表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

スケルトンを食べる

「親父これはなんだ?」

 ここは魔界にある市場、そこには多くの魔界中にある食材が集まってくる。

 だが、市場は食材だけではなく、錬金術や魔法の素材など各種多くの素材の宝庫でもある。

 自分としては一見食材に見えない物でも、少しでも食材となりうる可能性のある物を見てしまうとつい質問したくなる。

 目の前にあるのは一見して骨、しかも人間一体分全部の骨がそれぞれザルにいれてあり、又そのザルが並んでいた。

「へぃ、そりゃスケルトンですな」

 市場にいた商売人が愛想良く答える。

「あ、そうかスケルトンか、聞いた事はあるなぁ、でこれ動くのか?」

「いえいえ、これはスケルトンの素材でしてね、これに魔法をかけて、スケルトンにするんでさぁ」

「ほうほう、でコレは食えるのか?」

「まさか、第一そりゃ骨ですぜ。食う者なんておりやせんぜ」

 だよねぇ、まぁ、流石に人間の自分としても人間を食べる気にはなれんな。

「ん?そっちは?」

「へぇ動物系のスケルトンでさぁ。スケルトンの素材として人間よりは知恵に欠けますが、戦闘力があるので、これをお買い求めになる方もおります」

「・・・ふむ、これならいいかもな」

「へい、お買い上げで?」

「あぁ、親父、死んだばかりの新鮮なスケルトンで動物系の物はあるか?」

「新鮮? まぁ可能と言えば可能ですが、まさか旦那それも食堂に出すんで?」

「あぁウチの食堂を知ってるのか、なら話は早い。自分としてはダメかもしれんが、1回は未知なる物に挑戦しないとあきらめきれなくてね」

「なら、旦那の食堂ならそうかもしれませんな。まぁいいでしょ、新鮮なスケルトン用の骨ね。まぁ用意はできます」

「そうかありがたい。ただ、できれば、獣でも肉食系じゃなく、草食系の方お願いできるかな?」

「へい、了解しやした」

 今回市場で買い付けたのはスケルトンの骨。それらをどんな料理にするかわくわくしてしまう。まぁ実際に料理を考えるのは実際物を見てからだな。 


 数日後、用意できたと市場の親父から連絡をもらい、草食系のスケルトンの骨を店に持ち帰る。

 しかし大きいな、草食小型恐竜系の骨なのかもしれない。

「さぁ今回ははスケルトンだ」

 だが、ここで少し骨を前にして調理方法に悩む。

「調理後のスケルトン用の骨に魔法をかけたら動くのかな? いやもし料理が動いたらお客は食べにくいだろうな。この案はなしだ」

 そして再度、じっくりと目の前にある骨を眺め、改めて骨料理の難しさを考える。なんせ骨・・・このスケルトンは実にやっかいかもしれない。

 なんせ全く肉がついてない、コレではスベアリブなどの骨付きではなく、完全な骨だけだ。

 さすがにこれは今までの自分の培ってきた料理の常識とは全く違と改めて考えさせられる。

 肉付きならせめて、ソンビとは一瞬思ったが、流石に腐った肉は衛生上まずいだろう。

届いた骨をじっと眺め、少々自分の考えが甘かったのではないかとも思ってしまう。

「うーん、流石にスケルトンは無謀だったかなぁ。確かに豚骨とか、いいダシは出るんだけどなぁ。

 でも豚骨のようにダシだけで果たしてそれはスケルトンと呼べるのだろうか?」

「スープだけなら、ダシが、ん? 骨でダシ・・・ん骨?・・・あ骨髄があったか!」

 確かに骨の芯といえる骨髄なら、でも骨髄料理なんてあったか?

 うーん、確かフランス料理にあったな、でも何だっけ。。確かロス・・・確かロス・ア・モワルだっかな?

「そうだロス・ア・モワルだ」

 思い出した、早速調理に取りかかろう。

 まずは骨を10センチの長さに切る。そして血を除くために、冷水に2~3時間つける。無論、途中の水交換も忘れない。

 で、うちの窯をあらかじめ暖めて余熱し、食べやすいように半分に縦に割った骨を皿にのせ焼く。

 これで完成、実に簡単だ。

 早速試食


「・・・うむ、不味くはないし、確かに旨味があって美味しいのだが、なんだこの油の多さは」

 たしかに素材としてはいいかもしれないが、この油くギトギトした感じはどうも好みが分かれるな。

 「しかたない少し工夫をするか」

 骨からまず骨髄部分を抜いてから、釜で焼き、余分な油分を落とす

「この油の落とし具合は試行錯誤は必要だな」

 そして多少余分な油を抜いた骨髄、それを型にいれ、季節の野菜のジュレをいれ、テリーヌ風に、最後にお得意のキノコを使用したクリームソースをかける。

「さて、試食・・・・正解だな。実に旨い」

 骨髄の実に濃厚な味、多少のしつこさはあるが、それは野菜のジュレで調和しつつ、まったりとしたキノコの旨味を集めたクリームソースがいい仕事をしてくれる。これで1品は完成だ。

 こりゃ肉料理としてメインをはれるな。


 あとは定番の煮込み料理。いや煮込みだと両方ともこってりするから、具だくさんのあっさりスープにするか。

 まずは骨を砕いて取った骨スープに煮込んだ骨髄、そして香味野菜に塩、コショウそして魚醤少しに、溶き卵を入れてふんわりと

 これで骨スープのできあがり。

コレも試食したが実に美味しい、今回の料理はこの2品だな。


 さぁ、今日も久々の開店だ。

本日は『スケルトンのソテー クリームソース』と『スケルトンの特製スープ』だ。


 さぁ皆さんいらっしゃいませ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ