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一人だと、心が潰れちゃいそうだから

 ティーちゃんと別れを告げて、廊下を歩いていると、家庭科室や実験室でパート練習をしていたと思われる、吹奏楽部の生徒たちが、楽器と楽譜と水筒を抱えて、音楽室へと早歩きをして通り過ぎていった。後ろから、「ほら、もう反省会始まるから」という声を聞く。反省会とか、響きが懐かしい。

 俺とティーちゃんの勉強会は、大体クラブ終了時刻の十分前くらいに終わる。それは、俺が、部活のメンツと鉢合わせになりたくないからだ。ティーちゃんに会って、勉強出来るようになったり、人をそんなに恐れることなく言いたいことがあるときは言えるようになったりはしたけれど、それでもやっぱり、部活には戻れそうにない。そこはきっと、変わらないんだろうな――そんなことを考えていると、下駄箱に着いた。下駄箱に来ると、開いたドアからむわっという夏の生ぬるい風に包まれた。もうすぐ夏本番だなぁ、と長くなった日を細目に見て感じる。

 閑散とした下駄箱の床に俺が靴を投げ出したとき、後ろからも同じ靴を投げ出す音が聞こえた。俺はそっと後ろを振り返る。そしてはっとした。後ろに居たのは、夕凪翔平だった。俺に気が付くと、彼は、少し気まずそうに、「......っす」と会釈した。俺も、軽く会釈する。

 翔平は、サッカー部である。強化クラブであるサッカー部は、下校時刻以降の八時頃まで毎日部活がある。こんな早い時間にどうしたんだろう、と俺は気になった。

「何か用事でもあんのか」

 俺がそんな風に声を掛けたことが意外だったらしく、翔平は、「は?」と目を丸くさせた。――まぁ、前に喋ったのが、「さっきのお前、見苦しかった」だったら、そんな質問、拍子抜けするか、と俺は納得する。

 翔平は、少し俯いた。靴を履くために下を向いているだけかもしれないが。トントンという音を立てて足を靴の中に収めると、

「じいちゃんの、お見舞い」

 と短く返事をした。俺は、予想外の答えに、少し気まずくなって「......そうか」と返した。翔平はこくり、と頷きながら、

「多分、もうすぐ......死んじゃうから」

 俺の心に、その言葉が、一滴の悲しみとなって、零れてきた。その悲しみは、ゆっくり静かに波紋を広げていく。翔平の気持ちを感じながら、俺は、ゆっくりと翔平に近づいた。翔平は、ひんやりとした目で俺の顔を睨む。「なんかあんのか」と言わんばかりの表情だ。

「途中まで、一緒に帰ろう」

 俺がそう言うと、翔平は、また「は?」と怪訝そうな顔をした。干渉しすぎただろうか、と俺は心配になったが、そんな俺の顔をしばらく見つめて翔平は、ふっと、鼻で笑って顔を逸らした。

「余計なお世話......って言いてぇとこだけど、今日だけ甘えさせてもらうわ――一人だと、心潰れちゃいそうだから」

 そう言って、長袖のワイシャツの腕をまくりながら、翔平は玄関を出た。俺は、慌ててその後を追った。


「清瀬は誰か身内が亡くなった経験とかあんのか」

 二人で並んで少し歩くと、前を向いたまま、翔平がそう質問してきた。

「えっと......俺が生まれた時点で生きていた親戚は、今のところみんな元気」

 と俺が答えると、翔平は、「そう」と相槌を打った。

「俺もそう――だから、人が......自分にとって大切な人が死んでしまうのが、すごい怖い」

 翔平はそう言って俯いた。その言葉に、俺も遠くに住んでいるおじいちゃんやおばあちゃんのことを思い出した。こないだ会いに行ったときは元気そうだったけど、次もちゃんと元気に会えるんだろうか――

 俺がそんなことを考えていると、翔平がこっちを向いて、

「あぁ、清瀬。その――こないだは、ごめん」

 と言って頭を下げた。俺は、え、と呟く。そんないきなり謝られるなんて、予想外だった。俺が、

「何が?」

 と返すと、

「その。こないだ俺が、TAに対して、居なくて良くね? みたいなこと、言ったときあったろ――あの時期。ちょうどじいちゃんが倒れて。じいちゃんが死んじゃうかも、って思ったときに、何でこんな役に立たないものは永遠に生きることが出来て、じいちゃんは死ななきゃなんないんだろ、みてぇなこと考えたら、なんか、情緒不安定になって。今もそうだけど......だから、あんなこと言ったの、本当はずっと後悔してたんだ。悪かったな」

 と打ち明けた。俺は、翔平から謝られることがあると思っていなかったことと、あの言葉の裏には、そんな事情があったのだということに、ひどくびっくりした。そして、俺の方こそ、相手の事情を何も想像してやることが出来なかったことに申し訳ない気持ちになった。

「そうだったのか......ごめん。気づけなくて」

 俺のその言葉に無表情に手をひらひら振りながら、翔平は、

「いいよ、気づかれても困るし」

 と答えた。――まぁ、確かに。

「でも、それ俺に謝るんじゃ無くて、今度ティーちゃんに謝れ。ティーちゃん、結構そのことで、人間が嫌い、って思っちゃってたときあったから」

 俺がそう言うと、翔平は、キョトンとした顔でこちらを振り向いた。

「え。人間が嫌い、って、そんな......自我みてぇな感情あんの? あれ」

 俺が頷くと、翔平は、マジか......と俯いて頭を掻いた。

「それは――本当、悪かったな」

 その後しばらく俺らは黙って歩いていた。俺は、翔平は、落ち着いて話してみると、意外と話のわかる良い奴だな、と感じた。ちらり、と翔平の横顔を一瞥する。その顔に涙は無いが、おじいさんの死を恐れて、必死に泣くのを堪えている様子が窺えた。

 道沿いに生えているネコヤナギの葉がゆらりゆらりと揺れる。俺は、頭の中にふと浮かんだ映像を頼りに、不意に口を開いた。

「こないださ、すげぇ久々にお葬式に行ったんだ。小さいときからお世話になっている、近所のおばさんの」

 俺の突然の話の切り出しに、翔平は驚いたようだが、うん、と頷いた。

「俺は知らなかったんだけど、心臓に持病があったんだって。だから、まだ若かったから、俺にとっては本当に急で――すげぇお世話になったのに、まともに御礼も言えなかった、ってすごく後悔した。会場行って、遺影の太陽みたいな笑顔の写真見たら、なんかもう涙こみ上げてきて。この、太陽みたいな笑顔の人が、もうこの世には居ないんだ、って思ったら。辛かった」

 俺はなんでこんな話を翔平にしているのか、自分でもわからなかった。ただ今の彼になら、俺がこれまで誰にも言ってきていなかったことを言える、それを話したい、ととにかく夢中で話し続けた。

「でも、そのうちに思ったんだ。そうやって今世? っていうの? で、周りの人にたくさん笑顔を与えてきて、素晴らしい人生を送ってきたこの人が、生まれ変わったときに幸せじゃない人生を歩むはずがないな、って。で、そんなおばさんが生まれ変わった先の世界をつくっていくのは、俺らの世代なんだ、って――そう思ったから。その生まれ変わった人が、人とも限んないけど......幸せに、安全に、平和に過ごせる世界を、俺らの世代でつくっていきますから、待っていてください、って――そんな気持ち込めて送り出したんだ。あと、棺の中に柿が入っているのも見て、ほっとした。『この世の食べ物の中で柿が一番好きで、最後の晩餐に食べるなら、柿が良い』っていう話を、おばあちゃん家からのお裾分けの柿持っていったときに、したことがあったから」

 俺は、そこまで言って、ふわりと笑った。翔平はそんな俺を不思議そうに見つめて、「清瀬」と言うと、

「俺のじいちゃん、まだ死んでねぇから。なんか、もう死んじゃって、俺に励まし送ってくれているみたいなになっているけど、まだだから」

 と、無表情に突っ込んだ。俺は、あ、と呟いて、

「ご、ごめん」

 と頭を下げた。翔平はそんな俺を見て、鼻で笑って下を向くと、

「いや、いいよ――ふっ。思いのほか、清瀬って面白ぇな」

 と呟いた。

「は? どこが?」

「いや、だって普通、お葬式行って、亡くなった方の来世が安穏に暮らしていけるように、自分らの世代が道拓いとかなきゃーみたいな決意なんてしねぇじゃん。なんか、考え方が普通じゃなくて、聞いていて面白ぇな、って思う。こないだは何も知らずに、心無いんだな、みたいなこと言っちゃったけど、むしろ反対。すげぇ心豊かだな」

 そう言う翔平の表情に少し柔らかさが戻ったのを感じて、俺は少しほっとした。

「それって要するにさ、お世話になった先輩が卒業したあとに、その先輩方と同じ学年カラーの上履き履いた後輩が入ってくるようなもんだろ? 自分たちが色々、先輩のお陰で成長させてもらった恩とかを、今度は自分らが先輩となって、同じ色の上履き履いた後輩を育成することで返していく、みてぇな」

 翔平のその例えに、俺は衝撃を受けた。なんてわかりやすい例えだろう、と思うと同時に、なぜ学校に置き換えるならそういうことだ、と俺は気づけなかったんだろう、と考えを巡らした。

 しばらくぼーっとしてしまっている俺を見て、翔平はくすり、と笑った。そして、真面目な表情に戻ると、

「なぁ、お前、なんで怪我治ったのに、部活復帰しねぇの?」

 という質問を投げかけてきた。俺は驚いた。俺が翔平と知り合いになったのは、今年同じクラスになってからだ。二年になってから俺は部活に行っていないし、クラスの奴らに自分がハンドボール部だということは言っていない。恐らく多くの人は俺を帰宅部だと思っているだろう。なのに、なぜ、翔平は、俺が部活に入っていること、怪我をしていたことを知っているのだろう。

「俺さ、一年のとき、同じグランドで部活やってるハンド部、ちょくちょく見てたんだ。だから、お前は知らなかったかもしんねぇけど、俺はお前のこと知ってたんだ。名前は二年になってから知ったけど――明らかに経験者ではないけど、毎日朝練に来て、基礎練も黙々とへばらずにこなす、クールな奴が居んなぁ、って」

 予想外の翔平の言葉に、俺はまたまたびっくりしてしまった。翔平は続ける。

「俺さ、最初の頃毎日、朝練遅刻して来てたから――他の連中がちょくちょくサボっていたり、休んでいたりする中でも、毎日真面目に練習こなすお前見てて、すげぇなぁ、って密かに思ってたんだ。だから、『今日は朝練休もうかなぁ』って思ったときも、でもあいつは俺がサボろうとしても頑張っているんだよな、って思って、二度寝振り切って起きれるようになった。つまり......お前は結構、一年のときの俺の心の支えみたいなもんだったんだぜ」

 俺は思わず、立ち止まってしまった。頭の中に、「♪ずぅっと前から君が好きぃでぇしたぁあ♪」という西野カナの歌声が響く。いや、決してそういう告白ではないのだが。だがその一方で、翔平が言っている「清瀬」は去年の俺でしかなくて、今の俺とは違う、部活を一生懸命やっていた頃の俺なんだなと思うと、なんだか切なくなってきた。

 俺の複雑な表情を見て、翔平も、ぴたり、と立ち止まった。

「だから、怪我したのも知ってた。それでもお前は練習の見学に来ていたから。早く良くなって、また一生懸命真面目に練習するお前を見れるのが待ち遠しかった。だけど――その後、ぴたりと来なくなったな。聞いたところによると、退部したわけでもないらしいし。なんで怪我治ったのに、復帰しねぇの?」

 俺は、まさかハンド部以外の人からそんな質問をされると思っていなかったため、しばらく、反応に困ってしまった。だが、ここまで、俺の高一時代の部活の様子を知ってくれている翔平になら、誰にも言っていなかった、俺が幽霊部員になった理由を言えるかもしれない、そう思って俺は口を開いた。

「なんていうか、怪我で見学していたときに、俺が居なくても、練習は回っていくんだ、っていうことを見せつけられているような気がして――悔しかった。それから、全然行けなくなって。俺が居ない間に、同期の面子は、どんどんその絆を深めていっていた。先輩の追いコンだけは行ったんだけど、そのときに、あぁもう俺にはこの絆の中に入り込めねんだな、って思った。この部活にもう俺は必要ねぇんだ、って。退部もしようと思えば出来たけど、でも、退部するときって、歴代の先輩とか、何かメッセージを残して去っていってたから――それをする勇気も無くて。今、幽霊部員になってる、って感じです」

 最後なぜか敬語になって俺は口を閉じた。翔平は、

「......なるほどね」

 と呟いた。翔平が歩き始めたため、俺も後を追って歩き出す。翔平は歩きながら、目を動かして何か考えているようであった。俺らの目の前をシャシャシャッと、三毛猫と黒猫が横切って反対側の植え込みに消えていく。翔平は、そんな野良猫たちに「にゃあ」と面倒くさそうにリアクションをすると、俺の方に向き直った。

「集団の中に居る故の孤独ね。清瀬のとは違うのかもしんねぇけど、俺にも似たような経験があるから、わかるな――俺、こんな性格だからさ、周りの奴らは声に出しては言わねぇけど、あぁ、こいつら俺のこと嫌いなんだなぁ、って思うことが多くて。それでも、気付かねぇ振りしてる。結構そのスキルだけは上手くなったなぁ、って密かに思うな。誰にも自慢できることじゃねぇし、こんなこと出来るようになっても何も嬉しくねぇけど」

 俺は思わず翔平の顔を見上げた――意外と、こいつと俺は共通点が多いというか、似ているところがあるのかもしれない。

「確かに、お前が居ない間に、ハンド部の奴らはどんどん仲良くなっていった。んで、まぁ確かに、お前が居なくても練習は回る――だけどな、お前が居なくなって、ハンド部に明らかに欠けたものがひとつあんだぜ」

 そう言って、翔平は、悪戯っぽく、俺と目を合わせてきた。目を丸くする俺に翔平は、にやり、と笑うと、

「それは、ハンド部員の朝練の結集率」

 と答えた。俺は、「......は?」と聞き返す。

「お前が居なくなった途端、ハンド部の朝練は、一気に衰退した。今はもう、ほぼ、毎日来ている奴は居ねぇ」

 翔平のその説明に、俺は頭を巡らせる――そんなはずはない。俺以外にも、毎日朝練に参加する同期は居た。俺が居なくなったって、そいつらは来るはずだ。

 そんな俺の心理を読み取ったかのように、翔平は、ふふん、と鼻で笑う。

「清瀬は気づかなかったかもしんねぇけど、ハンド部のもともと毎日朝練に来ていた連中も、清瀬が毎日朝練に来ていたから、参加していたんだぜ。参加しないと、清瀬にあっという間に追い抜かれる、もしくは置いていかれるからだ。俺が見る限り、清瀬ほど真面目に練習に取り組んでいた奴は居なかったからな。だけど、清瀬が来なくなって、真面目に朝練に取り組む奴が居なくなった。『清瀬に追い抜かれる・置いていかれる心配もなくなったし、朝練なんて面倒くさいもの、行かなくていいやー』って心理が働いた結果、今のハンド部がある。自覚はなかっただろうけど、お前は、案外、ハンド部になくてはならない存在だったんだぜ」

 翔平の言葉に、俺は、何も言葉を返すことができなかった。

 ――なんだよ、それ......そんなこと言われても。

 俺が、そう心で呟いて、道を曲がろうとしたとき、

「清瀬――まだ手遅れじゃねぇよ。まだ高二だろ。引退は早かったとしても、高三の五月じゃんか。今なら、まだ戻れるぜ。まぁ、あいつらがどう思うかは知んねぇけど。緩んだ連中にどかんと風起こしてみるっていうのも悪くねんじゃね? レギュラーになれる保証はねぇけど。気が向いたら行ってみろよ。俺は、部活は違うけどお前の復帰を密かに楽しみに待ってっから」

 翔平はそう言って、俺の肩を、ぽんぽん、と叩いた。その手つきにはどこかぎこちなさがあったが、彼なりに精一杯、俺のことを励ましてくれているのだと、伝わってくる手つきであった。

「じゃあ、俺病院行くから――サンキュな。今日は。じゃあ」

 そう言い残して翔平は、俺と反対方向に向かって、走っていった。そのときになって俺は、あぁ、急いでいたのに、立ち止まったりして悪かったな、と申し訳なくなった。だが、一度は、敵のように思えた翔平も、話したことで、俺にとって良い理解者であるということがわかった。

 人とゆっくり話すって、やっぱり大事なことなのかもしれない――明日ティーちゃんに会ったら、そういうことも教えたいな、などと俺は考えて、鞄から今日ティーちゃんから指導を受けた際に取ったノートを取り出した。


 次の日の朝、翔平は、ティーちゃんのところに、「TAさん、ごめんなさい」と言いに来た。ティーちゃんは、そんな翔平の顔をしばらく、じっと見つめていたが、

「イイエ。お構いなく。――こちらこそ、翔平クンを勝手に悪い人と決めつけてしまい、勝手に傷ついて、すみませんでした」

 と言って、最敬礼をした。

 時間にしたら多分、十秒くらいの出来事だったのだろうけど、俺は、それはすごく大きな出来事であると感じた。


 その日の放課後、俺はティーちゃんに、翔平がティーちゃんに冷たい態度を取ってしまった時、実は、おじいさんの病気のことで、情緒不安定だったのだという話をした。話を聞いたティーちゃんは、ゆっくり頷いて、

「確かに、大切な人が亡くなると考えたら、自分を見失いそう――登クンが死んでしまったら、私......涙を止められないだろうと思います」

 と静かに呟いた。

「だけど――私は、自分が死なないということも、怖い。登クンのように、私にとって大切な人が、たくさん出来たとしても、人間はみんないつか死んでしまう。けれど、私は、死なない――一体私は、どれだけの人の死の苦しみを味わって生きていかないといけないのだろうと思うと、胸が苦しくなります。人間と同じ死ぬ運命に自分自身がいないことが、私は怖い。いっそ、誰のことも大切だと感じなければ、ラクなんでしょうけど......登クンはもう大切な人で、それはもう、どうしようもできません。だから、登クン......」

 ティーちゃんは、そう言って俺の目を見つめると、

「長生き、してください」

 その言葉に、俺は心を動かされた。

そのときは、うん、と頷いただけだったが、家に帰って、自分の部屋に入ったとき、涙が零れ落ちてきた。俺は、ベッドの枕に顔を埋めながら、長生きしたい、と心の底から感じた。そんな気持ちになるのは、生まれてはじめてだった。


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