今年の抱負(奈々)
今年の抱負は何にしましょうかね
新年が始まったので何か目標を立てようと思い、習字道具を取り出した私は目の前の卓袱台の上にある半紙に何を書くべきか考えています。
自分の部屋で精神を集中しての書初めです。
抱負、抱負何がいいんですかね?
こういうのは高すぎる目標だとすぐ挫折してしまいますし、
かと言ってハードルが低いと、その目標に立てた意味があるのか疑問になってしまうものです。
例えば1日腹筋と腕立てを500回セットでって言っても絶対に次の日、次の日と言って
結局一年間やらなかったり。
逆に10回ずつと低すぎる目標を立てると半年くらいたって急にこの行動に意味があるのか疑問に思ってやめてしまったりするんですよね私。
(私の場合、思ったような成果が得られてないと続けていても虚しくなるんだと思います。)
と、言うわけで筋トレを例に挙げて話したわけですが目標というのはほどほどのものを設定しないといけません。
しかし、そのほどほどの目標を見つけるのが大変なんですよねー。
ちなみに去年と一昨年は目標が見つからなかったので「健康」というありきたりな
抱負になりまして。
桃花からは「素晴らしい!!何の努力をしなくてもいい簡単な目標だ」と評され。
母からは落胆のようなため息を吐かれたので今年は立派な志を立てたいと思うのですが
(あ、いえ健康という目標はそれはそれで立派な抱負ですよ。ただ私は高校生なので年相応といいますか……)
筆をとってはや2時間経過しています。
・・・ さすがに2時間も正座していると足がしびれてきますね ・・・
こういう時は気分転換が大事。
そう思い、私はリビングにあるみかんを取りに行くことにしました。
長い間、正座したいたので立ち上がると足が痺れ2、3歩よろめきました。
リビングにてーーーーーーーーーーーーーーー
「じゃあ、ここに打ち歩で王手を凌いで」
「2歩、ここにあんたの歩があるでしょう」
「う、じゃあ桂馬で凌ごう」
パチパチとダイニングテーブルで母と桃花が将棋をして遊んでいます。
「楽しそうですね将棋ですか」
「桃花が遊べ遊べせがむから付き合っているのよ」
湯飲みを飲み、いつも通りの受けごたえをする母。
「あれ、この匂い母さん今日はお茶ですか?」
・・・ いつもはコーヒーなのに珍しいですね ・・・
「まぁね。今日はコーヒーって気分じゃないのよ」
ノートパソコンも見当たらないので仕事をしてないときはコーヒーを飲む気になれないのでしょうか?
母について考えていると母の対面では困り顔をしている人が。
「うー、やっぱこの王手も待ったで」
桃花の方は将棋盤と必死に睨めっこをしています。(かわいいです。)
「あんたが塾考しているうちにどこに打ったのか忘れたわよ」
「お母さんって記憶力無いんだね」
「喧嘩売ってるのあんた」
新年早々、仲がいいですね。
「で、奈々。部屋で何してたの?」
不意に母が聞いてきたので書き初めをしている途中で今年の抱負で悩んでることを経緯も交えて話ました。
母は何だそんなことかというと将棋盤に目を戻します。
「どうせ。散々悩んで結局、健康に行き着くんでしょう?
先がわかってるならさっさとおきまりの抱負を書けばいいじゃ無い」
「だから今年はそのおきまりの抱負を変えようと悩んでるんですよ」
そういうと再びこちらを見てキョトンとした母は顎に軽く手を添えてなるほど、と頷きました。
・・・ どうしたんですか一人で頷いて ・・・
「じゃあ、今年の抱負は”即断即決”っていうのはどうかしら」
「どうして母さんが私の抱負を勝手に決めるんですか」
今年の抱負くらい自分で決めたいです…
「それは私も思うね。目標っていうのは自分で立てないと意味ないと思うよ」
あ、桃花も味方してくれます。(優しいですね)
「だってもう結構考えてたんでしょう。
さっき足を抑えてよろめきながら部屋から出てたくらいだし。
そこまで考えて答えが出ないないんだったら私が代わりに考えてあげようと思ったんだけど。
ほら桃花もたまにあんたと買い物に行って試着させられる服を選ぶのに長時間拘束されて困ってたし」
母さんがそう答えると今度は桃花が目をきらめかせました。
「確かに奈々は選ぶのに時間がかかるね。私も今回はお母さんの意見に賛成!!」
何を納得したのか腕を組んで何度も頷いてみせる桃花
・・・ そんな簡単に寝返らないでくださいよ…… ・・・
でも、まぁ長い時間考えて答えが出ないならいっそ誰かに決めてもらうのもいいかもしれませんね。