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恋咲く季節  作者: 銀 歌月
第一章 うつり変わる季節
3/19

2 始まり

短編の後半部分になります。

「結愛、高校入学おめでとう」

「結愛もついに高校生なのね。私たちも年取ったわね」


 玄関に立って私を眺める両親。

 ケンカもあったけど、仲のいい両親だ。


「ありがとう。お父さん、お母さん。行ってくるね」

 父と母の言葉に満面の笑みで答える。


 ついにこの時が来た。もう、いつ離婚するかとおびえる日々もお終い。頑張ったよ私。よくやった。


 地味に大変なことが多かったんだよね。

 お父さんの手帳と家中のにカレンダーにこっそり家族の誕生日とか結婚記念日に印をつけたり、ピアノと歌のプレゼントとか言って仕事休みにみんなに集まってもらったりもしたっけ。

 いくらみんなを集める口実だったとしても、人前で発表するからには手は抜けないしすぐ眠くなるしけっこう子供ながら忙しかった。

 あとなぜか父の会社の同僚が協力してくれて会社で家族の話をしあっていたり(つまり自慢大会)、父に誕生日とか忘れてないかさりげなく聞いてくれくれたりしたんだよね。私にも接触してくるし、初めは警戒してたけど、何も言わず協力してくれるから利用するだけ利用して、できるだけ近づかないようにした。あの人どこかで見たことあるというか、誰かに似ているんだよね。美形だし。

 ほんとに関係ないが、この世界美形がけっこういるんだよな。協力してくれた同僚の人とか、よくいくカフェの女の人とか。あれ、そういえばあの人だいぶ前結婚したって言ってた。一応お祝い言ったけど家が遠くなるからやめたんだっけ。お人よしなとこあるけど優しい人だったんだけどな。お菓子サービスしてくれたし。

  まあ、美形がいるのは舞台になる学園と同じ町だからかな。うん。深く追及するのはやめよう。あの同僚の人をなんとなく避けていた過去の自分すごいや。女の勘っていうやつかな(笑)


 それにさりげなく父に私が寂しいと感じてると思わせるのも大変だった。あからさまではいけないし普段はわがまま言わないようにしてここぞという時に甘えて、私の演技力上がったんじゃないかな。親を騙すのは罪悪感があるが仕方ない。割り切るしかないのだ。


 演技といえば5歳からダンスと体操を習い始めて、8歳から演技も習っている。我ながら頑張っている。両親もさすがに演技は必要ないといってたけど将来声優になりたいと言ったら許してくれた。それに、いつまでも家族をごまかす自信なかったしダンスとかよりも重要だったんだよね、演技。それにしても、お願いした習い事は、すべてやらせてもらってる。けっこう甘やかされているんだよな私たち。


 自分でも、こんな心配ばかりしている子供ってどうかと思う。切実に。

 恋をするつもりも結婚するつもりもないけど自分の子供には素直に育ってほしい。私が言えることではないけど。




 いろいろあったが、ついに私は高校生になった。やっとここまで来た。


 運動は普通ぐらいだけど体もやわらかいし、勉強は前世から得意だったのとこの体のスペックが合わさってあまりしなくても学年トップ5には入っている。容姿も自分で言うのは変だけどかわいい系の黒髪ロング美少女。ゲームでは髪型がショートだったけど重要なキャラだったからかわいかったし、さすがこの両親の娘なだけあるなという感じ。ちなみに私は母似で1つ下の弟のあきは父似。


 前の私だったら恨んでいるくらい優秀な今回の人生。しかし、女子からの嫉妬とかは無いにも等しい。小さいころから鍛えてた演技力とゲームや本好きを隠してないのも一役買っているのだろう。それにどちらかというと男子はあまり好きではない。それが行動に出てたのかな。

 周りから見たらきっとやりたいこと頑張っているから恋愛とかには興味ないと思われているはずだ。間違ってはないし。ちなみにオタクとか、腐女子とか思われているわけではない。そこまで深くはまっていないこともみんな知っている。なぜだろう。クラスで友達と話す内容が他の人と変わんないからかな。まあ、マニアックなものはしてないし、人気のゲームとかが多いから普通より少しゲーム好きみたいな感じで思われているのだろう。

 あと、告白を断る言い訳に将来やりたいことあって今はそのためにしなきゃいけないことがあるからどうしていいかわからないといっていたらいつの間にか広まって今は恋愛までできない、ということになっていた。


 だから私の学校での評価は、成績優秀で読書が趣味の恋にまだ興味ない少女。なぜか悪意を感じるが私の被害妄想だろう。嫉妬を受けるよりかはいいし。

 やりすぎた感もあるが前世であきらめていた夢のためなら仕方ない。


「姉さん。どうしたの、早く行こう。今日、クラス替えあるから少し急がないと」

 暁が家の前から声をかける。

 今日は、高等部の入学式だ。といっても、半分以上が中等部からの持ち上がりだが。

 学校は学力とかいろいろ考えたら桜坂学園が一番良かったし、家からも近いし、ゲームには関わりたくないという心配もあるけど仕方ないから中等部から通っている。弟も一緒。


 弟の暁は私が小さいころから習い事をしていたのを真似し、体操とサッカーを4歳から始めてる。音楽方面は自分がするより聞いているほうが好きみたいだ。今では黒髪さわやか系のイケメンになっていて、中等部のサッカー部の副キャプテンを務めている。文武両道で生徒会にも誘われたことが何度もあるらしい。ゲームではきつい性格だったが今は素直で優しい子だ。怒らせると怖いけど。

 あと、私の影響でゲーム好きになってしまったがそのくらい許容範囲だ。


「ついに私も高校生なのか。まあ変化は校舎と制服ぐらいだけど

 ……これで、私の計画の第一段階も終わったんだ」

「ん?」


 おっと、声に出していたらしい。危ない、気を付けなければ。


「高校生になったんだなと思って」

 笑ってごまかす。

 さあ、もう何も心配することもない。これからは私の夢のために頑張ろう。


 目指せ、人気声優!

 なんて思ってみたり。まあ大学まで行くつもりだし、高校のうちはオーディションは受ける気はないけど。

 もう、壁(攻略キャラ)は乗り越えた。私とゲームのストーリーの関係は何もない。


 私はそう思い自分の未来を疑わなかった。

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