25話「魔王の作戦」
翌日。
シェイナに案内され、一つの部屋。
というかグランドみたいなとこに案内された。
「てことで、コレが君の部下ね。あとは適当によろしく☆」
おーぅ…。流石は適当魔王様。
面白いぐらいの投げやりである。
まああれだ。グランドには多種多様な魔物達が大勢居た。
「あー…。えーっと…。聞こえるかい?」
ざわざわとしながらも、コチラを注目してくれた。
「えー…。この度この隊の隊長になったケルトだ。よろしくな。俺としては死亡者は出したくないから、皆ほどほどに頑張ってくれ」
依然としてざわざわしてる。
まあ、徴兵された中でもあまりモンだろ?仕方ないといえば仕方ないか…。
「おお!主様!主様ではないか!」
コチラに気づいたのか、数匹のゴブリンがコチラへ来た。
「ん?ああ、君らか。久しぶりだな。元気してたか?」
ゴブリン村のゴブリン達が集まってきた。
うん。知ってるやつが居ると何か心が楽になるな。
さて、そのゴブリン達だが、ポカーンと目をぱちくりさせて居る。
ん?何かしたか?
「あ、主様…。喋れたのですか!」
そういやそうだったな…。
コチラからの言語は伝わるだろうが、別種族とのコミュニケーションが取りにくいのも考えものだな。
とりあえずゴブリン達には「色々あったんだよ」と伝えておいた。
後からゴブリンに聞いたのだが、村の衆は全員この付近へ越して来ているらしい。
辺鄙なとこに居るより、このあたりの方がよほど安全とのこと。
まあ、それもそうだよな。
と言っても、王都には入りきらないため付近に仮の集落を建設しているらしい。
別な種族も皆そのような感じらしい。
建物ならまた立て直せばいい。
だが、命は戻せないからな。
きっとシェイナが根回ししたのだろう。
案外仕事してるんだな。
さて、俺もみんなの命を預かる立場になったんだ。
色々考えることもあるだろうな。時間はあるようでない。無駄には出来ない。
とりあえず、初日は顔見せだけにし解散させた。
翌日からどうしようか考えるため、一度自室に戻る事にしよう。
そうだ。シェイナに相談してみようか。どうせ暇してるだろうし遊びに行っても怒られないだろう。
ということでやってまいりました魔王様の自室です。
一応ノックしておきましょうか。
「入れ」
「チワー。出前デース」
「…」
スベッてないよね?
そのまま普通に入りましょうか。
「魔王様の部屋で遊ぶな!!」
おー。もっともなツッコミが返ってきましたよ。
「全く…。私以外に誰か居たらどうし…。ん?待って…。やっば!ゴメン!後にして!!」
ブツブツと文句を言ってると思ったら、いきなりシェイナは部屋を飛び出した。
「お、おい!どうした…って行っちゃったよ…」
一体何があったのだろうか?
「ふぅ…。アレは反則だよね…」
と思ったら戻ってきた。
「おいおい。どうしたんだよ」
「うーん…。ちょいと見当違いが出てきてね。その辺含めて隊長会議もっかいやろっかな?2日連続とか異例だよ…」
あの一瞬のうちに一体何があったのだろうか…。
俺なんかでは次元が違うんだろうな。
と言うわけで、緊急収集されやってまいりました。
場違い感半端ない隊長会議です。
「2日連続となるが、緊急事態だ。奴らは近代兵器を持っておる」
近代兵器と言われ、なんのこっちゃとポカーンとするなか俺だけはその意味がわかる。
「は?なんだよそれ。何でそんなもんがあるんだよ」
つい声を上げてしまった。
周りからの目が痛いぜ…。
「口を慎め。単刀直入に言おう。先程、ミサイルによる攻撃を受けた。魔の山の結界は割られた。あのままここに直撃していれば、ほぼ壊滅する威力はあった。それは私が空へと逸し、魔の山の結界は強化した。が、おそらく戦争が終わればあの山は枯れてしまうな…」
人が転生している以上、物や技術が渡るのは不思議ではない。
「どの程度が来ているんだ?」
「わからぬな。ただ、あのミサイルの威力じゃ。銃はあるだろう。問題は数だ。恐らく、そこまで用意するのは難しいだろう。して、歩兵は変わらず槍や剣と考えられる」
俺とシェイナだけで会話が行われる。
「オイ。さっきから何を言っている。近代兵器とやらを説明しろ」
周りからは俺もそう見えてるんだろうが、魔王様に向かってタメ口とはホントよくやるよね。このライラ君は。
「そうであったな。銃と言うのは、ボウガンがあるじゃろう?アレをリロード無しに撃てるようものだ。ミサイルは…。超長距離に届く極大魔法かのぅ?」
その説明にザワリとなる。
俺にとって銃はそこまで脅威ではないだろう。だが、ミサイルや手榴弾があったらどうだ?
身体がバラバラになっても果たして復活できるのか。
試したくもない。
ここにいるメンツもそうだろう。
恐らく、コイツラはその程度では死なない。だが部下はどうだ?
部下を皆殺しにされ、民を殺されても負けることはない。
負けることはないが、それは勝ちでもない。
不毛な争いになるだけだ。
「そこで新しく作戦を立てる。防衛戦は却下だ。各隊長及び、各々最強と思う部下を一人だけの少数精鋭で人間の王都を落とせ」
「フン。我が身が危険になったら平気で殺すのか」
「殺さずは守れ。殺さず無力化するのじゃ。貴様らなら簡単であろう?では続きだ。ワシは出ぬからの。人間の王の前まで着いたならこれを使え」
シェイナなら、半球体のような片手サイズなモノを投げられた。
「これがあれば、あらゆる結界を無視してワシを召喚できる」
「ちょっと待ってくれ!何故こいつなんだ!!」
ガイアが噛み付いてきた。
それは俺も思う。別のやつのほうが適材だろう。
「何か問題あるか?ワシはコイツを信用しているだけだ」
威圧を込めたシェイナの一声に、ガイアが黙る。
なんかこっち睨んでるけどな…。夜道に気をつけよう。
そろそろ戦闘回行けそうです




