謎の声
いつも心が空っぽのようにどこか寂しいような気がする…。一つのピースが欠けていて心のパズルが埋まってないような感じだ。
しかし、その欠片は…もう取り戻すことの出来ないところに行ってしまった。どれだけの時が過ぎようと忘れることはない。僕の「大切な人」の欠片だから…。
昔…僕が高校生の頃、ある一人の先輩がいた。その人が僕の恋人で「大切な人」の「涼月柚璃」先輩だ。名前の通り、柚(オレンジ色)のユリ(花言葉は華麗)のように美しく、璃(宝石)のようにいつも輝いている人だった。
成績優秀で運動神経抜群、そんな彼女は友達も多かった。僕とはかけ離れていて、そんな先輩を僕は憧れていた。
しかし、柚璃先輩は…ある日交通事故でなくなった。それも、僕の目の前で…。当時、先輩と付き合っていた僕には、底知れぬ絶望と悲しみのなかに突き落とされたような気分だった。
それからずっと、僕は先輩がいなくなった悲しみや寂しさ寂しさとすぐそばにいて助けられなかった悔しさ抱いて生きてきた。五十年は過ぎた今でもずっと…。
僕は布団に入り、
「もし、僕の願いを叶えてくれるなら神様でも誰でもいい。あなたを失ってしまう前の世界へ戻してください…。」
叶うはずのない望みだと知っていながら、それでも僕はまた先輩に会えると思って、…いや、思いたかった。そんな無駄な期待が叶えば、そう願って僕は眠りに落ちた。
???「君は、…過去に戻りたいといったね。ならば、君の願いを叶えてあげよう。最初で最後の夢を君に見せてあげることにしよう。」
眩しい。いつにもまして煌めいている太陽の光が窓から差し込んでいる。朝だ。また、いつもと変わらない一日を過ごすことになると思うとため息が出てしまう。しぶしぶ、僕は暖かい布団の中から出た。
それから、僕はいつも通り顔を洗って朝ごはんを食べ…ようとしたが、何ということでしょう。年老いて老けていた顔が若返って超美男子になっているではないか!
しかし、この顔どこか見覚えがある…。思い出した!僕が高校生の頃の自分の顔だ。最初、何かの間違いだろうと思った僕は、何度も確かめた。だが、間違いではなかった。僕はなぜこうなったのか、色々考えてみたが僕には分からなかった。
「そういえば、寝ているときに夢の中で誰かに話しかけられたような…。」
その時、プルルルと音がなった。電話だ。こんな時間に電話なんて誰だろうと思いつつ、僕は電話に出た。
「もしも…。」
若い女性の声「海くん…。今何してるのかな??私に教えてほしいな☆。」