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91. フェルトゥス

一瞬、部屋の中の空気が一気に冷たく凍りついたようだった。


イヒョンは心の中で「あちゃ」と思った後悔が、雷のように頭をよぎった。


あまりにも多くの話を、あまりにも急ぎすぎて、あまりにも深く入り込みすぎた。


「今、お前が言った言葉は……私の権威に挑戦する言葉だ。」


伯爵の声は高くもなく低くもなかった。しかし、各言葉が氷の欠片のように鮮明で冷たく響いた。


ついさっきまで続いていた穏やかな会話の柔らかな波は、一瞬にして跡形もなく消えた。


貴族の権威に触れた失態に気づいた瞬間、イヒョンの背筋を冷たい気配がぞわぞわと這い下りた。


ここは王国の貴族社会。名誉を汚す者には、時には罪を問う前に剣の刃が先に飛んでくるのもおかしくない世界だった。


イヒョンは自分の言葉が線を越えたことを直感し、頭頂から足先まで冷たい汗が染み出た。隣に座ったベルティモさえ背筋を伸ばし、表情を硬くして口を閉ざしていた。


しばらくの間、伯爵は視線を外さずイヒョンを睨み下ろしていた。


それから、ゆっくりと口を開いた。


「……ただ、ここは公式の場ではなく、私が食事を招いた場だから、今回は聞かなかったことにする。」


ようやく少し柔らかくなった口調だった。


しかし、その中に隠れた鋭い気配は、まだ完全に収まっていなかった。


イヒョンは深く息を吸い込んだ後、席から立ち上がった。


ゆっくりと腰を曲げ、深く頭を下げた。


「閣下、私の軽率な言葉が大きな無礼を犯しました。分不相応に口を動かした私に、寛大に許しをお与えください。」


イヒョンの声は、真摯な低さと慎重さで染まっていた。


彼はこの瞬間、長年の努力で積み重ねてきたすべてが一瞬で崩れ去る可能性を、骨身に染みて感じた。


伯爵は彼をしばらく見つめ、頷いた。


「構わない。座れ。」


彼の口調は以前より一段と柔らかくなり、少しの余裕が滲み出ていた。


その言葉にイヒョンは静かに席に戻って座った。


彼は目を一度閉じて開き、テーブルの下で手を擦り合わせて残る冷たい感触を拭い去った。


晩餐が終わり、使用人たちは蝋燭がテーブル上で踊る影を払いながら、静かに食堂を片付けていた。


明るい月光が窓から染み込み、一日の完全な終わりを囁いていた。


カエラとエスベルは丁寧な挨拶とともに、使用人の案内で席を退いたが、イヒョンはまだそこに留まっていた。


食事を終えた伯爵が席を立った直後、彼の指示を受けて出て行ったラマンが戻ってきて、イヒョンとベルティモに伯爵が二人を再び呼ぶと伝えたからだった。


しばらく後、使用人の案内で向かった先は別荘の最も奥深い内側。誰の許可もなく足を踏み入れることのできない、伯爵の個人執務室だった。


その執務室は別荘のどの空間よりも重い気配を放っていた。


壁面に沿って円形に広がった巨大な書架には、戦争と統治、戦略と税金に関する古書がぎっしりと並べられていた。


机の後ろには鳥の翼を模した黄金の装飾が掛けられ、机の上には柔らかな光を放つ水晶球が置かれていた。


まるで長い歳月の重みが部屋全体を押しつぶすような雰囲気だった。


이미 식사 말미에 백작の心機を大きく傷つけたことが気にかかっていたイヒョンにとっては、この呼び出しに緊張せざるを得なかった。


それに気づいたベルティモが、固くなったイヒョンの肩を見て、くすっと笑って肘で軽く突いた。


「よお、なんでそんなに固くなってるんだ? 伯爵様は厳しいけど、そんなことで長く恨みを抱かない方だよ。俺が知る限りではな。」


「あ……」


イヒョンは使用人が案内した椅子に座りながら、慎重に口を開いた。


「さっきは僕が興奮しすぎたみたいです。この計画が台無しになったらどうしようかと、昼夜なく心配していたのが、思ったより順調に進むとつい……」


「俺もわかってるよ。でも正直、少し驚いたな。お前があんなにストレートに切り込んでくるなんて思わなかったから。」


ベルティモは緊張の欠片も見えない態度で椅子に座り、足を組んで、鼻先を擦りながら応じた。


「伯爵様が大事な用で少し遅れますので、お待ちください。」


イヒョンとベルティモを案内した使用人が、彼らに軽く頭を下げて言葉を伝えた後、ドアの傍に立って静かに待機した。


「伯爵様が少し遅れるみたいだな。」


ベルティモは椅子に寄りかかって伸びをしながら呟いた。


まだ心が落ち着かないのか、上体を前に傾けて手を組んでいるイヒョンを見て、ベルティモが再び言葉を続けた。


「俺がなんで何も言わずに消えたのか、気にならなかったか?」


彼の声は低く、淡々としていた。


「ええ、少し変だとは思いました。」


「エフェリア大陸戦争が終わった後……俺に司令官の座が有力だったんだ。伯爵様もそうおっしゃっていたし、周りの雰囲気もほとんど俺を支持していたからな。」


イヒョンは静かに彼の横顔を眺めていた。


深く刻まれた皺と陰った目元の中に、歳月の痕跡が濃く染みついていた。


「でも……俺の出自が問題だった。」


彼は苦く笑って、指で荒れた髭を撫で下ろした。


「俺は路地裏で育ったよ。正確には……盗賊団でな。食べるものがなくて幼い頃から馬に乗り、略奪で命を繋いだんだ。それでもおかげで馬術は人より早く身につけたし、戦場を読む眼力もついたさ。」


イヒョンは黙って彼の話を聞いていた。


「先代の伯爵様がそんな俺を哀れに思われたのか、ご自分の軍隊に連れて行ってくださった。最初はただ先頭に立たせて死なせるつもりだったのかもしれない。でも俺が生き残り、毎回の戦闘で功を立てるようになると……人々の視線が変わり始めたよ。」


彼の声には喜びでも悲しみでもない、古い革から感じられる馴染み深く温かな感情が滲んでいた。


「時が流れ、先代の伯爵様がお亡くなりになった後、今の伯爵様も……俺を信じてくださった。だから俺はすべてを賭けて戦ったよ。命を捧げてでも。」


彼は言葉を切って目を閉じた。


顔に刻まれた細かな傷跡と皺に影が落ちた。


「戦争が終わって平和が訪れると、人々は再び俺の過去を掘り返して出自を責め始めた。下級貴族たちは俺の名前を聞くだけで脅威を感じたさ。卑しい路地育ちで盗賊団出身の俺が上り詰めるのが目障りだったんだろうな。伯爵様が俺を推せば推すほど、彼らの席は狭くなるから。」


「……だから消えられたんですか?」


イヒョンが低く尋ねた。ベルティモは頷いた。


「そうだ。俺が傍にいる限り、伯爵様の負担になると思ったんだ。お前は知らないだろう。誰かのために自ら身を引くってのがどんなものか。」


彼は背筋を伸ばし、窓の外を凝視した。その視線の先には、相変わらずの悔しさと折れない自負心が染みついていた。


「でも、その選択を後悔しないよ。伯爵様に少しでも負担を軽くしてあげられたなら。俺はもう先代の伯爵様の頃から、過分な恩恵を受けているんだから。今も伯爵様のためなら何でもできるさ。」


イヒョンはその言葉をじっくりと噛み締め、しばらく考えに沈んだ。


ベルティモが再び伯爵の傍に立つことがどんな意味を持つのか、今になってようやくぼんやりとわかった気がした。


そして、伯爵がさっきあんなに怒りを露わにした理由も、少しは納得がいった。


伯爵がこの時間に本当に来るのだろうか、そんな疑問が浮かぶ頃、執務室のドアが静かに開き始めた。


-----


巨大なドーム状の空間。


四方に位置する監視者たちが、その隙間からうずくまった黒い影が、かすかに息を荒げていた。


その姿はまるで魂を失った幽霊のように、この場所の本質を静かに露わにしていた。


ここはインテルヌムの心臓部、感情を殺す者たちが集う秘密のアジトだった。


その闇の真ん中。壁さえ届かないほど高い場所に、黒赤い宝石が浮かんでおり、その下に黒い玉座が置かれていた。


玉座に座った男。


ベルダークだった。


金色の波紋が渦を巻くように揺らめく黒い仮面。


その前に膝をついた二つの存在。


そのうちの一つ、すっきりとした黒い長髪の男が静かに頭を上げた。彼の眼差しは冷たく無感情だったが、その奥深いところで隠された疑問が軽い波のように揺れていた。


その隣に膝をついて座ったもう一人の人物、カルヌスだった。


感情を蝕む黒い霧がぞわぞわと立ち上り、壁面に刻まれたコルディウムの文様から流れ出る陰鬱な苦痛の反響が空間を満たしていた。


「アズレム、フェルトゥスは?」


ベルダークの声は柔らかかった。しかし、その中には普通の生命体が持てないぞっとする気配が潜んでいた。それはまるで死の使者が囁くように優しいトーンだった。


アズレムは静かに頭を下げた。


「はい。お伝えした通り、感情を消された個体たちは命令に完璧に従い、どんな感情も残っていません。身体能力はご指示通り制限を解除した状態です。完成したフェルトゥスたちはいつでも投入可能です。」


ベルダークは玉座から少し体を前に傾けた。


彼の視線がカルヌスを掠めるように通り、アズレムに止まった。


「いいね。あの子たちが本物の道具になったかを証明する時が来たようだ。最初の炎はプルベラで燃え上がることになるだろう。」


アズレムの眉がほんの少し震えた。


彼は聞き返さなかった。ただその言葉を受け入れる瞬間、彼の呼吸が微かに荒くなった。無意識の反応だった。


「プルベラ……」


アズレムが低い声で呟いた。


「重要な目標たちが集まった場所だよ、アズレム。」


ベルダークが指を上げて虚空を横切るようにかき回した。


「我々の実験体が留まる場所。鍵を握る者、ソ・イヒョン、彼もプルベラにいる。それにエセンビア伯爵はエフェリア西部だけでなく、海岸で我々の計画を妨害する軍隊を持つ者たちのうちの一人だ。あの伯爵と、彼らが狙う男が一つの街に集まった今が……最も理想的なタイミングさ。」


「ベルダーク様、フェルトゥスが完成したとしても、大規模戦闘への適合性に関する検証はまだです。すぐに現場に投入するのは……」


アズレムが重い口調で尋ねた。


ベルダークは笑わなかった。代わりに彼の口元が、闇の中の影のように歪んだ。


「気にするな、アズレム。あの子たちの力を確認するんだ。そして最も重要なのは、鍵を持つ者を消すことだ。伯爵はただのおまけさ。」


アズレムはゆっくりと頭を下げた。


「わかりました。」


ベルダークが手を広げると、虚空から鈍い振動が爆発するように広がった。


彼らの周りに黒い霧が幕のように降りかかり、一瞬のうちにアズレムとカルヌスはフェルトゥスが待機中のインテルヌム地下空間に移動していた。


しばらく後、細長い体をゆっくりと起こしたカルヌスが両腕を広げて叫んだ。


「ウムブラ・ベール(Umbra Veil)!」


彼の体と影から蛇のようにうごめく霧が噴き上がり、それはすぐに地面を覆う黒い流れに変わった。


「準備完了です。プルベラ都市内部への侵入経路を確保しました。」


アズレムが後ろを振り返った。


彼の背後には、黒い鎧を着た数百のフェルトゥスたちが列をなして立っていた。


フェルトゥス部隊。


感情を奪われた被験体たち。子供から青年、女性、老人まで……人間の姿を保っているが、すでに人間ではないものたち。


彼らは感情を失うと同時に、自分を縛っていた限界を解き放ち、怪物のような力を得た操り人形のような存在だった。


彼らの瞳には光がなかった。彼らは自分が誰だったのか、なぜ生きているのかさえ知らなかった。


ただ一つ。


ベルダークの意志を、アズレムの指示に従うことだけが、彼らの唯一の目的だった。


アズレムは即座に黒い馬を呼び寄せて乗り、黒い霧の流れに向かって大股で歩き入った。


彼を追ってフェルトゥスたちが整然と動いた。


彼らの足音は何の痕跡も残さず、すぐに空気の質感が変わった。


やがて、すべてのフェルトゥス部隊が影に溶け込むように姿を消した。




読んでくれてありがとうございます。


読者の皆さまの温かい称賛や鋭いご批評は、今後さらに面白い小説を書くための大きな力となります。


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