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夜の街の中でも飲み屋が並ぶその奥に

会員限定の隠れ家的なお店がある。

そこにすらっとした顔だちも整った男性が入っていった。

高価なものを身にまとい、エリートという言葉を絵にした30代後半くらいに思われた。

その男性の後にさえない中年という言葉がぴったりの食えないおっちゃんという言葉があう男性二人があとに続く。


しばらくすると今度はSPらしき男性たちに囲まれた一人の50代くらいの男性が

何やらあたりを警戒しながら一人のSPを残して店に入っていった。


「やー遅くなって悪かったね、先に始めてもらっていても構わなかったんだよ

それにしても今回は日にちがちょっと早いんじゃないか?」

そういうと上座にあとから入ってきた50代の男性が腰を下ろす。



「お忙しいところお時間をいただいてしまい申し訳ございません。

折り入ってご報告とお願いがございまして。。。」

相手の様子をうかがいながらそう言うのは先ほどのエリートだ。

「まあとりあえず話を聞こうじゃないか、だがな、ムチャなお願いだけはするなよ。

もうじき選挙もあるからな、足を引っ張る政党が元気になりだしてるところ

問題が起きると何かとまずいんだよ署長」

そう言うと身近にいたSPに軽い食事と酒と人払いを指示した。


署長と呼ばれた男こそエリートで実際はもうじき50になるsayakaの父であり、

目の前に座る先生は与党の重鎮の一人である。

一時は総理にもなったのだが、表に出るほど窮屈で私利私欲な行動ができないと感じ、

退いた後は自分の派閥の人間を主要ポストに置くように画策し

裏で政をするようになったのである。

親の代から二人は親交があり、そのまま息子の代にも受け継いだというわけである。


食事と酒が運ばれ、SPが周りを確認したところで

「で、先ほどの話だがいったい何があったんだ。まずはわかるように説明してみろ」

先生が酒を飲みながら署長に言うと、署長は先生のグラスにお酌をしながら小さく頷き、酒をテーブルに置くと話し始めた。

「実は最近新しいドラッグが出回りだして、それがでどこ不明なんです。

しかも厄介なのが今までのと違い髪や爪だけじゃなく尿にも検査反応がしないんです。

それに今までのドラッグでは味わったことのない高揚感、幸福感もあるとかで禁断症状もでないとか、

こんなものがあるおかげで組のシノギが減ったとかで来月から契約内容を変えてほしいといわれております。

署内で調べたところ、最近薬物が関わるとされる事件が大幅に減少していることがわかりました。

新たなドラッグですが入試し調べたところ問題の成分が全く検出されないものでした。

ただ、、実際にそれを飲ませたところ、、、」

署長は右側に座っている男に目配せをすると、

「私が実験として飲まさ。。いえ、飲んだところ急に幸せなというんでしょうか

高揚してきて、その、、腕を捕まれただけで今までないような快感に襲われてしまいました。あんなのは初めてで、一度イってしまった後でもすぐにまた元気になるといいましょうか、、、とにかくすごいものでした。」

「その効果の持続性はどれくらいの時間だったのかわかるか?」

「だいたい2時間から3時間という感じだと思います。

私以外にも何人か実験したのですが、だいたいそれくらいでした。

効果が切れた時はさすがに疲れがどっときたものの、

一晩休めば疲れもなくなり普通に過ごせました。

長期間服用する実験はまだなのでその場合どうなるかはわかりませんが、

それと噂を耳にしたのですが、薬物中毒者が今までのモノの代わりに飲んだら

禁断症状が和らいだとの話が広まっているとか、

それもあって一度そのドラッグに手を出すと今まで物は不要になってしまったというわけです。」


「噂ね、、それでどうしてほしいんだね

組からの上納金は減るのはこの際仕方ない。

一定金額じゃなくてまあここは組に恩を売る形にして10%と低くしてやるのが妥当かな

ただし条件としてそのドラッグのでどこを探り見つけ出したらその組織との契約を署長がするというのはどうだ。

そして署長が組に販売すればいいだろう。

そのほうが今までよりもうけが出るんじゃないか?」


「さすが先生です。ですが1か月以上探しているらしいのですがいまだ見つかっていないらしいのです。

それであの、、もし可能であれば、、

先生はご人脈がかなりおありなので、、、」


「わかったわかった、こっちでも探りを入れてやる。そういえばそのドラッグには名前とかないのか?」

「たしか、、エスペランサーだったと思います。外国語らしく意味は希望だったと思います。

あ、それとこれがちょっと早いのですが、、」


署長は隣にいる男にアイコンタクトをするとお土産袋を手渡され

「こちらをご確認ください。ほんの気持ちも添えてあります」

テーブルの上に包装された箱を先生のほうに向け差し出しどうぞと言って目の前に押し出した。

先生は無造作に包装紙を破ると中の箱をあけて中身を確認した。

そこには金額諭吉の顔が4分の3ほど埋められかさねられており、

残りのスペースに純度の高い白い粉と見慣れない錠剤が1シート入っていた。

「これがそのエスペランサーかね?」

そういうと錠剤を取り出し署長に確認すると、

「お渡ししたほうがわかりやすいかと思いまして」

と署長はこたえるところにSPは即座に箱を回収しその会合はお開きとなった。


その夜あるバーではyukitoがこわもての男3人と会っていた。

「兄貴これが例の物です。それとお借りしたリストもあります」

yukitoは老婆から返してもらったそれらを渡し男たちの確認が終わるのを待った。

「思ったより少なかったな、まあ仕方ないかみんな使っちまうだろうしな

じゃあな、またれんらくすっからよ。」

そういうと男たち3人はその場から立ち去ろうとするので

「忘れないでくださいよ、おれまだ報酬もらっ。。。」

yukitoが言ってるところを兄貴と呼ばれてた男がyukitoの襟元を持ち上げ

「はあ?お前組から金をもらおうって思ってんのか?どうぜ集めたのもこれだけじゃないんだろうそれを売りさばけよ、

まあもし売りさばいてるっていうのが分かればくすめたってことでただじゃすまないけれどな」

そういってyukitoの顔に唾を吐き捨てると手を放し店を出て行った。

「なんだよ、それ・・・俺いったいなんなんだよ。。」

兄貴との出会いは3年前、喧嘩をしてボロボロにされているところを助けてもらい

それから兄貴と言って身の回りのことや薬の運びもこなして

sayakaたちと一緒に美人局をやってシノギとして兄貴に渡していた。

組に入れてやるにはある程度の実績がいるといわれ頑張ってきて

今回は今までと違い、

「お前しかできない仕事がちゃんと組がお前を認めてくれてなちゃんと報酬も出るからなるべく早く終わらせろ。期待してるからな」

そういって顧客リストのようなものを渡されて組がエスペランサの回収をしてるから大人しく出せと言って集めて来いといわれたのでその通りにやった。

売るより回収のほうが大変だった。

どんなものか知らされていないので欠陥品で回収しているということにして

もうじき改良品が出るから文句を言わずに渡すようにと脅した。

もちろん組の名前を出したことで素直に渡すのが大半だったが

初めてそれを目にしたときに子供向けのカラフルな飴のようだったので驚いたのだが

嘘を言っているような感じには思わずそのまま受け取ると次でも出されたものが同じだったので、確信した。

その後2週間回収しおわったところでいったい何だろうと1シートほどポケットにしのばせていたら彼女のsayakaに見つかり

「これって最近噂になってるあれじゃん、どうやって手に入れたん?私にも頂戴」

と目を輝かせ上目遣いでおねだりしてきた。

sayakaは父親の話を立ち聞きしたのとネットでも騒がれ始めていることを教えると、

yukitoの手からそれを奪い一つ口の中に放り込んだ。

「何すんだよ、大丈夫なのかよ」

慌てて取り戻そうとsayakaの手をつかむと

「あん、だめ。。。」と涙目で膝ががくがくしている状態になり

そのままyukitoの胸に飛び込んできた。

「して、おねがい。。耐えられない。。あ、でももう触られただけで、いき。。。」

というとyukitoが片手でsayakaの腰を支えると同時にイってしまったかのようにだらんと力なく崩れた。


そんな時にsayakaに呼び出されていたayaがyukitoのところにきてもうやめたいというのであったが

先ほどの薬をこの女にも飲ませてやればもう何も言わないだろうと思い無理やり飲ませようとしたのだが謝って自分の口の中に押し込まれてしまったのだ。

異変に気が付いたayaはとっさに逃げ出したyukitoの大事なものをもって・・・


本当ははなっから条件なんて守るつもりもなかったが、

ようやくここでayaの存在と自分の存在が同じことに気が付いた。

強いもの、派手なものにあこがれて見失っていた自分にようやく気が付いたのだ。

(もう、兄貴らと関わらない。sayakaの仲間とももうぜってーにつるまねえ。

まっとうに生きてやる。)

そう思ってふと老婆を思い出した。

(自分が情けないな、つよくなりてぇな。。あのばあさんに弟子しようかな

謝りたいし)

「明日謝りにいくか。。」

ついに声に出てしまっていたのに気が付いてバーテンと目が合ってしまった。

「いいと思いますよ、きっといい方向に進むと思います。」

ダンディという言葉がぴったりのおじさまバーテンダーが微笑みながらyukitoに言った。

「あ、ありがとう。。営業の邪魔だったかな、。」

頭を掻きながら小さくお辞儀をしてそのまま店を出た。

親父ってあんな感じなのかな。。ふと亡くなった家族を思い出したが

そのまま帰路についた。


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