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覗く男の子

「さあ...脱げ?」


ズバルは3階にある寝室にセシリアと入るなり、そのセシリアを乱暴にベッドの上に押し倒し、セシリアの胸元が大きく開いたブラウスを舐めるように眺めたあとそう促し、自身も身に付けていた鎧のベルトを緩めた。


ズバル「時間が無いのでな?...お前と遊んでやれるのも深夜の1時過ぎまでが限界だ?...さあダラダラしてないで早く脱ぐのだ?」


そのときの時刻は、まだ20時半を回ったばかりだった。


ズバルは鎧を外し衣服を無造作に脱ぎ捨てると、まだ下着を脱ぎ終えていないセシリアに抱きつき、


セシリアの下ろしかけた下着を片手で乱暴に脱がした。


嫌がるセシリアを力付くで抱き寄せ首筋から耳たぶ辺りまでを舌で這わしたあと、口をセシリアの唇へと持っていくとセシリアは直ぐにそのズバルの口から顔を突き離し


セシリア「口づけだけは...キスだけは勘弁してくれ!」


ズバル「......お前..まだそんなこだわりを持っているのか?


せめて口づけだけでも好きな人と...


ふん! ずいぶんとロマネスクだな?」 


セシリア「...悪いのか?...こだわり持っては.....」


ズバル「いや....だが少々その気性の荒らさだけは、なんとかしなくてはな? そんなことではロマネスクが泣くぞ?


さあお仕置きだ。


ケツをこっちへ向けろ!」


そう言い放ったズバル方にセシリアは言われる通りに尻を向けるとズバルはピシャリと振り払うように片手でセシリアの尻を叩いた。


──


ズバルに弄ばれて30分以上たったときセシリアは、


ベッドの横にある5メートルくらい離れた位置の窓の外で何か動くものを見た。


小さい人影のような...。


ズバルがまたセシリアにうつぶせになるように指示して、セシリアがその通りに姿勢を変えようとしていると窓の外からこっちを見る小さい男の子に気がついた。


(...なんで子供が私を見てるんだい?


...全く..ませたガキだ)


セシリアは、その3階のベランダの外にいる男の子が気になり始めると


(どうやって上がって来たんだ? まあ上がって来れない高さの場所じゃないが?.....ははーん...路地裏にあるハシゴを使ったな? あの悪ガキ...あぶないことを楽しむタイプの男の子だな? ふん..全く)


そう思い、不意に窓を見るとまたあの男の子が外の窓から顔を覗かせてベッドの上にいるセシリアを見ていた。


セシリアがズバルの注意が完全に自分の体にいっていることを確かめるとセシリアは窓の外にいる男の子に目で合図を送った。


(向こうに行け!...ここは、お前みたいな子供が来る所じゃないの?)


そのセシリアの必死の目の訴えに対して外にいる男の子は、外の下を指さしてから手元に持っているものをセシリアに見せた。


(..なにを持ってるんだ?......あっ!? あれって...手綱じゃないの?)


その男の子が持っていたのは、馬に付けてある手綱であった。


しかし、よく見るとその手綱の繋ぎ部分の紐は、刃物か何かで切られたように垂れ下がっており、それに気づいたセシリアは、


(あの野郎?...いきなことしやがってよ...いったい何処の悪ガキだい! 全く...ふふ)


そのセシリアの表情に気づいた男の子は、


にったりといたずらを成功させたあとにする表情をセシリアに見せた。 


「..うん? なんだ...窓の外になにかあるのか?」


そのズバルの声にハッ!として窓に目を向けたズバルの方を見たあとセシリアはもう1度、窓の外に目を向けたが...既に窓の外にいたあの子の姿は消えていた。


セシリア「ええ?...外の..外の星を見ていたのさ..」


ズバル「...星だと?...ずいぶんとさっきからロマネスクだな? 口づけを拒むといい...星を見ていたといい...」


セシリア「悪いか?....ロマネスクを信じてはいけないのか?」


ズバル「..いいや? ダメだとは言っておらん...だが、その性格をどうにかしなくてはいかんな? せっかくのロマネスクも泣いておる...


なあ、セシリアよ? お前は上級の女だ。


..お前のような女は、そうそう見つけられるものではない。


それに見てみろ? アルダ・ラズムの連中もお前の体を追ってわざわざこんな田舎町にまでやって来るではないか?


しかも、少し見ぬ内にこんなにいい体になりよって...


そこでどうだ? その性格を改めんか?


お前には、そんな荒々しい性格は似合わん...


最初、お前の噂を聞いてやって来たときは、とてもおとなしい性格だったではないか?


....改めろ。そうすれば俺の愛人にしてやる?


そうなれば他のアルダ・ラズムの兵士に抱かれなくて済むぞ? どうだ...悪くはないと思うがな?」


セシリア「....アルダ・ラズムの愛人になるくらいなら..娼婦をやってる方がましですわ?..」 


そのセシリアの言葉が終わると間を置いて力んだズバルの手がセシリアの頬をぶった。


ズバル「口の減らん女だ! さあ早くケツをこっちへ向けろ! こっちは明日の大仕事の為にカリカリしているのだ! ええい! 早くしろ!」


セシリアは、そう言われた通りにもう1度ズバルの方へ尻を向けるとズバルはそんなセシリアの耳元に


「そうだ..忘れておった。あのお前が怒らしたアグロだが...周りも怖がるほどの気性の荒さでな...私も少々気を揉んでいるのだ...気をつけろよ?」


ズバルはそう言ったあと、セシリアの尻を強く張ると静かな部屋の中でその音が虚しく響き渡った。


(...今ごろ..あの子が逃がした馬は...草木の匂いに誘われて迷いの森へと向かってんだろうなぁ....私もあの子に逃がしてもらおうかな...迷いの森へさ?)


セシリアは、ぶったれて痛みを感じる頬に涙が1滴零れ落ちると、


こころの奥底で哀愁の混じった想いがふつふつとこみ上げてくるのを感じ..それを噛み締めた。

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