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猫魔ケットシーと異世界ダンジョン ~最弱なケモノは如何にしてダンジョンマスターになれたか~  作者: 深海のレモン
第1章  猫たちの非日常的ダンジョンライフ
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第15話 猫vs豚 対ウッドオーク・ウォーリアー戦





 猫魔ケットシーのファイヴと半獣人ライカンのレジーナは、禁断の墓標の森ワールドグレイブフォレストをさまよう内に、森にすむオーク達の集落に来てしまった。


 そして運の悪いことにこいつらは太陽の神にささげる生贄を探してる。

 祭壇の前に黒い法衣ローブをまとったウッドオークがいた。


 【鑑定】スキルで詳細を確認しましょう。






 種族 ウッドオーク・シャーマン


 召喚コスト 15DP


 属性 オーク・呪術師


 ランク C


 HP 30


 MP 56


 攻撃力 10


 防御力 12


 魔力 40


 俊敏性 15


 固有スキル 【レベル1炎系魔術】






 どうやらこのオークは炎系の魔法を使えるようです。

 厄介ですね。


 運が悪いことに見張りのオーク達が集まってきて取り囲まれた。






 種族 ウッドオーク・ウォーリアー


 召喚コスト 13DP


 属性 オーク・戦士


 ランク C


 HP 45


 MP 5


 攻撃力 30


 防御力 25


 魔力 10


 俊敏性 15


 固有スキル 特になし






 こちちは魔法が使いえないとはいえ、攻撃力、防御力ともそれなりにあり、

ファイヴとレジーナが戦っても、これだけの数を相手にするのは不可能だ。



「観念しろグル!」



 ウッドオーク・ウォーリアーの一体が迫ってきた。



「そいつらを太陽の神様への生贄とする。

 捕まえて祭壇に連れてくるのだ。グルルル……」



 とウッドオークの呪術師が配下に命令した。



「グルルル……」



 取り囲んでいたウッドオークウォーリアー達が、雄たけびをあげながら距離を縮めてくる。



「どうしますか? 数で勝ち目ないですよ」



 ケットシーのファイヴは額に冷たい汗が流れるのを感じた。

 しかしレジーナは冷静にこの状況を分析していた。



「私たちの背後は手薄だわ。

 私が3つ数えるから、そしたら後ろを向いて全力疾走して」



 どうやらレジーナには何か考えがあるらしい。



「1、2の……3!!」



 そう叫んだ瞬間、レジーナは持っていたクロスボウを構えて、ウッドオーク・シャーマンに狙いを定めた。


ドスン!


 発射されたボルトは寸分の狂いもなく、オークの呪術師の眉間を貫いた。



「ぬおおおおおお!」



 オークの呪術師が悲鳴をあげながらその場に崩れ落ちる。


 さすが【クロスボウ精密射撃】のスキルを持っているだけあります。


 他のオーク戦士たちは声を失い、唖然とした顔でその光景を見ていた。


 その隙を逃がさず、ファイヴとレジーナは、後ろを振り向いて全力疾走した。


 背後にいたオーク達は立ちすくみ、彼らの逃亡を許してしまった。



「うおおお! 我らの王が! 偉大なる呪術師の王が……!」



 尊敬していた王を倒され、他のオーク達は困惑してその場にひざまずいた。



半獣人ライカンとケットシーを追え。王の仇を討て……!」



 オークの誰かが叫んだ。


 その声に促されるように10体ほどのオークが立ち上がり、怒りの声を上げながらファイヴ達を追いかけた。



「レジーナさん。このカバンを受け取ってください」



 ファイヴが走りながらいった。

 持っていたカバンをレジーナに渡した。



「あんた、どうするつもり!?」



「僕は囮になります。その間にレジーナさんは逃げてください」



 思わずカッコイイせりふを吐いてしまいました。

 ちょっとナルシストな気分です。


 囮になるなんてカッコイイことを言いましたが、本当は密輸団の仲間になるのが嫌なので、うまい事いってばっくれようと思います。



「さすが男の子ね。あんたの勇気に感動したわ」



 といってレジーナが微笑んだ。

 ふたりは別々の方向に向かって走った。


 うまくいったようです。


 ファイヴは振り向くと、クロスボウでオークの一体を撃った。


 シュン!


 しかしそのボルトは狙いを大きく外れて木の根っこに当たった。


 やはり命中させるにはそれなりの技術と経験が必要なようです。

 しかし囮になるという目的は叶いました。

 オークの群れがこっちにやって来ます。

 自分はこのままダンジョン(マイホーム)まで走って逃げましょう。

 そうすればこっちの勝ちです。


 しかしそううまくはいかなかった。

 背の高い草むらを掻き分けると、そこは絶壁の断崖になっていた。

 崖の遥か底では川が流れている。

 向こうの岸まで10メートルはある。


 大きな木がこっちに向かって伸びているが、ジャンプしても届きそうにない。


 そこから垂れ下がっているツル植物に捕まれば振り子のようにして、向こうの岸まで渡れるかもしれない。


 しかし失敗すれば数十メートル下の川底に真っ逆さまだ。



「やっと追い詰めたぞ。グルルル……」



 背後からはオークの集団が槍をもって迫ってきてる。

 絶体絶命である。



「他に逃げ道は……あれ……」



 他に逃げる方法を探して周囲を見渡した。

 そのとき、横に12メートルほど離れた場所に誰かいるのを見つけた。

 あれはレジーナではない。

 フードで顔を隠し、白い外套に身を包んだ知らない男だ。

 斜めに傾いた太陽の下で崖っぷちに立ち、谷底を眺めている。

 オークの群れが迫ってきているのに、彼は微動だにしない。


 つられてオークの何体かもそっちを見たが、すぐに視線を戻した。


 オーク達にはあの男が見えてないようだ。

 確かにその男の体は透き通っており、実体がない。



「あなたは誰……ですか……?」



 ファイヴはその白い影にむかってたずねた。

 しかし返事はなかった。


 ただその白い外套の男はゆっくりと、こちらに振り向いた。


 黒髪でメガネをかけている。

 頭がよさそうなインテリ風の優男だった。

 ファイヴはその白い男と目が合った。

 男の唇が動いた。


 なんて言ったか聞こえなかったが、なんとなく「ついて来い」と言ったように感じた。






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