呼びたくない名前と知りたかった名前、
変態の名前呼びたくないけど
家族になるなら(嫌でも)呼ばなきゃいけないしな
…と真面目に悩む幼女、沫。
…てところでこの変態をなんと呼べばいいんだ…?
お兄ちゃん…絶対にそれだけはやだ。
お兄さん?…んー、妥協点?
コレ(変態)が兄と認めたくない…
元日田さん?…お父さんも元日田だからややっこしいし、
私たちも元日田になるんだろうしなぁ…
新さん?…普通にさん付けで呼びたくないな。
新くん?…うわ、やだキモイ。
…もう呼び捨てでいいか。
『新。』
「…っ、」
変態もとい新は泣きそうな顔をした。
(名前を呼んだくらいで大袈裟な…)
私は知らなかった。
彼の言う”閏さん”が彼を新と呼んでいたことを…
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両家挨拶を済ませたあと、
私と母は元日田家へ引っ越すことになり
数少ない私物をダンボールへ詰める。
大体の物を仕舞い終わった。
最後に目に付いたのはクマのぬいぐるみだった。
私にとって大切な友達。
『このぬいぐるみをオレだと思って大事にしろよ
そうすれば少しは寂しくなくなるだろ?』
(…最後にあの子に会いたかったな、)
女の子なのにオレなんて言って
いつも唐突に私の元へ現れる赤い髪…
「…なっちゃんの名前…知りたかったな…」
彼女…なっちゃんのことを思い出しながら
最後に彼女がくれたクマのぬいぐるみを
一人、静かに強く抱き締めた。
新(……っ、沫さんがっ『新♡』って呼んでくれた!
前世と同じように愛を込めて僕のことを////)
沫(名前呼んだだけで赤面してる…気持ち悪っ)