一日の終わり
掲載日:2026/04/18
マンホールの蓋が開いていた
ひとの目も気にせず
立ち止まって覗き込んだ黒い穴
夕暮れどきすこし色つきの風が吹き
探している子猫はみつからない
やさしい波紋の音がするから
東にひらけた街並みの屋根の上をみる
静かな三日月が銀のナイフのようで
残された僕の知らない神さまが
そこにはいらっしゃるようで
壊れかけのおもちゃみたいな心を
寂しく無いからと慰めてくれる
永遠のループにつづくマンホールの穴へ
入りさえすれば良いのだと
身を屈めて恐る恐る黒く暗い穴を覗き込む
その中はまさしく僕の漆黒の心そのもの
すんでのところでやさしげな神さまに
騙されるところだった
子猫だってみつからないままだし
夕暮れが蒼い夜へ向かう日常の街へ
わずかばかりの人生の糸の絡まった家へ
戻ろうと想う
ドアを開ければ心を解放できる一日の終わり




