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夢×喰 ホワイトナイツ  作者: わた雨
第壱話 夢と現実の狭間
7/15

ザ・ホワイト・ナイト・イン・ア・ドリーム#2

──────


 夕飯の食卓には、俺の好物であるイカと大根の煮物をはじめ、母の手料理がずらりと並んだ。

 久しぶりの母の料理に舌鼓を打ち、親子の会話も弾んだ。やはり、俺にとって家族という存在は心の拠り所なのだなと身に染みて感じる。レイもレイで、俺たちの会話に興味津々で、度々会話に混ざってきた。

 楽しい食事の時間。

 それは、一緒に食べてくれる人がいるからこそ訪れる時間。

 今まで当たり前だったことが当たり前でなくなっていた一人暮らしにおいては、まず訪れないだろう時間。

 俺は、しっかりと満喫した。


──────


 風呂から上がり自分の部屋に戻った俺は、ベッドに寝転がりケータイを弄っていた。

 安全なウェブサイトを飛び回りながら、着信したメールに返信をしていく。

 メールの相手は健だ。

『そういや、明日はカラッと晴れるってよ。コートで練習できるだろうね』

 部活は、俺が学校生活において最も力を入れていること、楽しみにしていることであるゆえ、コートで目一杯練習出来るのは、嬉しくて仕方がない。

 俺は口元を綻ばせ、いい気分になって返信の文章を打ち込む。

『春の大会に向けて頑張ろうぜ。団体戦にも出れることだし、見せてやろうぜ! 北高の(アイス)(テール)ここに在りってな』

 男子の三年生は人数が少なく、九人であり四ペアしかいない。その内、一ペアには番手戦にて勝利しているので、俺たちは団体メンバーに選ばれているのだ。

 送信……!

 数分もしないうちに返信が返ってくる。

『それ、俺たちが考えた通り名じゃねーし(笑)それじゃあまた明日な。おやすみ〜』

 確認を終了。俺はウェブサイトに画面を戻し、ベッドの頭側にある棚に乗っているラジカセに腕を伸ばした。再生ボタンを押すと、大好きなバンドのロックナンバーが流れ始めた。テンションが高揚する。

「♪~♪♪~」

 曲に鼻唄を交えて、リズムに乗って頭を微かに揺らす。時間が流れる感覚が失くなっていくのが、かえって心地良かった。


 気がつけば、時計の針は十二時を跨ぎ、俺もかなりの眠気を感じ始めた。

 事前に歯磨きは済ませておいたし、トイレには先ほど行ったところだ。

 レイは既に、母と一緒の部屋で就寝中。

 たぶん今夜はずっと、母と今後のことでも話し合っていたに違いないだろう。

 まったく。不思議な奴だ。いきなり現れたあげく、家族にまでなってしまうなんて。二人共非常識的過ぎて何も言えない。

 祖母の昔の姿。母の垂れ目。そして、俺に与えられた存在。

 検討もつかない。レイが一体何者なのか、何の為にここに現れたのか。何故俺を選んだのか。考えるだけで頭が痛くなりそうだ―――ならないけども。考えるだけ無駄だ。

 ゆっくり少しずつでも、レイに訊いていけばいい。

 部屋は、先程までストーブをつけていたため、暖かめではあるのだが、空気が乾燥していて気持ち悪い。換気の為に窓を少し開けているから、どんどん室温が下がっていく。

 ふと、ケータイを弄る手を止め、窓の外に目をやると、澄みきった空に、星が爛々と散りばめられていた。夕方の雨が嘘のようだ。

 冬が終わり、始まった春の星座。その輝きは初々しく見え、今が始まりの季節だということをアピールしているようだ。

「始まり……か。この1年、俺にはどんな出来事が待っているんだろう……」


 今日……十二時過ぎたから昨日か。この一日で、既に今までに体験したことのないことが始まっている。先の未来など、大雑把になら見えなくはない状態だった高校二年生としての生活が、一気に霞みがかって見えなくなってしまった。

 思い出したように、ワンピース姿のレイの言葉が、頭をよぎった。


―――清も、すぐに来れるわ―――


―――私が、連れていってあげるもの―――


 ……。

 俺は、どこに向かうんだ……?

 レイは俺を、どこに連れていくつもりなんだ……?

 目蓋が重い。体の力が抜けていき、言うことを聞かなくなる。意識が……薄らいでいく……。

 そして……俺の視界は黒に飲まれた。


 あたたかいねむりのじかんがはじまった。




────はずだった。




──────



 ふと気がついた。

 目蓋を開いた俺は、突然目に取り込まれた眩い『白』に、顔をしかめる。

 光に慣れてくると、俺は辺りを見回した。

 周囲は、純白で閉ざされていた。汚れや染みがひとつもない、雪原よりも白い世界だ。

 しかし、この光景には、見覚えがある。

「学校で居眠りしたときと同じだ……」

 ということはこれも夢かと思い、俺は気を緩めた。

 ならこの空間はきっと、じきに俺の部屋に変わるんだろう。

 大きく欠伸をし、そのときを待つ。

「一日に二度も同じ夢を視るなんてな。しかも、また意識がしっかりしてるし……お?」

 独り言を呟くと、急に周囲に色が付いた。まるで油絵のような、ベタついた色が一気に空間に現れたのだ。

 そして、徐々に自動修正が加えられていく。机の角の線や、ベッド上の毛布の毛の質感、ゲームソフトを収納している棚の硝子扉の光沢など、あらゆるものが、現実と同じ姿を取り戻した。

「毎回、パターンが違うのか?」

 丁寧な線画から始まった前回と、雑にぶちまけられたような油絵の今回。次回はどんな手法を用いてくるのだろう。水彩画とか? 白黒しかないけど。ん、いや、色筆の水彩画も、そういえばあったか。

 部屋の中央に直立していた俺は、自分のベッドの枕元に目をやった。そこには、自分のケータイが転がっていた。

 それを見た途端、妙な好奇心が沸き上がってきた。夢の中でケータイを使うという発想は、未だかつてないのではないだろうか。

 そして、ケータイを拾い上げ、開いてみる。ヤバい、どきがむねむねするっ!

「…………」

 画面は真っ黒だった。

 はぁ。まぁ、そんなもんかと、意気消沈して溜め息をついた。

 と、そのとき突然に部屋のドアが開いた。

「っ!?」

 俺は思いがけない出来事に驚倒した。この夢の世界には自分ひとりしかいないと思い込んでいたからだ。

 しかし、目に入った光景にも俺は衝撃を受けた。

 そこには、純白の美少女が立っていた。

 淡い水色に白い水玉模様の可愛らしいパジャマに身を包んだ―――レイが。

「……レイ……?」

 俺が目を丸くしたまま呟くと、少女は微笑んだ。

 透明で冷たくて美しい微笑み……。

 そして、おもむろに口を開いた。



   「私たちの世界へようこそ」


 そして……、


    「夢の世界へようこそ」


 さらに……、


「夢の中の、夢のような、

    夢じゃないリアルへようこそ」


───!!??

──────!!!???


 突然、膨大な量の何かが、脳内でオーバーフロウした。


───riiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii───


 意識を擦り減らされるかのような強烈な耳鳴りに襲われ、頭を抱えて床に膝をつき、苦しみ悶えシャウトする。


───夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢夢───


 かつて視た全ての夢の、凄惨なフラッシュバック。



――――――なんだこれは!!??――――――



 やがて、ひとつの結果があらわれた。

「夢……喰……? ……夢喰……!」

 ひとつの単語を思い出した。

 体から汗が吹き出る。普段は滅多に出さない汗は、まるで今この時のために溜め続けてきたように、溢れてくる。ダムが決壊したように。氾濫した河ように。荒れ狂う海のように。

「思い出した……」

 俺は、しばらく呆然と立ち尽くし、やがて、ギシギシと軋む音さえなりそうなぎこちなさで、首をレイの方に回した。

「お前は……夢喰(ユメクイ)……!」

 レイは、まるで感心しているかのような表情を浮かべていた。冷や汗なのだろうか、額から水滴を伝わせている。そして、震える声で思考を口にした。

「まったく、凄まじいポテンシャルをお持ちで……戦々恐々とするわ。我が主さま」

 俺は、目を瞑り、細く長く息をついた。

 落ち着いたところで、言いたいことを言う。

「思い出したよ。お前に会った昨日の夢を」

「ええ。そのようね」

 レイは、すっといつもの無表情に返り、小さく頷いた。

「でも、思い出しただけであって結局、疑問点が多すぎるんだが……。いや、そもそもあれは本当に俺だったのか? 何が何だか……。説明、してくれるか?」

 俺はうなじを掻きながら、淡々とした口調で言った。

 レイはもう一度、今度は無言で頷いた。

「いきなり核心から率直に訊くぞ。レイ……お前は、俺に何をさせるつもりなんだ?」

 レイは少し間を置いてから、答える。

「人助け」

 空気すら凝結させそうな冷たい声。その声で、レイはずいぶん優しい言葉を口にした。

 まさかな。俺は訝しげな顔をして訊き直す。

「……具体的には、何をして人助けをするんだ?」

「清には、この世界で夢守(ユメモリ)として、戦ってもらうわ」

 それから、レイは自分の胸元に左手を当てた。

「夢喰である、この私と一緒に」

「……」

 夢守? 戦う?

 いまいち話が読めない。

 この世界は、所詮夢だ。俺が視ている夢だ。こんな世界で何かと戦って、それが人を助けることに繋がるのだろうか? そんなわけはないはず。

 ……いや、レイは、言った。『夢の中の、夢のような、夢じゃないリアル』と。

 つまり、ここは……?

「ここは結局……現実なのか? 夢なのか?」

 訊ねると、レイは首を傾げた。そして、胸元に置いた左手をこちらから見て左にずらすと、ソフトに揉み始めた。

 ……って、いやいや、何やってんだよっ! 全く脈絡はなかったぞ!?

 俺が目のやり場に困っているのを気に留めず、何食わぬ顔でレイは口を開いた。

「私は伝えたわ。この世、界は夢の、中の夢のよ、うな夢じゃないリア、ルだと」

「切るところが悪くてもっと分からなくなった!!」

 なんだよ! シリアスモードじゃなかったのか!? つか、揉むな! 左胸に移るな! まんべんなくかっ!?


 それでも、レイは何食わぬ顔で澄まして言う。

「どちらでもないわ。私は最初からずっと『この世界』と言ってる。つまり、ここは……」

 レイが、また間を取り、一呼吸置く。


「…………」

「…………」


 モミモミモミモミ。


 すっげ~気になる。

 早く言え。困る。困り果てる。

 というか、胸ってあんなに……形が変わるものだったのか。その類の雑誌やパソコンの画面で見るのとは明らかに違って見える。やっぱ肉眼ってすげぇ。


「夢と現実の狭間―――夢游界(むゆうかい)よ」


 待ちに待った言葉はそんな単語だった。

 夢游界。そう、レイは言った。

「狭間……?」

「そう、狭間。中間。合間。……谷間!」

「黙れ変態っっっ!」

 指差すな! 分かるわ! 

 ……どうやら、ここは夢と現実の狭間。夢であり、現実でもある。夢ではないが、現実でもない。

 そんな世界らしい。

 納得も理解もできないが、そうらしい。

 すると、レイは自分の胸から手を離し、後ろを向いた。

「このままここに居てもつまらないから、外でも歩きながら話しましょう」

 俺は、レイに促され、自室を出た。

 ゆったりと歩きながら周囲を見渡す。と、あることに気づいた。廊下の窓から見える空が……白い。

 それだけではない。どこを見渡しても、白っぽい靄のようなものが薄くかかっている。

 昼間の居眠りの際に訪れたときは『淡い紫色の光』で溢れていたのだが、今のこの世界―――夢游界は、まるで……そう、『白い闇』の中にいるような、そんな不思議な印象を受けた。

 足元を見ると、影ができていない。やはり、光は少しも無いのだ。

「…………ん?」

 ふと、あるものに目が留まった。視界には畳の敷かれた和室。ここは、元は祖母の寝室。今は母とレイが寝室に使っている部屋だ。

 その部屋の中に布団が敷いてあるのだが、やはり、そこに母の姿はなかった。

 しかし、その布団の上に、俺は目を留めた。


 変なものが浮かんでいる。


 もやもやした虹色の、湯気というか炎というか、とにかく決まった形を持たないモノが、宙を漂っていた。

 非常に気になって、取り敢えず先行するレイを呼び止め、訊いてみる。

「なぁ、あれ、なんだ?」

 寄ってきたレイもそれを一瞥すると、いつもの無表情のまま答えた。

「あれは、今現実で眠っている、清のお母さんが視ている『夢』よ」

 俺は目を見張った。あれが……夢? ずいぶんと変な形なもんだ。

 というか、目視できるのか!? 他の人の夢を!?

「ここは狭間、あれは夢。あれに飛び込めば、他人の夢の中に入れるわ」

「入れるの!?」

「そして干渉できるわ」

「すっげぇ興味あるっっっ!!」

 とは言ったものの、さすがに勝手に入るのはプライバシーに触れるような気がするので、今回は関わらないことにした。

 レイに続いて玄関から外に出る。

 そういえば寝間着のままだが、まぁ、いいか。誰かに見られるわけでもないし。


 まるで、白夜だった。

 見上げると、真っ白な夜空の中、欠けた月が浮かんでいるのに気づいた。光を発していないのに驚く。

 しかも青い。蒼い。

「どう? これが、私たちの世界よ」

 レイも空を見上げて、静かに言う。

 俺は言葉を失う。未だかつて体験したことないほど―――


―――何も感じなかった。


 この純白の空には、あらゆる感情を無視した虚無しか見えなかった。

 吸い込まれそうなほどただ広く、飲み込まれそうなほどただ深い白の下で、俺は震えた拳を誰にでもなく悟られないように、ポケットの中に隠した。

 ゴクリ、と唾を飲み込んでから口を開く。

「レイ」

「なに?」

 レイの美声が鼓膜を震わせた。顔に視線を感じる。

 俺はレイに向き直らず、平然を装って、訊く。

「……えーと、お前ら……夢喰って───」

「それよりも」

 突然、レイが俺の言葉を遮って下からにゅっと視界に入ってきた。近い。鼻先と鼻先とがくっつきそうなくらいの距離だ。少し体を反らして引くと、彼女が背伸びをしているのに気づいた。

 レイはきわめていつも通りの口調で、言った。

「それよりも、もっと大事な質問があると思うわ、我が主様」

「う……」

 感付かれていたか……。

 まぁ、こいつにならすぐばれそうだと思ってはいたが。

 俺は意を決して、今まで臆して避けていた疑問をとうとう口に出した。

「……俺は、いったい、何と戦わされるんだ……?」

 そうだ。

 まず必ず一番に疑問に思うことは、たとえ俺でなくともこれだったに違いない。

 しかし、意味不明な世界に放り出されていきなり『戦え』と言われても、恐怖や心配などしか湧き出てこないのは当然だ。

 俺は臆病になって、回り道で時間稼ぎしていたに過ぎなかったのだ。

 どうせ逃げ切れなど、しないのに。

 レイは、しばらくじっと俺と視線を交えると、やがて柔らかそうな唇を動かした。

「あなたが……いえ、私たちが戦う敵は───惡夢(アクム)

 俺は、目をしばたたせた。あくむ……?

「あくむ……って、嫌な夢とか悪い夢とか、そういう」

「ええ、それよ」

 俺はてっきりもっと残虐性のある敵の名前を口にすると思っていたのだが……。

 そんな実体すら持たないものを敵と言われても反応に困る。

「どうしたの? 昨日の朝の夢を思い出してから、随分弱気ね」

 レイが無表情で首を傾げながら、俺を凝視した。

 俺は、その視線で自らの顔に熱が昇ってきているのを感じ、やや焦りがちになる。

 そうなると、必然的に声が荒くなってしまう。俺の悪い癖だ。

「当たり前だろ。俺は、漫画や小説の主人公なんかじゃないんだ。いきなりこんなことになって、強気でいられる人間なんか、いやしないだろ」

 少しずつ熱くなっていく俺を見ているレイが、呆れたように肩をすくめた。

 その様子を見た俺は、更に憤りの感情が沸き上がり、ぶつけるように言い放つ。

「俺は、戦っていいだなんて、一言も言っちゃいない。いきなりお前が現れて、都合を押し付けられているだけだ! 正直に言う。俺は怖い。戦いなんて基本……死がつきものだろう? ふざけるな。俺は死にたくなんかない!」



───パチィィィン───



 と。

 不意に、甲高い衝撃音が、辺りに響き渡った。

 現実と同じ姿をした住宅街をこだまし、空気を震わせる。

 何が、起こったのか……?

 それはすぐに分かった。

 目の前のレイが、右腕を空に突き立てるように、垂直に挙げていた。

 手先を見ると、人差し指と親指がくっつき、あとの指は折り畳まれていた。

 あれは、何度も見たことある、やったことのある行動の軌跡だ。

 指パッチン。

 純白の少女が、純白の夜空に向けて、手を挙げて指を思い切り打ち鳴らしたのだった。

 俺は、呆気に取られた。なんだ……? こいつは、いったい何を……?

 突如、空間を襲った緊張感に、徐々に動悸が激しくなってくる。

 そして、


「千里の道も一歩より始まる」


 レイは、


「百聞は一見に如かず」


 これまでにない程の冷たい口調と絶対零度の瞳で、


「習うより慣れよ」


 言い放った。


「これが……惡夢よ」




「!!!!」

 体が凍ったかと思った。

 低い体温がついに零点下に達したように感じた。

 猛吹雪に曝された感覚に酷似していた。

 そのくらい凄惨な寒気が、俺を襲った。

 だが、俺は、この感覚を知っていた。既に、一部を体験していた。


 昼間感じた、あの悪寒。


 それだった。


 刹那。

 今、自分が立っている舗装された道路に、黒い水溜まりのような模様が、波紋のように広がりながらいくつも出現した。


 夜空の純白に反するかのような―――


───漆黒だった。


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