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プロローグ


「きゃは、こないで~」


あちこちで光が飛び交い、楽しそうに幸せに満ちた声があふれている。


傍らには御歳を召した男性が現れ声をかけるわけでもなく目を細めながらその光景をじっと見つめていた。


すると一つの淡いピンク色の光がその男性のところにすっと駆け寄るように近づき声をかけた。


「神様、神様~あそこにいる子って私よりずっと前からいるよね~

 でも声をかけたけど反応してくれないし全然遊んでくれない、なんでなの~?」


神様と呼ばれたご老体が光に優しく目を細めながら答えた。


「あの子はな、悪気があるわけじゃないんだ。それより君たちよりずっとここにいる時間が長いから

みんなのことをみまもっているんじゃぞ、いじめたりするんじゃないぞ」


「もちろん!いじめられそうだったら私が守ってあげる」

神様はその光を愛おしそうに頭でもなでるかのようにそっと手でふれる。

「ありがとう、それは心強いのう。」

そう言うとぽつんといる光のほうに目をやり

「もうじきあの子ともお別れだからそれまで頼んだぞ」

「あの子どこかに行くの?」

「いいや、君たちが準備ができたようじゃよ、いろんな世界に産まれる準備がな」

そういうと神様はその目の前の光に

「さあ怖がることはない楽しんでおいでここでずっと見ておるぞ」

とやさしく微笑むと同時にピンクの光は少しおおきくなったかと思うと消えていったのである。

周りを見渡すと色が付いた光たちは順に同じように消えていき

代わるように新しい小さい白い光が現われるのであった。


この場所は天寿を全うして戻ってきた魂が次の人生をスタートさせるための場所である。

正確な時間というものがなく、一日という概念もない。

そして魂はここに来た当初は白い光なのだが、その後淡い桃色か青い色に変わっていく。

色の変化こそ準備完了の時だということである。




でも、、ずっと変わらず距離を置いてぽつんといる光は

どのモノよりもずっとずっと長い時をここで過ごしている。

色が変わることなく、ほかの光と関わることもなくずっとそこにいるだけなのである。


神様はあるときその光に気づき、なぜずっとここにいるのかその光に振れ繰り返されてきた人生を読みとることにした。

その光も他と変わらず人生を繰り返してきたのであるが

ただ繰り返された人生が不幸の連続であった。


裏切られ、殺され、傷つけられた。しかも百科事典が作れるかというくらいの被害の数々である。

だがどの人生も復讐することもなく、逃げ出すこともなく、投げ出すこともなく

人生を終えているのである。

なぜこの子だけこのようなことがあるのであろうかと不思議に思うほどである。

次に旅立つときはずっと見守ろうと神様は心に思っていた。


ふと今まで変化のなかったぼっちの光が輝きだした。

ほかのそれとは全くことなるもので神様も目を見開いている。

輝きだしたと思うと赤、青、黄色、緑、紫、シルバー、黒と入り交じり、真ん中にゴールドの核のようなものが現われた。

「なるほどな、新たな神族だったのじゃな、ほっほっほ」

神様は嬉しそうにそう言うと変化した光に手を差し伸べ

「さあ、ちゃんと目覚めるのじゃ、そして我の声にこたえよ」

そう語りかけると同時に目の前の多色になった光が膨張しはじけ

そこに性別不明の人間らしきものが現われた。


「お前さんはこれから我の力を受け継ぐものとして様々な世界に行ってもらう

なあに心配はいらん。

お主なら大丈夫じゃ、期待以上なことをしてくれると信じておる。

名前はそうじゃな、ドウナ(叶える)というのはどうじゃな

名前もその世界の言葉に変えて名乗るといい。

意味が大切なのじゃがな

どうじゃのう嫌かのう?」

神がそう語りかけると小さく首を縦にこくんとうなづいた。


「ドウナよ、今までの試練は経験としてお前の役に立つだろう

地上に降りた神として人の助けとなるのじゃよ

邪神が増えているようじゃからそれを消滅させるのもお主の役目じゃわかったな」


また小さくうなづくのを確認し


「いつでもお主を見ておるぞ、そしていつでも念じれば話せるからな

こんな説明なんぞいらんのはわかっているがのう

まあ、親というものを味わいたくなったのかもしれんのう

さあ、行っておいでここでずっと見守っておるぞ」


そういうと神様はドウナの両手を握りやさしく微笑むと


「ありがとう、頑張ります。お父様」

そうドウナがつぶやくと同時に光とともに体がはじけ消えた。


「お父様か、ほっほっほわるくない。わるくない」

目を細めてちょっとニヤついた表情を浮かべるのだった。


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