15話「ゴブリン村は発展中です」
とりあえず、栽培が簡単なやつから始めよう。
食料庫から芋を掻っ払い、適当に耕した土に埋める。
そして放置。
これで育てば御の字だ。
ん?待てよ?
そういえば、某マインなんちゃらでは骨粉で育つよな?
俺の骨じゃだめか?
試してみよう。
埋めた芋の近くに、耕す際に砕いた自分の骨を混ぜたものを用意し、そこにも芋を入れる。
これで、有無どっちが優れているかわかる。
うーん。この試行錯誤。楽しいねぇ。
よし。見回りも兼ねて、作業状況を確認しに行くか。
「おーいスカル。どうだ?問題はないか?」
「大丈夫だよー」ワンワン
べロスと遊びながら答える。
う、うーん?仕事はしてるんだよねぇ?
まあ、周りを見ると、意外と仲良くやってるように見える。
襲撃された恨みー。殺された仲間ー。とかひと悶着あるかも思ったがよかった。
ここは問題なさそうだな。
では次へ行こうとしよう。
人口。というよりゴブリン口?が十倍に増えたのだ。元の長のみでは管理が難しいだろう。
そのあたりも整理する必要があるな。
ということで、長と合わせ、外部からきた長達も集めた。
ちなみにだが、ここへ来たのはひとつの集落ではない。
小さい集落から、大きなところまで。10個の集落の集まりを受け入れていた。
なので、今この場に11人の集落の長と俺が居るわけだ。
まずは、なぜ呼んだかの説明をする。
といっても、声は出せないので長に代弁をしてもらっている。
よしよし。ちゃんと真剣に聞いてくれているな。
結論から言おう。
元の長を大長とし、すべての総括とする。そしてほかの集落の長達には、そのまま自分たちの集落の民を管理してもらう。
そして、大長へと昇格したため、新しい長として大長の息子を任命した。
ま、雑だがこれが正解だろう。
息子君には後で大長から説明をしてもらおう。
その後に、全村民へと通知でいいだろう。
今は野外での発表となるが、そのうちは集会場を増築して皆で入れるようにしたいな。
今は住む家のほうが大事だからな。
その後は特に目立ったこともなく、数週間が経過した。
「お、いい感じに出来てそうだな」
「なにかあるの?」
俺は出来た芋を収穫していると、スカルがやってきた。
「ちょっと栽培してたんだよ。ほら、この人数だろ?食物がなくなると思ってな」
と、言って、今掘り返した芋っぽい何かを見せた。
ん?なんだこれ?すごい禍々しい見た目した芋だな…。
ああ、これあれだ。俺が骨粉撒いたほうの芋だわ。
撒いてないほうは未だに育ってない。
なるほどな。こっちのほうが成長は早いのか。
うーん…。だが…。これ食えるのか…?
「えーっと…。これなに育てたの…?」
「芋だと思いたい」
うん。そうだな。誰かに食わせよう。
せっかく作ったんだ。
よーし。じゃあ犠牲sy違う。味見者を探そう。
いい感じに歩いていたゴブリンの肩を叩く。
「?誰だ?こ、これは主様!失礼しました!!」
俺と気づいた途端に畏まってしまった。
うむ。苦しゅうないぞ。
無言で禍々しい芋を口に押し付ける。
「な、なんですかそのうわ!や、やめてください!!」
有無を言わさず押し付ける。
「た、食べればいいのですか!?これを!!」
グっとサムズアップ。
「く…。いったい何なんですかこれ…」
文句を言いつつ一口齧った。
鬼が出るか蛇が出るか…。
「な…!!う、うまい!なんですかこれは!?」
あれ?上手いの?これ?
見た目絶対毒あるけどな…。
ま、大丈夫なら大丈夫なんだろう。
人員を手配して栽培班でも作らせて、本格的な畑でも作らせよう。
まあだが、俺の骨依存のこの禍芋はそう数は出来ないからな。
普通の芋をメインに作ろう。ゆくゆくは別の野菜を育てれるといいがな。
これが上手く軌道に乗れば食糧問題は解決する。
衣食住の衣以外はこれで問題ないか?
そして、順調に発展計画は進んでいった。
まず全ての住人を収容できる分の家が完成した。
全員が入れる集会場も完成した。
そして、村全体を囲むように柵の設置。
村の四方には見張り兼射場となる櫓も出来た。
畑も今では安定して食物が取れるようにまでなった。
ふぅ…。ここまでに随分と時間がかかってしまったなぁ…。
「いつまでもこんな平和で楽しかったらいいね」
「そうだな。平和なのが一番だ」
平和は無償で手に入る。
鈍った生活から、そう錯覚し始めていた…………。
これにてゴブリンの村編終わりです。
次回あたりに、大きく物語りを進めたいと思っています。