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11話 その技の、一撃

お久しぶりです。

本当にのんびりやっていくので、気が向いたときにふらっと読みに来てくださいー。

 大仁と基衡の二人は、以前の戦いとまったく同じように、クロスカウンターの形をとった。

 その形をとった時点では、大仁の拳の方が勢いがあり、先に相手の顔面に当たるのがわかる。

 しかし、大仁は以前と同様の違和感を感じ取っていた。

 ただ以前と違うことが一つだけある。それは、()()()()()()()()()()()()ということだ。

 違和感の正体、それは不自然に加速する基衡の拳だ。そして、その原因は秀衡の概念能力であることまでわかっていた。わかっていたというよりは、会長に教えてもらったというのが正しいが。


 いち早く能力の発動を見抜いた大仁は、相手の拳と反対の方向へ自身を引き寄せて回避した。

 その回避があまりにも自然で、基衡は一瞬だけ反応が遅れた。

 しかしさすが体育委員会といったところか。その遅れを取り戻すほどの速さで追撃を仕掛けた。

 追撃を仕掛けるためには、一度足に体重を乗せて飛ばなければならなかった。

 それほどの距離、逆に言えばその程度の距離しか大仁は回避していなかった。


「甘い!」


 確かに、以前までの大仁だったならば、甘いという一言で済んでしまっただろう。

 自身の能力を上手く使いこなしていないからこそ、追撃をされてしまう距離にしか回避出来なかったと。

 ――そんな大仁は、もういないのだ。


 大仁は相手の体重が片足に乗ったのを確認し、その足を体の内側へ引っ張った。


「!?」


 支えを失った体は数瞬宙に浮くと、強かに地面へと叩きつけられた。

 それを大仁は横目で確認すると、呆然と立ち尽くしている清衡、秀衡のところへ、自らをものすごい勢いで引き寄せた。

 二人は面食らったが、こちらもやはり素早く気を持ち直すと、後ろへ飛びのいた。

 着地と同時に、秀衡が睨め付けながら叫んだ。


「この……! 調子に()()()!」


 その言葉を聞いた大仁の動きが止まった。

 それを見た清衡は安堵の表情を浮かべて秀衡を見た。

 が、秀衡の顔は青かった。


「……抵抗、された」


 秀衡が睨む先、大仁の目は死んでいなかった。死んだような目はしているが、まだまだ調子付いている目をしていた。



「ちょっと武留、あなた一体どんな特訓をしたのよ。なんか、目が死んでいるようだし、表情もほぼ無表情って……。ポーカーフェイスって言ってしまえばそれまでかもしれないけれど……」

「うーん……。それに関してはちょっとやり過ぎたなとは思っているよ。

 まあ、ああなっちゃうのは戦う時だけだし、大丈夫でしょ」

「そんな無責任な事を……」



 そんな様子を見ていた会長と経子がそんな会話をしていると、再び大仁が動き出した。

 本人自体はその場で構えたままだが、能力を発動したのだ。

 清衡と秀衡は急に壁の方へ急速に引き寄せられ、体の側面から激突した。


「くっ……そ! この程度!」


 それでもなお大仁から目を離さなかった秀衡の視界に、立ち上がって殴りかかろうとしている基衡の姿が入る。


「ひで! 挟み撃ちだ!」

「オッケイもと(にい)! 俺ともと(にい)の拳に勢いを()()()!」


 大仁にとって完全な死角である背後に基衡、避けるには距離が足りない位置で拳を構える秀衡。

 ダメ押しに、基衡は声をかけた直後に大仁の頭上から真っ黒い水をかぶせていた。

 突然の水に反応出来ず、視界を塞がれた状態である。

 兄弟の息の合った連携により、一気に形勢逆転と言えるところまでもっていかれてしまった。

 勢いに乗った前後の拳が、ついに大仁を捉えようとするとき、まるで飛んでくる拳が見えているかのように、姿勢を低くして拳を避けようとした。

 しかし今度はそこまで読んでいたようで、基衡はがら空きの背中へ迷い無く打ち込んだ。


(とった!!)


 基衡がそう確信するほど完璧だった。

 自然と口角が上がり、勝ち誇った顔になる。

 その顔に、勢いの()()()秀衡の拳が直撃する。

 それはスローモーションで見ると、ドヤ顔からゆっくりとひょっとこに変わっていくようだった。


「ぶべらっち!!」


 体をぐるんぐるんさせて吹き飛ぶ基衡。

 その後を追う形で投げ飛ばされる秀衡。

 そして鈍い音が鳴り、二人の体が重なった状態で完全に伸びてしまった。

 清衡はその光景を見て能力を発動する。

 清衡の能力は――


「お前の能力はおそらく、罪悪感に関連する物だろう?」


 仁王立ちして清衡を射抜くように見る。

 清衡の額を冷や汗がツーっと流れる。


「だったら簡単だ。こんな風に感情を殺せばいい」


 苦虫を噛み潰したような顔をする清衡。

 大仁から押し寄せてくる気迫に圧され、無意識に数歩後ろに下がる。



「ねえ、武留。あんなこという子だっけ?」

「……や、やっぱり、やり過ぎたか……」


 外野は外野で冷や汗をかき、苦笑いをしている。



「さあ、終わらせようか」


 ぐっと腰の辺りで拳をためる。

 その構えを見た清衡が降参しようと両手を上げる前に、大仁に強く引き寄せられた。

 抵抗できない力で真っ直ぐに引き寄せられる。

 引き寄せ先は、力がこもっている拳。


「やめ……!」

「くらえ! (イン)パクト!!」

「「ブハッ!」」


 その技の一撃で、清衡は苦悶の表情で口から噴出して大仁の横に倒れこむ。

 その(なまえ)の一撃で、経子は苦悶の表情(くるしそうなえがお)で口から噴出して会長の横にしゃがみこむ。

 ある意味で、体育委員会に完全勝利した瞬間だった。

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