鍵の束
割烹で既出ですが、別小説に、推理避難所を作りました。
そちらは、なろうにログインしてなくても書き込めるようにしてあります。
皆さんの推理をお待ちしています。
現在、俺は石田翠と『中庭にある倉庫』の前にいる。
「ごめんなさい。今回はコイン見つけられていないんです」
「い、いや気にしなくて良いよ」
コインと引き換えに何かを要求されそうでとても怖いので助かる。見た目はとても可愛い女の子なんだ。凶悪なアレを持っているのが悔やまれる。
石田翠はメイド服のポケットから鍵の束を取り出して、『中庭にある倉庫』の扉を解錠した。
個室の鍵と同じようなディンプルキーが4つ束ねられた鍵の束。それが気になった。
「それって、ゲームに関係ないと説明していた鍵ですよね」
「……敬語って距離を感じる」
「……その鍵は何処の鍵だ。一つは倉庫の鍵として、配電施設と脱衣所の鍵、もうひとつは何処だ?」
「倉庫の鍵ですよ。そこの倉庫」
石田翠が指差す先には、一つの扉があった。『キッチン』と繋がった西館にある『倉庫』の扉だ。そこの『倉庫』には酒蔵となっている『地下室』があったな。
まあ、卯月氏の事件には関係ないか。俺は気にしないことにした。
『中庭にある倉庫』の中は綺麗に片付いていた。キャンプ用具や、釣り道具などが整頓されて並べられている。ふと見ると、何かにシートが掛けられている。やけに真四角だ。
「ありましたよ。3つです」
俺が『中庭にある倉庫』を物色していると、石田翠が寝袋を持ってやってきた。ついでにキャンプ用品も一通り借りるか。寝袋だけだと寒そうだ。
「キャンプ用品も借りられるのか?」
「大丈夫ですよ。中庭あたりに準備しましょうか」
「いや。表の駐車場の方が良い」
「わかりました。じゃあ、そっちに準備しましょうね」
日も暮れかかっている。俺と石田翠は手早く準備を始めた。
◇◇◇
なんとか、駐車場にスノーピークのランドロックを組み立てた。いつの間にか手伝い始めたネクサス氏と、石田翠との共同作業が出来ると誘った米下のお陰もあってのことだ。
「大きいですね」
「7-8人用ですからね」
「何でこんなものを?」
「浪漫です」
「浪漫ですか……」
ネクサス氏と完成の喜びを分かち合っていると電話がかかってきた。画面を見ると「だるます警部」と表示されている。
二階堂だるます警部。警視庁のエリート刑事だったのだが、本人の希望で警視庁山下のりお対策課に所属している。凶悪犯をバッタバッタと捕まえたいからと言っていた。身長195cmの巨漢で、筋肉の塊のような体格をしている。
俺は電話に出る。
「もしもし。山下です」
「山下君か……少し時間がかかりそうでな……その連絡だ」
俺が関わると、陸の孤島のように、外界との行き来が出来なくなることが多い。崖崩れや嵐、橋が落ちることなんかザラだったりする。今回も崖崩れか何か起きたのだろう。
「わかりました。お待ちしてます」
「……理由を聞かないのか?」
「……信じてますから」
「ふっ……そうだな。こんなのは大した状況ではない。待っていてくれ、山下君。」
だるます警部との通話を終えた。
「どなたからですか?」
「警察の方です。少し遅れるそうです」
「ああ。なるほど。到着が22時以降になると本館に入れませんから、そのための準備だったのですね」
「はい。そうです」
俺はネクサス氏に応える。もちろん、それだけじゃ無いけどな。
「もう夕ご飯の時間ですよ。早く行きましょう」
「おう。翠。行こうぜ!」
「あんたに言ってない。のりおさーん。行きましょうー」
「てめえ、何で下の名前で呼ばれてやがる」
「ははは。愉快な人達ですね」
ふう。
俺はため息をついた後、3人と共に『妖精の館』の入り口へと歩いていった。
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DARUMASU Side
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「ふっ……そうだな。こんな状況大したことではない。待っていてくれ、山下君。」
俺はそう告げて、電話を切る。
「警部…逃げてください。奴は危険です」
そんなことはわかっている。だが、ここで引くわけにはいかない。
対峙するは、日本最凶と言われる殺し屋”零崎鍋敷”。何故ここにいるかはわからない。だが、幾人もの民間人をその手にかけてきた男を見逃すわけにはいかない。
「くくくく……あなたは合格です。本気で殺してあげましょう」
巫山戯たことを口にしながら、巨大な2本の刃物を手元で回して遊んでいる。
「では、俺も告げよう。お前は不合格だ。俺が強制排除してやろう!」
左手にはコロンビアナイフのシースナイフNO.SA43。右手にはS&WモデルGOVERNOR。漆黒のマグナムだ。
……俺を信じて待ってる奴がいる。
俺は最凶に一歩、また一歩と踏み出す。
……体が軽い……
……こんな嬉しい気分で戦うなんて久しぶりだ……
俺は最凶に向かって駆け出す!
ーーー俺はもう何も恐れない!




