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なんで俺が教会の敵になんなきゃいけないんだよ!

今回のサブタイトルは、歴女な女子高生とさえない男子中学生が転生したねねと秀吉が天下盗りを目指す私の作品、珍説 太閤記「なんで俺がサルになんなきゃいけないんだよ!」、「なんで私がサルの嫁になんなきゃいけないのよ!」から取りました。

あかねちゃんは今回も小悪魔系ですけど、出番は少ないです。

 目の前に立ちはだかる大勢の教会信者たち。

 さっきまでのあかねなら、力による強行突破か、力をちらつかせた口による脅しと言う手段に出たはず。


 なのに、今は俺の前では俺の注意を聞き入れたふりをして、か弱げな風を装い、俺を頼って来る。

 あかねは完全に小悪魔になっているんじゃないか?

 まあ、だとしても、俺はこいつを守る。


 信者たちとは言え、武器も持ってきていなければ、襲ってきている訳でもない相手。単に俺たちの前に壁を作っているだけだ。殺めるのはあまり気が進まない。

 あかねソードを構えてはみたものの、斬り込む気にはなれない。

 どうやって、ここを突破しようかと迷っている俺の横で、大久保が叫んだ。



「お前たち、俺たちがレーザー兄妹だと言う事くらい分かっているだろう」



 いつから、お前まで兄妹になったんだよ! 的な視線を大久保に向けてみる。

 いや、そもそも父親役だっただろ。



「お前たちでは勝てない。

 神の力を宿す司祭も我々の手で葬った」



 いや、それ違うだろ。的な視線に変えて、大久保を睨んでみる。



「司祭様が殺されたのか?」

「あいつらが司祭様を」



 大久保の言葉に信者たちの反応は凄まじく、一瞬怯んだ後、怒りの顔つきで一歩踏み出してきた。

 教会の司祭を殺したなんて事になれば、完全に俺たちは教会の敵ではないか。

 これでは教会の力を頼って父親や凛を探すこともできない。


 なにしてくれるんだよ! 的な怒りの視線を大久保に向けてみる。

 が、大久保は俺の視線を無視して、信者たちに声を張り上げた。



「これより、教会信者たちはこのコロニーから出て行ってもらう。

 残るものは容赦しない。

 この光る剣で、一刀両断だ」



 そう言い終えると、大久保は俺たちに視線を向けた。


 まじかよ。なんで、そんな事を突然言って、俺たちに話を振って来る。

 戸惑う俺の耳元で、あかねが囁いた。



「お願い、お兄ちゃん。

 あんな怖い人たちは追い払って」

「お、お、おう」



 そう言うと、あかねソードを構えて、一歩踏み出した。

 完全に妹の手のひらの上。そう分かっていつつ、声を張り上げる。



「刃向うやつは容赦しない」



 恫喝しながら、さらに一歩を踏み出すと、蜘蛛の子を散らすように信者たち逃げ出し始めた。



「いいか。残っていたら、容赦はしない。

 とっとと、このコロニーから立ち去れ」



 大久保が大声で付け加えた。

 辺りに信者たちがいなくなった頃、なずなが駆け寄って来た。



「ありがとう。私も守ってくれて」



 特に守ったつもりはないが、うるうるの涙目っぽい上目づかいで見つめられると、抱きしめたくなってしまう。。


 どうやら、俺の周りにかわいい系の女の子が二人現れたようだ。

 いや、訂正。

 妹のかわいい系は偽りのかわいい系。その正体は小悪魔だった。



「いやいや」


 なずなの本物のかわいさ。心が癒される気もするが、今はなずなのかわいさを鑑賞している場合じゃない。

 なずなにそれだけ言って、大久保に近寄って行った。




「なんであんな事、言ったんだよ」



 そう。この問題を解決しなければならない。俺的には不満目いっぱいだ。



「教会の信者たちをここから追い出したかったからだよ」

「なんで、そんな事する必要があるんだよ。

 おかげで、教会の敵になっちまったじゃないか」

「司祭の手下を殺した段階で、完全に敵対したようなものだろ?

 教会の力も必要だったかも知れないが、重要なのはあの装置の方だ。

 あの装置。あんな奴らの手の中においたままでいいのか?

 そんな事、水野さんは望んでいないはずだ。

 あいつらの手から取り戻したかったんだ」



 それは俺も賛同せずにいられない。



「しかし」



 そう。他にも手が無かったのかよ! そう言いたい。が、済んでしまった事を言っても仕方ない。人生を一日リセットする装置でもあれば別だが。



「分かったよ」



 結局、俺は大久保が作り上げた現状を受け入れる事にした。

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