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1-1

この世界のどこかでの出来事から始まります。



とある街の片隅にこじんまりとした佇まいのお店がある。

突如現れたはずの店なのに誰も違和感なく昔からあるものと認識されている。

そこの亭主は人によって絶世の美女だという人もいれば、

女好きなかっこいいおじさまだという人もいたり

老婆だという人もいる。


そのお店の看板にはホープと書かれている。

昼間は雑貨屋のようで所狭しと商品が飾られ

なぜか店に訪れたものはほしいものが必ず一つ見つかるといい

また夜にはバーとなりゆっくりとお酒を味わえる店となる。


たまにお店を不定休だが

休みの日こそ真のお客さんの貸し切り日のようなもの。

だがそれは知れ渡ることはなかった。


ある日の夕方、人ごみに紛れて一人の女性が何かに追われているように何度も振り向きながら

人波をかき分け駆け抜ける。

目には涙を浮かべ、それを悟られないように顔を隠しながら足だけは止めずに走り続ける。

ふと目の前にある ホープ の看板に目が留まり

お店のドアを開け素早く中に入り外から見えないように物陰に隠れて

外の様子をうかがう。

「そんなところにいないで奥に入ってきなさいな

取って食ったりしないから」


奥のほうからかうようなに声をかけられた。

彼女は誰なのかもわからないがその声にすがるような気持ちで促されるまま奥にと足を進めた。


「奥に扉があるからその部屋にはいってな。

いいというまで出ちゃだめよ。」

彼女は小さく頷き中に入って扉を閉めた。

そこは従業員がくつろげるようなスペースで

生活空間のように家具が置かれていた。

不思議と張りつめていた緊張の糸が切れ

ソファにふらっと座るとそこから記憶を手放した。


店の外では男女が騒がしく女を探している。

見たところ高校生のような制服を着ているが

学校に通う生徒にはまったくもって見えない。


「ayaのやろう抜け出したいとか言いやがって何様だよ、

くっそーあれがないとやばいんだよ。

兄貴に。。ああああどうしてくれんだよ」

「あの子に使おうとすっからでしょ

バッカじゃないの!

一人でどうにかしなさいよ。

私はもう関係ないからね

あんたともこれでお別れよ」

そういうと女はその場から逃げるように去っていった。

取り残された男のほうは

(このままだと俺がやられる、逃げるしかないかでも捕まったら命がない。やばいどうしたら・・・)


ふと見るとホープという看板が見えた。

(あれ、ここってバーじゃなかったか?

組の幹部の御用達とかいってなかったっけな

こんなところで見つかったらやばい)


背中にびっしょり嫌な汗がでてきたところでふと男は口元を緩めた。

(もしかしたら幹部たちの弱みを知ってるかもしれないし

何か逃げ道でもあるんじゃないか

中に入ってからでも考えるとするか)


男は扉を開け中に入った。

するとそこには雑貨店だった。

違う店に入ったのかと思い、気も抜け無性に腹も立ってきた。


目の前にある大きな置物に八つ当たりをし思い切り倒した。

倒れた置物は大きな音とともに粉々となった。

男はやばいというより少し気分が晴れたのを感じ

また隣の棚のものを思いっきり両手で払い落とした。

そんなことに夢中になっていると

今まで人の気配がなかったところに一人の老婆が現われた。


「はあ。。。。」

と一つ大きなため息をついている。

男は老婆が立っていることに驚きはしたものの

自分より弱いと認識しつかみかかろうと手をだした。


「なんかもん。。。。ううう」

老婆は男の手を払いのけると男の首を片手で握りしめるように締め上げる。

一瞬の出来事で男は自分がどういう状態か理解できずただ息ができないことであばれその手を両手で払いのけようと必死にもがいている。

だが老婆とは思えない力で全く歯が立たない。

死の恐怖を目の当たりにし体がガタガタ震え下半身にあたたかいものが流れるが

恥ずかしさより助けてと心の中で叫ぶしかなかった。

老婆はもう反撃できないことを確信すると手を緩め男は床にぺたんと落とした。

失禁したところに倒れこんだためパンツもさらに濡れてひどい状態だ。

ただ腰が抜けて身動きも取れない、顔は涙とよだれで濡れている。


老婆は男と同じ目線に体をかがませ

「人の店に入ってきてこんなことをしたらどうなるかわかったか

お前はお前のしでかしたことの対価を払わなければならない、まあ足りないが今回は許してやる

次はないと思え」

暗示のようなその言葉に男は我に返り

小刻みに首を小さく何度もたてに振り

力が入らない体をどうにか起こして出ていこうとしたが

老婆は逃がさないとばかりに襟首をひょいとつかむと

「人の店を汚しておいて帰るのかい?

あんたが漏らしたところだけでもきれいにしておいき」


どこから出したのかモップとスエットパンツを男に渡し

「履き替えたらやるんだよ」

と一声かけてじっと男を監視する。

振り切る力もなく恐怖のあまりその言葉に従った。


「あんたなんであんなに荒れたんだい。理由位聞いてやろうかのう?」

作業を始めてしばらくすると優しい言葉を掛けられ少しだけ恐怖心がとけ安心と

ここに入ってくる原因となった問題を思い出し子供のように泣き始めた。

「あれだけ暴れておいて今度は赤ん坊返りかい、忙しい子だね」

飽きれた様子で男を見るとその視線に男は何かを感じたのか小さい声で話し始めた。


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