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27話 弟

弟登場です

どこで出すか完全に未定でしたがてこ入れに投入してみました

「ママー、リョウ君の部屋の掃除終わったよー?」


「あら、早いわね。 そんなに楽しみ?」


「うん!」


バトルドレス構築完了した昨日、唐突に鳴り響いた一本の電話から始まった。

なんと突然私の弟であるリョウ君が我が家にやってくるのだ。

正確に言えば異母弟なのだが……その辺の事情はあまり考えたくない。

というかパパ、前世の私みたいに苦労してなきゃいいんだけど……。


「中学校を卒業するまで一緒に住むんだよね」


「そうよ……まぁ実は不安なんだけど、大丈夫よね?」


ママがぼそっと何か小さな声で言ったが、聞こえなかった私はリョウ君と一緒に過ごせることに鼻歌をならしながら部屋に戻る。

リョウ君に最後に会ったのは確か6年前で、私が小学校四年生の時だ。

弟のリョウ君は可愛らしく、懐いてくれていたので私もついつい甘やかしてしまいパパに苦笑されていたが仕方ない。

前世では兄弟がいなかった反動だろうと私は自己分析している。


『ボク、大人になったお姉ちゃんと結婚するー!』


とは昔にリョウ君が将来の夢を聞かれた時に言ったセリフ。

その時パパとヨリコママとミキママが(どうしてこうなった)と頭を抱えていたが……あれ、なんでだっけ?

まぁいいや。


「もう可愛いよぅ!」


『アヤ、キャラ崩壊してる。 弟を思うあまりただのショタコンになってるから』


「誰がショタコンだって!?」


確かにリョウ君は可愛いとは思うが、あくまで家族としてだ。

幼い男の子に性的な興奮を覚えるわけではない。


『まぁリョウは確かに可愛かったけど、あれからだいぶ経ってるし……』


「あれ? ルー会ったことあるの?」


『ぇ? …………ボクはヨリコの担当官だったからね。 見る機会はいくらでもあったんだよ』


そういえばそうだ……というか私が気付いていなかっただけで実はこの家に住んでたんじゃないだろうかこの小動物。


「それにしても今日がバトルドレスが構成し終わるんだっけ? ……使うのは当分先になりそうだけど」


『なんで?』


なんでって……


「だってどこで変身するの」


『部屋でこっそりすればいいんじゃない?』


「リョウ君に見られたらなんて言い訳すればいいと思ってるの?」


憧れのお姉さんがしばらく見ないうちに部屋でコスプレする人になってました。

そんなのは嫌すぎる。


『だからってぶっつけ本番はやめて欲しいんだけど。 今回のは特に繊細なドレスだからね』


「なくてもなんとかなるし別にいいよ」


それに最近闇の雫(ダークティアーズ)の出現報告ないらしいし。

あまりにも出てこないので不気味だと茜ちゃんが言っていたけど、出てこないのは良い事だ。


『そうやってアヤはいつもボクの話を真面目に聞いてくれない! いい? 今度ばかりは聞いてもら──』


「綾ー? 悪いんだけど買い物行って来てくれる?」


「うん、今日の晩御飯だよね?」


「リョウが来るなら御持て成ししてあげないとー」


確かにママの言うとおりだ。

私はママからお財布とエコバッグを受け取るとルーを置いて家を出た。

ところでルーが何かを言おうとしてたみたいだけど、何だったのだろう。







「えっと、ジャガイモは……うん、これかな」


良いジャガイモをカートに放り込みながら手元のメモ帳を確かめ、次の食材を手に入れるべく歩く。

途中良く見たことがある男がカートを押しながら高笑いしていたが、気のせいだろう。


「ん? 牛乳とお米……ママ、娘一人に頼む量じゃないよ」


まぁもてるんだけど。

軽い文句は出るがママのお料理は世界一なので不満はない。

なんでも小学生時代、とある有名ホテルとやらでチーフをしたことすらあるらしい……嘘っぽいのであんまり信じていないが料理が美味しいのには違い


ない。

私もママに料理の腕を仕込まれたが、それでもまだまだママの域には到底届かない。

世の中のママの料理はあんなに美味しいから私がママみたいになるにはまだまだ足りないものがある。


「暴虐の人参……ククク、こいつは斬首台の下でのみ生えると言われている死を凝縮した──」


うん、私のママは本当の料理が上手なのだ。

さて次は……


「血溜まりのトマト……ふっ、毎日血を与えることによって実を真っ赤に染めた禁断の果……野菜なのだ」


「ちっ」


思わずフレイムデストラクションを撃って骨すら残さず焼こうと右手が動くが、それを左手で抑える。


「我慢、我慢するのよ……私の右手!」


「ぬ? 何か我と同じ匂いが……」


うっさい!

本当に消し炭にするわよ!







思考の片隅で淡々と魔法詠唱している部分を必死で抑えつつ買い物を終えて家に帰ると、庭に数箱のダンボールが置かれていた。

たぶん引っ越し業者の人が……って何で庭に置いてあるんだろう?

せめて部屋まで持っていってくれればいいのに。


「ただいまー」


玄関で靴を脱ぐと男物の靴が置いてあるのに気付いた。


「あらおかえり。 リョウももう来てるわよ」


「ホント!?」


楽しみだなぁ、と笑顔でエコバッグから冷蔵庫へと移す作業をしながらママに聞いた。


「ねぇママ。 庭のダンボールはどうしたの?」


「あら? リョウに運ぶように言ってたんだけど……まだ終わってないのかしら?」


今年て中学二年生のリョウ君はきっと立派な男の子になっているであろう。

だからダンボールなんて軽々と持ち上げて自分の部屋に入れているかもしれない。


「リョウ君に挨拶してくるね」


「え? ……もうちょっとここにいてもいいのよ?」


「…………何でよ」


急に挙動不審になったママを怪訝に思いつつ二階の掃除したリョウ君の部屋をノックする。

十数秒待つが、返事がない。


「あれ?」


じゃあどこにいるんだろう。

仕方がないので家の中の気配を探ってみると──


「私の部屋……だけど、なんで?」


お馴染みのルーの気配が私の部屋の扉を守るかのように廊下にあり、一方知らない気配が私の部屋にある。

いったいどういうことだろうか?

とにかく私は自分の部屋まで行こうとして──扉の前で縛られているルーを見て驚愕した。


「え、ええええぇぇぇ!?」


『ア、アヤ……ごめん』


「何謝ってるの……というか縄ぁ!?」


驚きつつもルーの縄を解……


「亀甲縛り……小動物の亀甲縛りって誰得なんだろう」


『いやそこはどうでもいいから』


しかしルーはいったい誰に縛られ──って一人しかいないじゃないか。

今も私の部屋の中にいるであろう人物、リョウ君以外に他ならない。


「リョウ君……ルーを虐めていいのは私だけだよ!」


『アヤも駄目に決まってるでしょ』


ルーのツッコミを無視して自室のドアを開け


「はぁーはぁー、クンカクンカ! グッドスメル! グッドスメル! グッドスメエエェェェェルゥゥゥゥッ!」


「…………」


パタン


思わず扉を閉めてそのままの状態で固まる。

いったい何分何時間たったのか、時間間隔が曖昧なまま傍で手足を伸ばしているルーに問いかける。


「…………なに、あれ?」


『君の弟だよ』


「…………なに、あれ?」


『ユアブラザー』


…………。


『ユアリトルブラザー。 君の弟のリョウだよ』


「違う」


『え?』


「私の家族に変態はいない……」


バンッ、と勢いよく自室の扉を開ける。

するとそこには私の枕に顔を埋め、ベッドに寝転がっている変態がいた。

ズボンを脱いでないだけマシだろう……仮に脱いでたらどうやって死体を処理するか悩むところだった。


「はぁー……はぁー……まじ姉ちゃんの匂いは次元一ぃ…………あ」


「…………」


深く息を吸っている変態と私の目が合う。

瞬時に変態の顔に大量の脂汗が流れ出し、真っ青になるが変態は気を取り直したようにベッドから降りて無理矢理作った笑顔で言った。


「姉ちゃん久しぶり! 会いたかった!」


爽やかに挨拶をしだした変態に私の額に青筋が浮かんだ。

こいつ、さっきの奇行をなかったことにしようとしてやがる。

しかも部屋の入り口から見ただけで枕が妙に湿ってるし……とりあえずあれは捨てて今夜はリョウの部屋に置いたばかりの新品の枕を使おう。

ついでにシーツも捨ててリョウの部屋のものを使って、布団も同様に……リョウは地面で寝かせておけばいいや。


ってこの変態、何を考えてるのか両手を広げて私に向かって走り出しやがった。

あれか、姉弟の感動の再開のハグでもしようってのか?

だが残念だ……


「私に弟はいない! 『紅き月より出でる破壊の神よ』」


「ぱぐぁっ!?」


手加減抜きの魔力で強化済みの右ストレートを顔面に叩き込む。

変態が吹っ飛ばされて私の部屋の壁にたたきつけられる前に回りこみ、背中へと三打撃。


「『古の盟約により其の炎を彼の者の力とせよ……フレイムエンチャント』」


空中で一瞬止まったところを狙い、蹴り上げ天井付近まで打ち上げると私もジャンプして殴り始める。


『3万! 4万! 5、6、7(パキンッ!)!? 馬鹿なっ、マジカルカウンターが壊れた!?』


ルーがワケの分からないことを言っていたが、いつのまにか無意識で使っていた炎拳による50連撃を終え、止めの魔力を込める。

落ちてきた変態の顔を燃え盛る手で鷲掴みにすると同時にさらに赤く輝き出す拳。


「コロナァ!」


コロナ──炎魔法の威力は非常に高いがその威力を集中することが難しいという欠点がある。しかしコロナは中級魔法『フレイムエンチャント』の付与


された炎を操ることによりその炎を一点集中、一瞬ではあるが約200万度の熱量を発生することが出来るのだ!

まぁさすがに変態とはいえ弟なので低温火傷をする程度にしか熱量を出していないのだが──殴って空中コンボ決めていたその殴打は本気であったこと


をここに記す。


『な、ななじゅうはちひっと!』


「いったいいつまでふざけてるのルー!」

マジカルカウンター:魔力を持った者の戦闘力を測ることができる……のだが、魔法を使ってる最中は劇的に上がったりするので事実上攻撃力しか測れてない。スカ○ター

フレイムエンチャント:手足に炎を纏わせることにより魔法攻撃を打撃で行うことができる。身体能力の上昇は一切ないが纏った炎の形状や温度をある程度変化させられる。

コロナ:正確に言えば魔法ではなくフレイムエンチャントの派生攻撃。連続攻撃により極限まで高めたフレイムエンチャントを爆発、消費魔力(フレイムエンチャント一時間分)と発生時間(0.1秒)、射程距離(拳から1mm)という犠牲を払い200万度という馬鹿げた熱量を作り出すことが可能となった。だがあくまで目的は敵を焼き殺すことではなくバカみたいに硬い結界を貫通する為のもので、コロナから派生して別の魔法へと繋がる。

弟:コンセプトはぶれない変態

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