紅い毛の女
"100年前の魔法が武器であった時代が終わり、魔法が道具として扱われるようになって80年以上が過ぎた..."
異世界にある大都市
イルモニカ
その街から離れた海辺に、
スエル・ドバードと呼ばれる場所があった。
この町は紳士の街とされるイルモニカと違い、荒くれ者が多く住み着き、毎晩のように飲み更けては暴れたり、乱闘騒ぎを起こすことでも知られていてイルモニカに住民にとっては近寄りたくない場所として有名でもあった。
そんな町には似つかわしない女性
セシリア・ルージュ
彼女は紅い髪の毛をしており、そのショートの紅い髪とその風貌から町を歩けば振り返らない男性は、そういない存在でもある。
しかし
その彼女の本当の顔は、夜の酒場で荒くれ者やアルダ・ラズム帝国の兵士の相手をする性奴隷であった。
この物語は、そんな悲惨な逆境の人生から光を見出だそうとした強気女性の話であり、その光があの転生なる伝説をも呼び起こしてしまった、恋愛による産物というなの悲劇である。
───
セシリア「ほらよ!
500ギルド...ちゃんと集金してきたぜ?」
ニズル(店主)「...猫ババはしておらんだろうな?」
セシリア「あのなぁ...わたしがそんなことする訳ないだろう?
小銭ごときにさ?」
ニズル「..ふん! その小銭ごときをまだ払い終えていないのだぞ?
そんな偉そうに言える立場か?
えー?」
セシリア「分かってるよ?
わたしは、あんたに借金を返し切るまで
あんたの有り金には、いっさい手をつけないって
決めてるのさ?
納得したかい? お爺さんよ?」
ニズル「...誰が納得などするか!
その前にその店主に対する言葉使いに気をつけろ?
俺はここの主であって、お前はここの奴隷だと言うことを忘れるな!」
セシリア「はいはい! 分かりました?
そう頭に血を上らすなよ?
もうお年だろ?」
ニズル「黙らんか!
...全く可愛いげのないやつめ..
黙っていれば周りも驚く美人なのに...
喋ると直ぐこれだ?...いいか?
2度と疑われるようなことは、するな?
分かったな!」
セシリア「分かったよ...
じゃあ、悪いがちょっと出掛けて来るわ?」
ニズル「..おお、おい! 何処へ行くんだ?」
セシリア「スエル・ドバードの外!」
ニズル「おい! 今日の20時までにはちゃんと帰って来るんだぞ? 分かっているな!」
セシリア「はいはい!
そんなこと言われなくても分かってるよ!」
ニズル「今日は、あのアルダ・ラズム帝国の団長のズバル様がお前を指名しているのだ。
絶対に遅刻するなよ?」
セシリア「ふん...
くどいよ..
分かってるって言ってるじゃんかよ...
自分の立場を......」
セシリア・ルージュ
幼少期に母の借金の身代わりとして、スエル・ドバードの酒場ボルカに売られ、
借金返済の為に身を削って働いてきた女性は、
16歳を向かえると同時に
借金の返済の為に、
性奴隷として持て囃された。