8話「緑色のアレと新メンバー」
魔族領へ向けて歩みを進めた。
旅にするにあたり、この身体は本当に便利だ。
生理現象が起きないし疲れない。
準備なんかもいらないわけだ。
というわけで、旅を始めて数十分ほど。
墓地の端まで歩き進めた。
この先には平原が広がっていた。
俺が転生して、墓地以外で始めてみた光景であった。
異世界とはいえ、そこまで元の世界と変わりないな。
まあ、コンクリートジャングルの現代では、こんななにもない草原なんて珍しいがな。
「ここをずーっと歩けば魔族領に入れると思うよ」
スカルがいてくれて本当に助かる。
居なければ間違えて人間の町へ行っているかもしれないしな。
平原を歩く二人の骨。
うん。シュールだな。
だが、俺達は骨。食べられないし、何か隠し持ってるようには見えない。
動物や賊に襲われる心配はないんじゃないかな?
ごめん今の無し。襲われたわ。
棍棒を持った緑っぽい皮膚の人間の子供くらいのモンスター。
ゲームとかのゴブリンにそっくりなやつが三匹ほどが、前から奇襲を仕掛けてきたのだ。
何が言いたいかというと、こいつらの知識レベルは最低ってことだな。
だが、知識が低くても厄介だ。
俺たち二人に対して、ゴブリン達は三匹。数は負けている。
ここは元人間様の知識を試すところだな…。
「ねえケルト!どうするの?来てるよ!!」
「そんなの簡単だ。逃げるんだよぉ!」
もときた道を全力ダッシュで逃げる!
某J○JOさんのように逃げる!
もちろん、ただ逃げるだけではない。これは作戦だ。
「どうするの?どこまで逃げるの?」
「まあ俺を信じろって」
暫く走っていると、ゴブリンの一匹が倒れた。
体力切れだ。
そしてもう一匹も。
ま、一匹くらいなら倒せるだろう。
「よしスカル。倒すぞ」
結果は言うまでもないよな。二人でたこ殴りだ。
疲れない俺らと違い、肉体のあるゴブリンはバテていた。
まあ、倒れるほど走るほどバカとは思わなかったがな…。
ふぅ…。るろうに○心読んどいて正解だったな。
苦労?して3匹も倒したが戦利品は大してよくはなかった。
持っていたこん棒三本くらいしか使えるものはなかったな。
にしてもこの作戦はいいな。敵が速かったり、遠距離攻撃を持っていなかったらほぼ勝ちだろう。
とりあえず、こん棒は1本だけもらいスカルにあげた。
おんぼろよりかはマシだろう。
「さて、変なところで時間食っちまったな。先を進グッホ!」
肋骨辺りに何かがぶつかった。
「ああ!ケルトの骨が!!」
ドヤ顔で骨をくわえるちびっこいワンコ。
骨?
「うお!肋骨もってかれた!!」
右の一番下の肋骨が根元から持ってかれた。
おいこれ治るのか…?
と、とりあえず返してもらおうか。
「お、おい犬っころ。ほら、こっちのがうまそうだろ?」
ゴブリンの死骸を渡してみる。
が、そっぽ向かれた。
「な、なあスカル。これどうなるんだ?治るのか?生えるのか?」
やばいぞ。このままじゃかっこ悪いじゃないか。
「え、えーっと…。そのくらいならまだ治ると思うけどなぁ…」
ああそうかよかった。と安堵しようとしたら、小さくタブンって聞こえた。
うん?ほんとに大丈夫なんだよね?
っく…。こいつは一番の強敵かもしれないな…。
骨をくわえながら、ヘッヘッヘと近づいてくる。
「うわ!やめろくるな!!」
シッシッと追い払うが効果なし。足元まで近づいてきた。
死因が犬に食われるとか悲しすぎるぞ。
そのまま足に擦り寄ってきた。
ん?食われる心配はナシか?
「もしかしてだけどさ、ケルトになついてない?」
骨やったから懐いたか?
んー…。まあ、よく見ればかわいい感じだが…。
「なんだ?ついてきたいのか?」
ひょいっと抱きかかえてみる。
相変わらずヘッヘッヘッと鳴いているが、尻尾をうれしそうにぶんぶん振っている。
「うーん…。スカル。こいつ連れてってもいいか?」
「いいとおもうよ。かわいいし」
「じゃあ、連れてってやアイタァ!!」
ガブーと頭を噛まれた。
やめろやめろ流石に頭はやめろー!!
「スカルも笑ってないで助けてくれー!!」
こうして、天敵ないぬっころが仲間に加わったのだった。
あ、肋骨は数時間したら生えた。
-ステータス-
名前:スカル
装備 武器:劣化した粗悪な片手剣→粗悪なこん棒
体:なし
魔法:風のエンチャント
ワンコロはイギーをイメージ。
ステータス画面は変更点があったら乗っけてこうと思う。