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終末世壊と立方体 -Broken World and Regular Hexahedron-  作者: まっしろ委員会(黒)
第一章 長い上り階段と二人の日常
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プロローグ カコノキオク 5

「大分眠そうだけど、晩御飯食べるか?」


 眠さのせいで、瞼を閉じた少女。

 かろうじて、といった感じでつむいだ言葉は、


「もちろん」


 ノーと言われば、すぐにでも寝袋の準備をしようと思ったのだが。

 さすがというか、なんというか。


「食欲魔人め」


「ありがとう」


 褒めてねぇよ。


 ……さておき、カバンを開く。

 幸い、上の方にあったからひっくり返さずにすんだ。


「レーションでいいよな」


 きちんと整理された中から、銀色の缶を取り出す。

 表面の印字はかすれて読めない。

 けど、慣れ親しんだレーションだった。


「それ以外に何かあるの?」


「ないよ」


 コパッ、と蓋を外す。

 乾いた香りが広がった。


 この匂いは……特徴がないからプレーンか?

 ――良かった、晩御飯がチョコ味とかじゃなくて。


「なら別にそれでいいよ」


 少女が興味を失くしたように、立ち上がった。


「……というか、なんで準備してるんだ。僕」


 少女もカバンに向かう。


「そっちが勝手に始めたんじゃん。あと、マット忘れてるよ」


 少女はカバンからランチョンマットを取り出し、僕の前に広げた。

 缶の中に入っていた棒状のレーションを、マットの上に広げる。


「ご飯にするよ」


 再びカバンを漁り始めた少女に告げる。


「まって、ついでに寝袋だしちゃうから」


 数十秒もしないうちに丸めた寝袋を二つカバンから取り出した。

 赤色と青色の二つ。

 ほぼ新品、汚れなんてほとんどない。

 コールドスリープした部屋に置いてあったものだ。

 少女が隅のほうに放り投げ、先ほど広げたマットのほうに歩いてくる。

 胡坐をかいて座っていた僕の前にちょこんと座った。


「じゃあ」


 少女と目を合わせる。


「うん」


 手が合わさって、パチン、と鳴る。


「「いただきます」」


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