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第三曲 異世界『シンフォディア』

♪♪♪♪♪♪


「異世界案内人!?」


僕や夢乃の驚きを爽が代弁してくれた。


「本当に異世界なのね……」


夢乃は、異世界と知ったら目を輝かせる……かと思ったのだが、その表情は怯えてる様に見える。


「き、君が案内してくれるんだよね? 僕達無事に帰れるの?」


僕はまだ、半信半疑だった。きっと、今にでもドッキリ大成功の看板を持った人達がやってくると信じて、カメラが無いかと辺りを見回してみるが、見つからない。でも、見回しても異世界を彷彿しとた物は見当たらず、さらには、目の前にいる異世界案内人を語る少女と普通に日本語で話せている。


「本当に異世界なの!?」


僕の必死な問いかけに、少し驚いた様子を見せた少女だが、すぐにニッコリと笑い……


「はい! 異世界ですよ! 異世界『シンフォディア』にようこそ! 来訪者様!」


あっさり異世界ということを肯定した……


♪♪♪♪♪♪


「まず、この世界のことですが……そちらの世界とあまり変わりはないです、ただ、建物やお店等、モンスターが居たりとそちらの世界のファンタジー物語とかによくある物も沢山あるので全く同じではありませんが」


とりあえず異世界だと言う事を証明するためにサーシャさんは、近くの街に向かいながらこの世界の説明をしてくれている。


「じゃあ、私達が居た世界にある物もこっちにあったりするの?」


夢乃が未だ信じきっていない様子で問いかけた、まぁ、僕も信じていないけど。爽はさっきから「マジかよ!」と1人テンションが上がっているが。


「はい! ありますよ! 料理や娯楽、勉学なども共通してますよ!」


「料理も!?」


料理好きの夢乃が目を輝かやかせて言った。夢乃の料理は、絶品でチーズちくわと互角を張るレベルだ。


「音楽もあるの!?」


娯楽というものを聞いて音楽があるか気になった。できればこっちの世界限定のものでも良いから音楽の文化があるとありがたい。


「ありますよ! そちらの世界にある音楽のジャンル全て」


なんだって……


あまりの驚きに声も出せなかった。まさか、こっちの世界と元の世界の音楽のジャンルが同じだなんて……


さらに詳しく聞くと、楽器やCDもあるらしい。勿論こっちの世界限定の音楽や演奏方もあるらしい。


「好きな楽器はなんですか?」


笑顔で問いかけてくるサーシャさん、だけど僕はその質問の答えが見つからず……


「うーん……どんな楽器も一通り出来るし好きかな」


という曖昧な答えになってしまった。が、少女は、目を輝かせながら僕に言った。


「凄い!どんな楽器も出来るなんて凄い!」


別に凄くないよ、と返し僕はその場で立ち止まった。


本当に……何も凄くない……


「そ、そういえばよぉ、俺達帰る方法ないのか?」


爽が察してくれたのか無理矢理話題を変えてくれた。


一瞬、僕の事を見たサーシャさんだったが、すぐに爽の質問に答えた。


「帰ることはおそらく出来ると思いますが方法は、分かりません」


どうやら爽も薄々冗談ではなさそうということに気がついたのか、いつもの能天気な表情はどこかに消え、たまに見せる 真剣な顔をして、どういう事だ?と問いかけた。


「歴代の来訪者様達はいつの間にか消失してしまってる事が多いんですよ、だから明確な方法は、誰も分からないんです」


「歴代!? 私達の他にも何人か召喚されたことがあるの!?」


さっきまで目を輝かせていた夢乃が驚きの声をあげた。


「はい! 居ますよ! こちらの世界がそちらの世界と似ているのは、来訪者様が色々な知識や文化を持ってきてくれたからなんですよ! 」


「なるほど……」


納得してしまった……あまりにも現実味の無い話だけどサーシャさんの言うことは何故だか異様に信ぴょう性がある。


「で……俺達は何をすれば良いんだ? 魔王でもぶっ倒せば良いのか?」


爽が皮肉っぽく言った。爽は、昔から信用出来ない人間や嘘くさい話は嫌いなのだ。


確かに……まだ信じられないよね……



一体何が目的で召喚されたんだろうか? やはり魔王を倒すためとかなのだろうかと思ったが、サーシャさんの答えは、意外なものだった……


「ありませんよ? 目的なんてなにも」


「「「は?」」」


常識でしょ? みたいなかおで言われた。その言葉に僕を含めた全員が素っ頓狂な声をあげた。


え?とサーシャさんは、はてなを浮かべている。


「え? じゃねぇよ! じゃあ俺達何の為に召喚されたんだよ!?」


「いやぁだから召喚された理由なんてないですし分からないんですよ」


「分からない?」


さっきから若干彼女と僕達の話が噛み合っていない気がする……


「おそらく皆さんは、『自分達は何か理由があって召喚された勇者』とか思ってるのではないですか?」


勇者までとは思っていないが、あながち間違っていない。異世界に召喚されたなんて物語は、大抵大きな理由があるものだ。


「来訪者様には、魔王倒したり世界を救うなんて使命はありません。あくまで『来訪者』なのですから」


「何が言いたいんだ? ここは本当に異世界なのか?」


はい。とサーシャさんは、小さく返した。そうか……と呟いてから爽は……


「なら仕方ねぇな! 使命が何も無いのはちっと納得いかねぇが」


とさっきまでの真剣な表情とは違う、いつもの爽に戻っていた。


「使命がなくても来訪者様は、必ず何か残していってくれるものなんですよ」


まだ、全部分かったわけじゃないけど、どうやら僕達はこの世界『シンフォディア』で何かをやらないといけない……そんな気がした……


「多分街に着けばすぐに信じてもらえると思うんですけど……あっ! 見えてきましたね!」


サーシャさんがピョンピョン跳ねながら前の方を指差した。


そこには……


「なにこれ……」


「嘘でしょ……」


「オイオイ……マジかよ……」


今まで一本道だったのとは、反対に目の前には広大な草原が広がっていて、その中心あたりに街と思われる入り口があった。


「「「デカッ!!!」」」


「あちらに見えますのが来訪者様がいちばん最初に来訪される街……『カナディア』でございます!」


どうやら……僕達は異世界に召喚されたのかもしれない……


その思いが確信に変わった……

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