第6話 ランク
凄まじい音と衝撃が起き、辺りに風が吹き荒れる。その強さは余りの強さに野次馬数人が吹っ飛んでいくほどだ。
ほどなくして風が止み、中心に2人は立っていた。マスターはじっと考えるようにして佑斗を見つめている。佑斗も何が起こったか分からない、という顔で立っていた。どちらも体に傷は見当たらない。しかしその周りの被害は大きなものだった。
白い炎の剣を受け止めた杖は真ん中から真っ二つになり、斬撃はそのまま止まることはなくルミナのはった防壁ごと床を斬り裂いていた。
周りの観客もなにが起こったのか分からないという表情で2人を見ていると、マスターが声をはなった。
「よし!これにてランク選別は終了する!」
そういうと佑斗の方へ向きなおり
「ユウトよ、お主のランクは5相当といったところじゃな。より精進して上のランクを目指すが良い。」
「は、はい‼」
「さて、異世界からきたということはまだ宿も無いのじゃろう?ユウトが住む場所が必要じゃろうな。」
そういうとマスターは辺りを見回して
「アンジェ、お主のところに泊めることはできるかのう?」
「わふっ、空き部屋があるかパパに確認してみないとわからないけど多分大丈夫だよ。」
「ならユウトを頼んでもよいかのう?ついでにしばらくはパーティも組んでやれ。わからないことも多かろうしな。」
「うん、わかった!それじゃあ行こっ、ユート‼」
「あ、ああ。」
そういって佑斗の手を引いていく。
佑斗とアンジェが出て行ったあと、ルミナがマスターに近付いていく。
「さっきのユウトの攻撃、マスター本気の魔力で防御したでしょう?それに私のはった防壁を切り裂くほどの攻撃をするなんて、あの子一体何者なの?」
「あやつは別の世界から来た人間じゃよ。おそらく戦いなどがほとんどない様な世界なんじゃろう。戦闘経験はなさそうじゃったからな、しかし…」
そういってかたわらのテーブルに置いてある杖を見る。
「まさか、わしの竜樫の杖を斬るとはな、素材のランクだけでいえば7くらいはするんじゃがの。」
この竜樫の杖は竜人族の村にある巨大な樫の木から作られた杖でそこらの武具などとは比べ物にならない一品であった。
「なによりもあの時剣を包んだ白い魔力、コントロールしていないところをみると溢れ出したものが炎の形を成したのじゃろうが、それならばあやつ、とてつもない魔力の持ち主だということになる。しかもわしらの魔力とは質が違う、あれはおそらく…」
「おそらく…?」
しばらくじっと考えるような顔をしていたが、ふっと顔をあげて言った。
「気にしても仕方ないの、面白い新人が入ってきたのう。楽しくなりそうじゃあないか。それで十分。そうじゃろう?」
そういってニヤリと笑った。ルミナも一瞬キョトンとした顔をしたものの、すぐに笑いながら
「そうね、楽しくなりそうだわ。」
ワハハハと笑うマスターにルミナが言った。
「ところで、マスター…あの床の修繕費はどうするの?」
その一言にピタッとマスターの笑みが凍りつく。
「結構な切れ方してるからあれはかなりかかるわね…」
「言わないでくれ…」
書き終わって思った。今回佑斗マジ空気。前回あんな戦闘してんのに。
次回は溢れるワイルドな親父様登場。できるだけ早く投稿できるよう頑張ろう。