席探すやつ
「以上でよろしいでしょうか? お待ちくださーい」
注文を終えた俺たちは無敵だ。そんな顔をする彼に俺は微笑み、言葉をかける。
「最近何か面白いことあった?」
「ガチで困ったことあってさ、昼飯買ったのに学食の席空いてないっていうね」
「結構困るやつじゃん。空けてもらったの?」
「気まずいじゃん。探したよね、空いてる席ないか」
「成果は?」
「なんの成果も得られませんでした!」
「導入でわかってたけどな」
「学食って食堂で食べないといけない訳じゃないじゃん?」
「それはおかしい! クラスで食べてるやつとか見たことないだろ!」
「見てないところでやってるかもしれないだろ!」
「俺の負け。で、どしたん?」
「クラスで食べるか、ってことになって戻ったんよね」
「さすがにそれなら座れるな」
「空いてませんでした」
「そんなことある!? お前の席があるはずでは!?」
「休み時間明けたら授業参観だったから、すごい混雑だったわ」
「だとしても! 座席ぐらい空いてるだろ!」
「知らない大人が寝てたんだよね」
「それは起こせない! かなりの怖さを感じる!」
「他の学年も全部ダメでさ、図工室とかも埋まってたんだよね」
「繁盛しすぎじゃない!? ってか図工室で食べるのは嫌かも」
「で、閃いたわけ。学食って学校で食べる必要あんのか? って」
「あるだろ! 学校で食事しろ!」
「トレイを持ったまま校門をくぐったことはありますか? 俺はあります」
「普通ないけどね! その経験が人生を変えることもないけどね!」
「近くのビルに入ってみたわけよ。なんかの企業っぽかったんだけど」
「セキュリティがばがばすぎない? で、食べれたの?」
「惨殺の跡で染まっててさすがに食べれんかったわ。トレイ落としそうになった」
「そんなことある!? 落とさなくてよかったね!」
「で、一週間くらい学校来てなかったじゃん」
「確かに。久しぶりかも」
「拘留されてました。容疑者として」
「人生変わってんね! 戻ってこれてよかったね!」
「一日で解放されたんだけど、お詫びになんかしたいって言われてさ」
「嬉しいけどそれっていいのか?」
「とりあえず座席探したいです、って言ったわけ。まだ座れてなかったし、食べれてなかったし」
「そこなのか!? てか、もう床で食えよ!」
「この辺の座席全部埋まってるらしくって無理だったんだよね」
「意味がわからん! 埋まることないだろ! てか、もう床で食えよ!」
「文化的じゃない食事なんてさ……」
「チーズの乗ってないピザってこと!?」
「宇宙から観光客が無限に来てるらしくって、席空いてなかったみたい」
「円安だからね。席も埋まるわ……けないだろ! いい加減にしろ!」
「じゃあ宇宙空いてんじゃん、と思って食事ついでに旅行してたから学校行けてなかったわけ」
「食事のついでに旅行!? 謎の概念産み出すなよ! てか、ロケットで食べればよかったのでは?」
「同じ考えの人がたくさんいたからつり革で行った」
「危なくない!? よく無事だったね」
「小指骨折したからお前も気を付けた方がいいよ」
「やることないから安心してね!」
「お待たせしましたー。カツカレーですー」
「地球で食べるとこんな味なんだ」
「地球人が抱く感想か!?」
こうして俺の待ち時間は消えてまった。
てか、この飯うま。帰ったらレビュー書こ。
月の土地ってめちゃ安いらしい。
次回投稿は3/30(月)7:00を予定していますよ。




