昔は良かったと思えるだけマシかもな
俺の1番古い記憶は幼稚園の頃だ。
機関車のおもちゃを床いっぱいに並べて眺める。そればかりしていた様で、朧げに覚えている。
「田中君は背が高いね〜」と幼稚園では言われてたらしい。今では中肉中背なのにな。
運動会や色々イベントがあったのだろうが、俺はそれぐらいしか思い出せない。幼児期なんてそんなもんじゃないか?
小学生の頃の記憶はしっかりある。自分から見ても学校から見ても俺が新しいタイプの生徒だったからだ。
小学1、2年生では普通に過ごしていたが、何故か3年のとき、色々こじれた。今で言う「不登校」になった。
理由は勉強したくないとか病気とかじゃない。
何故か集団でいると冷や汗が止まらなくなり、立ち眩みがするというものだ。小学生なんか集団行動前提だから、まぁ行きたくなくなるよな。
それで不登校。「不登校」という言葉自体はあったものの、まだ世間で認知されていない時代だったため、学校の対応もかなり遅れていた。
その時代でも現代とあまり変わらないものがある。「テレビゲーム」だ。現代ではスイッチや携帯機等が主流だが、俺の不登校時代は携帯機は出始めたばかりで、持っているヤツは少なかった。だから家にこもってずっと「kh」シリーズをしていた。今思えばここでハマったのがグロいゲームや特殊なもので無くて良かったと思う。
俺が学校に行かなくなり三ヶ月ほど経ち、やっと学校が不登校に対して対応を固めた。「特別相談室」なる部屋が出来たのだ。経緯はシンプルで、俺以外にも似たような状況のヤツが同学年に二人いたため、そこの受け皿を作ったらしい。
後日そいつらと顔合わせがあった。二人とも女子で普通のヤツだった。だがまぁやっぱここに送られる生徒なわけで俺を含め全員ある程度仲良くなった頃問題がわかった。コイツら二人はクソ頑固だった。それで二人はしょっちゅう喧嘩していた。仕方なく俺が仲裁していたが、正直ダルかった。後から聞いた話だが、これは片鱗だったらしく、教室や家では比じゃないらしく、俺は片鱗で済んでた事に安心した。
ここから少し話は飛ぶんだが、4年生後半に何故か症状が治った。今思えば精神的なものだったのかもしれない。
症状が治ったもんで普通に教室に復帰した。頑固女子二人は寂しそうにしてたが、教室に馴染むにつれ、ヤツらとは徐々に話さなくなっていった。
小学5年生の頃には不登校を全く感じさせない元気男になっていた。