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恋咲く季節  作者: 銀 歌月
第一章 うつり変わる季節
4/19

3  一人目

1,2話のサブタイから、私という言葉を抜きました。

特に意味のない報告です。

*サブタイに番号を入れました。

 桜が舞い散る坂道を登り切り、校門で暁と別れる。

 中等部は校門をくぐって向かって右にあり、高等部が左にある。食堂や図書館などの施設は合同で使っている。校門から見て校庭が一番手前で次が校舎、奥に高等部の体育館、文化ホール、図書館、植物園などがある。ちなみに、互いの校舎の間に食堂がある。

 入学式や卒業式は高等部がホールを使うことになっていて中等部の方は校舎横の体育館を使って行う。

 これは人数的な問題からだ。中等部は1クラス30人前後のクラスが学年ごとに2つずつあり、高等部はその倍の4クラスになるからだ。

 まあ、単純にホールが高等部にほうに作られているからでもあるが。


 新入生(持ち上がりでも形式上こう呼ばれる)は、まず体育館の前まで行きクラス分けの表を見る。在校生は一度前のクラスに行き荷物を取ってから黒板に書いてある新しいクラスに行くことになる。ここら辺は中等部でも同じだった。


 校舎横を抜け、体育館前のボードを見る。早めに家を出たからかそこまで混んでいなくすぐに見ることができた。クラス分けはランダム。成績順とかそういうのはない。

「Aクラスかぁ」

 ゲームと現実は違うしクラスが違ければと期待していたけどヒロインと同じクラスだった。他には攻略キャラの秋月蓮とも同じクラスだ。さすがに攻略キャラのクラスまで覚えていなかったけどまさか同じクラスにいたとは。できるだけ関わらないようにしよう。


「あっ、江梨香えりかも同じクラスだ」

 私は、もともとあまり人付き合いが得意ではなく浅く広くって感じだ。一応初対面の人とも話せるが、親密になるわけではない。クラスメイトとも知り合いっていうよりかどちらかといえば友達ぐらいの関係を保っている。あまり自分の中にぐいぐい入られるのは嫌い。

 ヒロインは私の苦手なタイプだ。勝手に近づいてきて無理やり扉を開ける。そして、気づいたら隣にいるのが当たり前になっているのだ。そうやってキャラを攻略していくのだ。

 その性格で、男女ともに仲良く人気がある。


 しかし、私はひとりの時間は大切にしたい。

 江梨香はそんな私の親友といってもいい友達だ。互いにあまり干渉せずに一緒にいられる貴重な存在。

 さっぱりした性格で頭もいい。他の人からしたら冷たいと思われるようだがあのくらいの距離は心地いい。何も考えず、自然に一緒にいられる。中等部1年の時に出会って以来で私の夢を知っている唯一の友達でもある。

 それに趣味も似ている。あと、絵がうまく、歌の作詞も書くそうだ。その道では結構有名らしい。いつか私と2人で曲を作ろうといっている。作詞が江梨香で作曲が私。

 これでも長年ピアノをしているだけあって自分でつくった曲なんかも好評だ。家族しか聞いたことないが。というよりも私がピアノとかダンスとかを習っているのを知っているのは家族と江梨香だけである。体操は中等部でやめたが今でも時々暁と教室にいって先生の手伝いをしている。なぜかそういう伝統があってあの体操教室は人気なのだ。


 クラスの確認が終わったのでそのまま体育館に入る。ここでいったんクラスごとに分かれて、そのあとホールに移るのだ。ホールの通路は広いとは言えないから、手間取らないようにの処置だろう。面倒だが仕方ない。

 体育館はまだすいていた。前に教師が立っていてその後ろに貼ってある紙にクラスが書いてある。きっと先生の前に集まるのだろう。こんなことなら本でも持ってくれば良かった。結構まだ時間がある。しかしどうしようもない、江梨香が来るまでなにもすることがない。


 そう思っていたら、誰かがパンフレットを落とした。入学のしおりを兼ねた学校紹介も載っている、生徒会制作のものだ。

 かがんで拾おうとすると同じタイミングで手を伸ばした人がいた。一瞬2人とも手が止まったが私の方が速く復活し手に取り立ち上がる。そして、落とした本人であろう一緒に手を伸ばした人を見る。

 天使がいた。

 いや、天使のような外見の金髪碧眼の男子・・生徒だ。

 一瞬フリーズした思考をすぐに戻し、何でもないように笑顔で渡す。笑顔に他意はない。印象を良くし、対人関係を円滑にするための手段の一つだからだ。社会に出るまでに身に着けないといけないスキルでもある。


「はい。あなたのだよね?」


 男子はきょとんとした顔をしたがすぐに笑って、受け取る。なぜか、この笑顔はあまりいい印象を受けない。たしかにきれいではあるが人をからかうような雰囲気がある。気のせいかな。

 でもこんな人がいたら攻略キャラになってそうだけどな。


「ありがとう。君も受験組なのかな」

 その言葉に周りを見渡すと少なかった人が4分の1くらいに増えていて、持ち上がり組は数人のグループになっている。しかし、江梨香はまだ来ていなかった。

「ううん。私は持ち上がり。友達がまだ来てないの。あんまり人付き合い得意じゃなくて」

 自分の言葉に苦笑する。実際は今いる人たちの中でも話せる人がいる。しかし、自分から話そうと思う人はいなかった。


「へぇ、意外。

 僕はシリル・梅霖ばいりん・モロ。こっちでは梅霖シリル。よろしく。シリルって呼んでね」

 最後に、ウインクの付いてもおかしくない口調で言われた。普通は引くだろうけど、こんな子がしたら似合うんだろうな。


「私は、小春結愛。よろしく。梅霖くん」

 呼び名のところはスルーする。いくら攻略キャラではないといっても美形とはあんまりお近づきなりたくない。


「シリルでいいのに。呼びづらいでしょ」

梅霖くんは少し拗ねたように言う。顔がこれだと罪悪感が生まれる。しかしここで折れてはいけない。場合にもよるが呼び方は人間関係の初歩だ。

「男の子の名前はあんまり呼ばないから慣れなくて。ごめんね」

申し訳なさそうに答える。

あんまりなれなれしくしてほしくない。早く、江梨香来ないかな。


「そっか、じゃあ慣れたれでいいや。せっかくだし結愛ちゃんの友達来るまで一緒に話そう」

本当は嫌だがここで断るのも変だし、攻略キャラじゃないからいいかな。引き際を知っているしそこまで嫌いなタイプではなさそうだ。どうせ同じクラスなんだから会うことになるだろうし。

「そっちがいいなら。私の方こそ暇だったしよろしく」


そのあとすぐに江梨香が来たが、結局先生が声をかけるまで3人で話していた。

あと梅霖くんはけっこういい性格をしていた。人をからかうのが好きみたいだ。ちなみに被害者は私。まあ、江梨香がバッサリ斬ったんだけど。


ヒロインを見かけることはなかった。あの、亜麻色のセミロングの髪を見かけなかったのだ。同じクラスだったから見落としたわけではないと思うけど。

休みかな。まあ、関わらなければいいだけか。





ちなみに、江梨香のその道は某笑顔な動画の音楽の人気ジャンルのつもりです。


入学式前の主人公たちのやり取りはシリル君視点で書きたいと思います。できるだけ甘くしていきたいです。


ひとまず、ここまで書きあげました。

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