音漏れしてるやつ
「以上でよろしいでしょうか? お待ちくださーい」
注文を終えた俺たちは無敵だ。そんな顔をする彼に俺は微笑み、言葉をかける。
「最近何か面白いことあった?」
「電車乗ってたらさ、耳からそうめん出してる人いたんだよね」
「関わらない方がいい! 明らかにやばい」
「ちょうどめんつゆ持ってたから差し入れようかと思ったんだけど」
「お前の方がやばいかも!」
「合法なめんつゆだけども?」
「そこになんの疑いもない!」
「そうめんだけだったら無味じゃん。美味しく食べてほしいし」
「チーズのないピザだけど! 車内で素麺すすり出すのもやばいし耳からってのがもっとやばい!」
「器に注いで持ってこうとしたとき気づいたんだよね。イヤホンだわって」
「ただめんつゆ注いだ人ってこと!? 車内ざわつくだろ!」
「写真とっていいですか? って聞かれたわ」
「投稿される! いいね稼がれてる!」
「半分くれるって言うからOKしちゃった」
「何をくれんの!? いいねを!?」
「めっちゃ音漏れしてて気づいたんだよね」
「終わってなくない!? 話!」
「だからイヤホンから音漏れしてるって話だろ?」
「めんつゆ周り! そっちが気になるかも!」
「ラップっぽい感じの音楽だったわ、確か」
「強行突破する感じな! めんつゆは闇に葬り去る感じな!」
「やっぱ音漏れしてると気になるじゃん?」
「それはそう。回りも気になってたんじゃね?」
「俺も出してみた。音」
「いやどういうこと!? 余計気になるんだけど!」
「逆位相の音をぶつけることによって消滅させてた」
「すごいこと言ってそう! よくわかんねーけど!」
「めっちゃ回りから見られたわ。尊敬か?」
「困惑! もしくは迷惑!」
「漏れてたのは?」
「音楽!」
「円描きたいなぁ」
「コンパス!」
「芋から生まれた?」
「こんにゃく!」
「俺が注文したのは?」
「何頼んだの?」
「お待たせしましたー。豚カツですー」
「意外と少ないな」
「大盛りすればよかったじゃん」
「半分くれるって言うから」
「昼飯の話!?」
こうして俺の待ち時間は消えてしまった。
てか、この飯うま。帰ったらレビュー書こ。
イヤホンは有線派です。街中で耳からそうめんを出している人がいればそれはだいたいわたしです。声はかけないでください。あなたを通報させたくないので。
次回投稿は1/15(木)7:00を予定していますよ。




