赤い髪の少女の話し
赤い髪の"少女"…その名は、
その女の子と出会ったのはいつのことかーー
俺はその子をずっと探していた…
もう二度とお前を殺さないからーー
だからーー
そばにいることを許してくれーーー
俺を忘れた少女は問うーー
『なんで女の子なのに「おれ」って言うの?』
「それは俺が自分が
女だって認めてないからだ。」
「ふーん、」
「まぁ、どうでもいいや。
それより遊ぼう!なっちゃん。」
「…なっちゃん?」
「__だからなっちゃん!」
「……そっ、よろしく沫…」
初めて呼べたお前の名前...
名前を呼んだだけで胸が苦しくなったーー
俺が全てからお前を守るんだーー
まずは暴力を奮う借金まみれの父親からーー
そう思ってたのに彼女は自分で片してしまった。
(死体が腐ると臭いんだぞ?そのままにするなよ…
仕方ないな、俺が片しといてやろう…)
部下を呼んで片付けをしといた。
彼女は散らかすだけ散らかして
片付けるのが苦手なようだ。
だから自分の母親に散らかしたゴミが見つかった…
部下が彼女の母親を片そうとするのを制す。
「あなたは...?」
『この男に金を貸していた組織の跡取り。』
「そう...この人をどうするの?」
『こんな男でも内蔵くらい売れるでしょ?』
「この人はいなくなるの?」
『うん、そうだよ。』
「……行かなきゃ、」
「おい、どこに行くつもりだ!」
彼女の母親は玄関へとかけていく。
それを部下が止めた。
大丈夫。この人は警察に駆けつけたりしない。
「沫に...あの子に
もう怯えなくていいのよって言わなきゃ...
はやく、はやくあの子を迎えに行かなきゃ、
やっと幸せになれるの、やっと、やっと...」
この人も壊われているから...
彼女の母親が去った後、
部下たちに片付けさせた部屋を見渡す。
部屋の隅にポツリと座る
クマのぬいぐるみの頭を撫でる。
『よぉく働いたな、えらい、えらい。』
お前の目のカメラもお前の中に
仕込んだ盗聴器も役にたったよ、ありがとう。
『なっちゃん』は前作の【私は悪役転生…ではなくヒロインのようです。】に関わる人物です。読まなくてもストーリー的に問題がないよう書くつもりですがこちらを読んでからの方が楽しめるかと思いますので、読んだことのない方は、よかったら読んでみてください。