どういうことだ?


「行きましょうか”沫ちゃん”?」


ネットリとした眼差しにゾワッとする。

コイツは間違いなくあの時の変態(ロリコン)だ。


私に手を差し出す変態(ロリコン)を無視して母の隣りを歩く。






そこで重要なことに気づいた。







(…さっきあの変態(ロリコン)なんて言ってた……?)





『”父も向こうで待ってます。”』







母に言った言葉……







…何故だろう…とても嫌な予感が、、、





昔から嫌な予感程当たるものだ。

…と誰かが言っていた。





「沫ちゃん、紹介するわね!

お母さんの大好きな人で沫ちゃんのお父さんになる人!」


「初めまして。俺は”元日田”拓海だ。

そっちのは、息子の”新”だ。」





「君のお兄ちゃんになる元日田 新です。

これから(一生)よろしくね沫ちゃん?」





悪魔が嫌な笑みを浮かべて笑っていた…。





新「お兄ちゃんって呼んでいいんですよ!さぁ!!」

沫「死ね、ロリコン。」


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