12話「第一村人発見」
川下りは特に何もなく終わった。
ゴブリンの襲撃とか、キモいアリの集団が居たが何もなかった。
何もなかった事にする。
ということで、作戦通り町に着いた。
いや、町というか村や集落と言ったほうが良いだろうか？
家はある。が、どれもボロボロだ。というか、作りも雑い。揺らせば壊れそうだ。
村をぐるっと一周するように柵もある。だが、コチラも言うまでもない。
蹴れば突破出来るな。
まあ、せっかく立ち寄ったんだし、この世界初の村だ。入ろう。
俺たちは村に入ろうと歩みを進めると、中から武器を構えたアレが10匹ほど出てきた。
すげー見覚えあるわ。あの、緑の奴ら。
てか、あいつらさっきボコったよな？
まああれだ。ゴブリンの村だったらしい。
それもさっきボコった奴らの。
「ケルト。もしかしてヤバイ？」
「うーん…。穏便に済ましたが、さっきボコったしなぁ…」
会話が成立すれば、なんとかなるかもしれない。
「グギ！グゲゲガゴ！！」
おーけ！ムリ！会話成立しねぇ！
スカルに解読求むとアイコンタクトを送るが、無理だと返ってきた。
まーやるだけやってみますか。
敵対するやつと仲良くなろう講座！
〜ステップ1〜
武器を捨てて手を上げてみる。
不審そうに話し合っている。
効果なくはないか？
話し合いが終わり、一斉に攻撃を仕掛けてきた。
うん！効果なかったね！
〜ステップ2〜
こうなったらデタラメでもなんでも使っちまえ！
待ってくれ！とジェスチャーで伝える。
なんとか伝わったらしく、待ってくれる。
そのスキに、地面に丈夫な家の設計図を描いてみる。
多分今よりマシそうだ。
それをゴブリン達に見える。
何やらまた話し合いをし、その後「グゲ！」と鳴いて何匹かが集落に戻った。
待ってろって事か？
何にせよ、助かった…のか？
待たされること数分。
頭に歪な枝で作られた冠を被ったゴブリンが現れた。
集落の長か？
「グギ。グガガギガ」
俺の描いた設計図をペチペチ杖で叩く。
釣れたか？
おーけーおーけー。やれるやれる。
サムズアップで意思表明をしてみる。
「ケルト。どうなったの？」
「ん？何とかなりそうって感じだな」
またもやゴブリン達の話し合い。
今度葉すぐ終わったな。
歪な小さなカゴとロープを持って、スカルとべロスを拘束しようとしている。
尤も、カゴはべロスが暴れれば壊れそうだがな。
俺には拘束しようとせず、オレ コイツ コウゲキシナイ 的なジェスチャーをしている。
人質みたいなものか。
「二人共安心しろ。危害は加えないらしい」
「じゃあケルトに任せるね」
大人しく二人は捕まる。
さーてと、こっからが大変だぞ。
今から資材を集めるのはダルい。というか、どこから調達してるかわからないからな。
どれだけ時間を取られるかわかったもんじゃない。
ということで、家を一軒バラしました。
案の定簡単に崩れたね。
そして案の定怒りだしたね。
これを素材にする。と、絵に描いて納得させる
釘なんてないからな、組み方とロープで何とかするしかない。
四方と中心に穴を掘らせ、そこに丈夫めの棒を挿して固定。
いい感じに周りを覆うように固定し、屋根には葉っぱを乗せて完成。
前よりはまともか？
うん。暇つぶしに読んだサバイバル本が役に立ったな。
それにしてもゴブリン達。意外と理解してくれたな。
考える能力は低いが、作業力としては最適かもな。
そんなゴブリン達は今、俺の目の前で全員跪いていた。
もちろん、べロスとスカルも解放されている。
「す、すごいねスカル！」
「お、おう。そうだろ？」
まさか俺もこうも上手く行くとは思ってなかったさ…。
その後、別な家のリフォームも行う。
初めは俺が付いて監督をしていたが、途中からは2,3人でチームを作りリフォーム作業を行っていた。
途中、資材不足などのトラブルがあったが、5日もすればすべての作業が完了していた。
その過程で、どうやら俺らの家まで作ってくれてたようだ。
うーむ…。そこまで長居する予定はなかったのだがなぁ…。いつの間にか王様扱いされてね？
ま、まあいいか。
ゴブリンの王のスケルトン。うん。変だがいいか。
さて、この集落で暮らし、わかったことがある。
ここの集落には、合計で50匹ほどのゴブリンが暮らしているらしい。
そのうち、戦闘が出来るのは30匹ほど。残りは家事担当だったり子供だ。
住処としての家は10軒ほど。それプラス。長の家と集会場。それと俺らの家が今ある。
家の建築ラッシュが終わった次は柵だな。
例のごとくジェスチャー＆絵で伝える。
意図を理解したゴブリン達は、柵をすべて解体した。
うーん…。全部解体すると、攻められたりしたとき困らないか…？
ま、もともとあってなかったようなものだし、攻められることはないだろう。
これも基本の作り方は変わらないな。等間隔に穴を掘り、木を固定。そこに板を張り合わせロープで固定する。
ただ、家よりも作業が多いため時間が掛かりそうだ。
ま、俺らはのんびりさせていただこうか。
