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後書き追加しました 2016/12/20

 なんやかんやあって、白熱したゲームは卯月氏の勝利に終わった。


 「悔しいけど、私の負けですわ」

 「600万……私の600万円」

 「5枚あったのに……」

 「残り1枚か」


 一部の人達が悔しそうにしていたり、ショックを受けてたりしていた。


 ゲームの結果より、卯月氏にコイン10枚が渡される。夕方の自己申告の8枚が正しければ合計18枚となり、俺の所持数16枚より多いため、最も所持していることになる。



 「ふふふ。やっと追いつきましたね」

 「ええ。追い抜かれました。これからはチャレンジャーとして頑張らせていただきますよ」


 嬉しそうな卯月氏。コイン集め勝負を本気でやっていなかったが、追い抜かれて少し悔しい。


 コインを2枚賭けていたので、田中女史(うらないし)が8枚から6枚。米下が5枚から3枚。池谷女史(おっぱい)と狼牙が3枚から1枚に減少した。華月女史の所持数はわからないが2枚減ったことは確かだ。ただしこの数字はあくまで自己申告のため、あまり信用してはいけない。



 こうして2日目のゲームは幕を閉じた。


◇◇◇


 AKW(あさひかわ)48……国民的アイドル。若さ以外良いところが見当たらない気がするが、オリコンの売り上げランキングを総ナメしている以上は、良い曲と皆がとらえているのだろう。うちの秘書に電話をかけると無条件でこの曲を聞かされることになる。


 時刻は19時30分。現在、俺は自室から秘書に電話をかけている。


 ……プツッ


 音楽(ノイズ)が途切れる。電話を取ったようだ。


 「もしもーし。のりりん? あーちゃんだよー」


 俺の秘書だ。電話の応対用の教材DVDを購入したが、あまり意味を成していないことが良く分かる。


 「愛しているよ。今日も一日問題なかったかい?」


 本気で気にかけて聞いている。昨日は依頼を軒並み断って、お得意様を失った。


 「うーん。ダイジョウビ。警察官の人が”頼んでたお薬の情報が欲しい”って言ってきたから、”お薬はそこの病院でもらえますよ”って答えといた!」


 なんて骨体。それは頼まれていた麻薬の流通情報の調査報告書を渡さないといけない案件だ。これで事務所の近くの病院がガサ入れされたら、引っ越しするしかない。


 「そ……そうか、大変だったんだね」

 「うん。そーだよ。あ。聞いて聞いて。TVでSMOPSMOP見てたの」

 「それは残念だ。是非俺も一緒に見たかったよ」


 SMOPのメンバーの仲が悪いためか、毎回ゲストが気を使っている。あんな番組なんか見たくない。だけど、SMOPSMOPを見て無邪気に笑うその笑顔は見たい。このジレンマ。


 今日は早めに話題を移さないと風呂に入れなくなる。


 「そういえば、頼んでいたお仕事は大丈夫だった?」

 「うん。ばっちりだよー」


 「えーとねー。最近、”死者の書”って呼ばれている研究論文が行方不明になってるの。臓器移植を研究していた学者さんが死んじゃってね。その学者さんの臓器を移植された患者さんが書いた論文。論文そのものは無理だったけど、abstract(がいよう)は手に入ったよ。」


 どうやって見つけてきたのだろうか。多分俺には探せない。


 「abstract(がいよう)を読んでくれないか?」

 「うん。臓器を移植された患者(アクセプター)が体験したこともない夢を見たり、行ったこともない場所で既視感を感じるのをご存知だろうか。その記憶は臓器を提供した提供者(ドナー)のものであることが長年の研究からわかってきた。つまり、臓器にも記憶の片鱗が宿っているのである。今回、私が研究したのはある種の有機物を摂取することにより、提供者(ドナー)の記憶を臓器から意図的に引き出すことができないかという試みである。だってさ」


 先の話と合わせると、学者の臓器を移植した患者(アクセプター)が学者の記憶を元に論文を書いたことになる。つまり研究が成功している。これは厄介な件の可能性が極めて高い。パピルス探し程度だと思って舐めていた。


 「傍観者(バイスタンダー)は昔は殺し屋だったみたい。裏業界の独占インタビュー記事を読むね」


 何だ、その裏業界の独占インタビューとやらは。裏の業界人専門の雑誌なのか? そして、うちの秘書はどうやってそれを手に入れたんだ?


 「僕は美しい芸術(したい)が大好きなんです。独創的で芸術的な作品(したい)を創るのに魂を込めて何度も何度も研究しながら創ってました。でも、ある人が創った作品(さつじんげんば)を見てからは考えを変えたんです。この世界には僕がどんなに頑張って創っても至れない芸術(したい)があると気付かされました。本当の芸術(したい)には、それを創る想いが必要なんです。憎しみだったり愛だったり。それに気づいてからは専ら、状況だけを作って、後は他人に作品を創ってもらっているんです。だってさ」

 「ありがとう。とても貴重な情報だ」


 まさかの本人のインタビュー記事。貴重すぎる情報で困る。聞いていて頭が痛くなってくる。


 「占い師の田中佳子さんは、いなかったよ」

 「そうか。ありがとう」


 お抱え占い師だと、職業として引っかからないのかもしれないな。


 「のりりんがいる『妖精の館』だけど、設計図は手に入らなかったよ。どこにも登録されてないみたい。」

 「確認申請書を出していないのか」

 「民間の検査機関には出しているけど、明らかな偽物だったよ」

 

 それは酷い。



◇◇◇


 これで集められる情報は大体揃ったな。


 さて、傍観者(バイスタンダー)とやらは、どう動くのか。



ゲームの詳細も流れも考えたのですが、話全体に対し意味がなかったので省略しました。

考えていたゲームは、特殊ルールで乱数調整と数字の入れ替えが可能なビンゴです。

線形合同法の簡単な擬似乱数の計算説明を入れる予定でした。

X(n+1)={3*X(n)+n (mod 15)}(mod 256) ……数学の講義じゃあるまいし、いらないですよね。

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