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異世界からやってきた、自称・王国最強のハラペコ戦士とギャルJKのおかしな同居生活  作者: 釈 余白(しやく)
第五章 学園入学

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28.便利な能力?

「足りない頭でよーく聞いてよ? 狐は神の遣いなの。

 つまり姉ちゃんに対する海人君のような立場だね。

 君は自分自身をバカにしているようなもんだよ?」


「いやいや、俺は何かをバカになんてしていない。

 狐が祀ってあるのに神は人型なのかと不思議に思っただけだ」


「頭が悪いのか口が達者なのか判断しかねるところだねぇ。

 まあそれはいいや、なんであちこちの神社を周ってたの?

 やっぱり僕と会いたくなっちゃった?」


「そうなのよ! ってなんで周ってたの知ってるなら出てきてくれないのよ!

 最後の最後にこんな小さなところに出てこなくたっていいでしょ?」


「だって他の神の管轄だからうかつには出られないよ。

 でも僕に用がありそうな人間がいるって知らせ受けたからさ。

 ここも本当は管轄外なんだけど急ぎみたいだからわざわざ借りて来たんだよ」


「それじゃお稲荷様は管轄外ってことね。

 あなたの担当は何を祀っているところなの?」


「僕はね、水難事故後に祀られる慰霊碑のあれさ。

 簡単に言えば水神ってやつだね。

 ちなみにこないだの慰霊碑は、国民学校の授業で亡くなった人を慰霊しているんだ。

 昔は川で泳いでたから流されたり溺れたりする子が結構いたんだよねぇ」


「もしかしてそれが元々の海人君ってこと?

 あなた友達だったんなら助けてあげればよかったのに」


「違うよ、死んだ後に友達になったのさ。

 慰霊碑が建てられて学校は解体されたんだけどね。

 神を祀ったことであそこにやってきたのが僕ってわけさ。

 亡くなった海人君は未練でその場に留まってしまってねぇ。

 次の世界へと送ってあげるまでの間、色々と話をしたりして過ごしたのさ」


 こいつはまた本題に入るまでが長そうだ。話し相手がろくにいないもんだから、俺たちのことを暇つぶしの相手か何かだと勘違いしているんじゃなかろうか。だが俺も一応自分のことを言われているようなものだから気にならないわけでも無い。


「海人と言う名なのに水の事故で死ぬとはついてない男だったな。

 運命と言うのはいつどこで狂うのか誰にもわからないものだ」


「そうだねぇ、海人君の父親は海軍のちょっと偉い人だったらしいよ。

 だから海に生きる自分を投影して海人って名づけたみたい。

 慰霊碑が出来た後には毎日お参りに来てたよ」


「今はもう来ていないのね。

 当時親ってことはもう生きてる歳でもないか」


「そうだね、あれからもう百五十年くらいは経ってるのかな。

 まだ親族がこの辺りに住んでいるのかどうかもわからないよ」


 ここまで聞けばこの身体の元の持ち主のことで気になることはない。俺は横道にそれた話を戻そうと思い本題について話し出した。


「じゃあこの話はもう終わりだな。

 そろそろ本題に移らせてもらおう。

 実はあの時にもらった俺の剣なんだが人を斬ることが出来なかった」


「ええ…… この現代日本で人斬ったの?

 やっぱりそんなことが起きるんじゃないかと思ってたんだよねぇ」


「やはり心当たりがあるんだな?

 いや責めているのではない、逆に感謝しているくらいだ。

 俺も武器を持った相手に襲いかかられてつい奮ってしまいまずいとは思ったんだしな。

 ただその後、相手の様子がおかしくてな?」


「もしものことはあると不味いと思って剣を霊体にすり替えておいたのさ。

 だから斬ったはずが斬れて無かったってことじゃないの?

 それとも他に何かあった?」


 俺はジョアンナ同様、その場で起きたことを事細かに伝えた。すると神はしばらく考え込んでいたが、やがて目を見開くと驚くべきことを口にした。


「うん、わかんない。

 一応自衛くらいはできるように斬れば気絶くらいするようになってたはず。

 でも意図してたのと違うね、ちょっとステータス見てみてよ。

 なにかわかるかもしれないでしょ?」


「そう言えばそうか、基本を忘れていた。

 俺になにか能力が追加されているのかもしれんな」


 こればズバリ当たっており、スキルの欄には『魂砕斬撃』というものが追加されていた。字面からすると予想通り魂を砕くような作用があると考えられる。それならば俺が考える通りに事が運ぶかもしれない。


「なになに? 結局何がどうなってたわけ?

 ちっともわからないから説明しなさいよ」


 面倒くさがった俺に変わって神はジョアンナへと事情を説明した。しかしそれで納得しないのが欲深き人間である。自分にもなにか能力を寄こせと駄々をこねだす。


「大体さ、どういう仕組みかわかんないけどうみんちゅの翻訳はズルでしょ。

 異世界語と日本語ならまだわかるよ?

 でも英語までわかっちゃうってどういうことなのよ!

 アタシにもその力ちょうだいよ、それだけは地球の神様の力なんでしょ?」


「うーむ…… 英語が理解できるはずはないんだけどなぁ。

 僕は現代語に翻訳するよう変更しただけだよ?

 異世界語が元々英語に近いから理解できたって勘違いしてるんじゃないの?」


「そうなのかしらねぇ、嘘だったらただじゃおかないわよ?

 別に大富豪にしろとか不老不死とか永遠の若さとか贅沢言ってないのにさ」


「もう、ホント人間は欲深いよねぇ。

 でもそれが君たちを進化させてきたのも事実で、僕たちに恩恵があるのまた事実。

 仕方ないな、僕に出来ることでそれほど悪影響の出ないスキルを一つ授けようか」


「うんうん、その言葉を待ってたのよね。

 さ、どんなの? いくら食べても太らないとか、自由に水道からコーラ出せるとかでもいいわよ」


「そんな能力は存在しないよ……

 えっとね、他人の嘘を見破れる力をあげよう。

 でも常に発動してると疲れちゃうし疑心暗鬼で過ごす羽目になるからさ。

 相手に嘘をつくなと宣言した時だけ発動するようにしておくね」


「なんか便利そうだけど使い道のなさそうな能力ねぇ。

 例えばどういう時に使うのよ」


「じゃあ聞いてみたらいい。

 冷蔵庫のシュークリームを勝手に食べてしまったかどうか、とかさ」


「ちょっとまって?

 それってうみんちゅに聞けってこと?

 昨日買ってきてそのままのはずだけど?

 嘘つかないで答えてよ? アタシのシュークリーム食べたの?」


「何を言ってるんだ?

 学校へ行く前に便所へ持って行って食べてしまったなんてことないぞ?

 いや、違くない、本当のことだ! あれ? ちくしょう! この人でなしな神め!」


「…… うみんちゅは帰ってからお仕置きね。

 でもまあ使いどころがないわけじゃないのはわかったわ。

 これで我慢しておくわよ、今回は」


 今確かに『今回は』と言った。俺の翻訳能力は気のせいだったんだから、話はそれで終わるかと思ってたのに何てこった。俺は絶対にジョアンナへ隙は見せられないと気を引き締めた。


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 お読みいただき誠にありがとうございます。数ある作品の中から拙作をクリックしてくださったこと感謝いたします。少しでも楽しめたと感じていただけたなら、ぜひそこの戸をお伝えくださいますと嬉しいです。


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