78. 取引
翌日、イヒョンはレンの居心地の良い小屋を再び訪れた。森の朝霧がまだ残る時間帯だったが、木の葉の間をすり抜ける陽光が、彼の足取りを導いているようだった。
レンとフローラは約束通り、数日間で棘の生えたイラクサの茎や、タンポポの深い根、山査子の赤い実まで集めて待っていた。それらの宝物のような材料が籠いっぱいに積まれ、ほのかな草の香りを漂わせながら、イヒョンを迎えていた。
イヒョンは感謝を込めて、深く頭を下げた。
「本当にありがとうございます。この薬草たちがどうしても必要だったんです……おかげで貴重な日々を節約できました。」
レンは彼の大きな掌で、イヒョンの肩を軽く叩いてくれた。その感触は粗い木の皮のようにざらざらしていたが、内側に込められた温かさが感じられた。
「ふむ、お前のその眼差しを見れば、何があってもやってみるつもりらしいな。それでもいつも気をつけろ。あのちびっ子も一緒なんだからな。」
すぐ隣でテオがイアンの肩に腕をかけていた。イアンは少し体を縮こまらせたものの、その顔には微かな喜びがにじんでいるようだった。
フローラがテオにそっと目配せすると、テオは惜しげな表情で腕を引いた。
「また来るよね? 次は絶対一緒に遊ぼう! その時はもっと面白いものを見せてあげるよ。春になるとこの森がどれだけ魔法みたいになるか知ってる? 花が咲き乱れて、鳥のさえずりが歌みたいに響き渡るんだよ。」
イアンはテオの澄んだ瞳をじっと見つめ、ほんのわずかな動きで頭を軽く頷かせた。
その瞬間、テオの顔に明るい花が咲くように、満面の笑みが広がった。
「見た? 僕の言った通りだよ! 返事したじゃん! イアンはもう僕の本当の友達だよ!」
その言葉を聞くと、フローラも胸が込み上げるように大声で笑い出した。
「そうね、テオ。いい友達ができたわね。ホホホ、君の明るさが伝染してるみたいだわ。もちろん、いたずらっ子な性格は伝染しないでほしいけどね。」
イヒョンもテオとイアンを交互に見つめ、口元に柔らかな笑みが広がった。
「テオ、おかげで本当に大きな力を得たよ。本当にありがとう。」
テオは頭をかきむしり、頰を少し赤らめながらつぶやいた。
「ええ、僕なんかただ一緒に遊んだだけですよ。何だよ。」
レンはその様子を見て、密かに満足げな様子で顎鬚を撫で、頷いた。
「テオはもともとそんな子だよ。あの明るい気質が周りを染めて、一緒にいる人たちも自然と輝き出すんだ。イアンも少しずつ変わっていくだろう。ただ、時間というやつが必要なだけさ。心の壁が柔らかく溶けていくように、私たち大人がするべきことは静かに見守ることだ。強要せずに、自然に。」
フローラはイアンの柔らかな髪をそっと撫で下ろした。
「そうよ、次に来る時はもっと明るい顔で来なさい。このおばさんが特別なおやつを用意しておくわ。温かいお茶と一緒に、君が好きそうなものをね。」
イアンはまだ少し頭を下げていたが、その表情の中に以前にはなかった、かすかな温もりがにじんでいた。まるで冬の終わりに芽吹く最初の新芽のように。
そうしてイヒョンとイアンは再びフルベラに戻った。秋風が木の葉を囁くように擦り抜ける道中で、彼らの足音が静かに響き渡った。
宿に着くなり、イアンはレンの小屋で解けた緊張の余波なのか、それともテオと過ごした短い瞬間の温かさが恋しいのか、眠たげな霧のように部屋の隅に丸まって座っていた。
イヒョンの視線がイアンと合った。テオとの出会い以降、その瞳の中にほんの細い糸のような光がにじんでいるようだった。まるで湖面に月光が揺らめくように、微かな変化をイヒョンは見逃さなかった。
『……やはり、感情を締め付けていた鎖は徐々に弱まっているみたいだ。』
イヒョンはイアンの頭を優しく撫でた。
「もう少しだけ待ってて。もうすぐ……お前も自由になれるよ。」
イアンはいつものように沈黙していたが、その視線が以前とは違い、柔らかな波のようにイヒョンを包み込んだ。その中に込められた気配が、春雨が染み込んだ土のように温かく感じられた。
イヒョンは準備した薬材を慎重に取り出して広げた。アイレナの浮腫を抑え、心臓の重い負担を軽くしてくれる自然の贈り物たち、棘の生えたイラクサの茎、タンポポの根の深い香り、山査子の実の赤い色合いが、ランプの灯りの下で輝いていた。
薬鉢で粉末にし、水で煎じ、調合した薬を小さな丸薬にまとめ、乾かしておいた。夜が深まり、窓外の星々が囁く中、イヒョンの手つきは休むことなく動いていた。
すべての作業が終わった後、イヒョンはふと視線を向け、ベッドに横たわるイアンを見つめた。胸の内で何か綿のように膨らむ感覚がした。彼は静かに近づいて座り、囁いた。
「イアン、悪いけど少し見せて。」
イアンはその手つきを避けず、静かな湖のようにじっとしていた。
イヒョンがシャツを軽くめくると、胸の中央に刻まれた灰色の模様が現れた。本来は黒雲のように濁って不吉だったそれが、今は朝霧に染まったパステルカラーで、淡く揺らめいていた。
イヒョンの息が一瞬止まったように感じられた。
「イアン……お前が……」
指先に伝わるその温かさが、波のように全身に広がっていった。イアンは依然として口を開かなかったが、その瞳に小さな火種が燃えるように、活力がにじみ出ていた。
イヒョンは慎重にドアを開け、ランプの淡い炎に頼って、リセラとセイラの部屋に向かった。
エレンはすでに夢の中へ旅立ったように静かに横たわっていたし、セイラはベッド脇の小さな机でハーブの葉を整え、手を忙しく動かしていた。リセラは窓辺に寄りかかって座り、窓外の夜空をじっと見つめていた。
イヒョンが入ってくると、二人の女性が同時に顔を向けた。セイラが先に立ち上がり、彼の顔を観察しながら尋ねた。
「何かあったの? 表情が……ちょっと変だよ。」
リセラの眉が少し上がり、彼女の視線が鋭く光った。
「何か問題があったんですか?」
イヒョンはランプをテーブルに置きながら答えた。
「さっきイアンの模様をもう一度確認したんです。」
彼は部屋の中を見回し、しばらく息を整えて口を開いた。
「あの模様の……色が変わってました。」
「色が?」
セイラの目が大きく見開かれた。
「あの灰色の模様のこと?」
イヒョンが頷いた。
「元々は曇った傷跡みたいに見えましたよね。でも今は……淡い光を帯びてるんです。とても微かですが、確かに変わってます。」
リセラは席から立ち上がり、イヒョンの部屋へ近づいてイアンを見下ろした。イアンは部屋の奥で布団をかぶって横たわっていた。
リセラはその視線を合わせ、息を少し整えながら尋ねた。
「……何かあったんですか? 特別な刺激でも?」
イヒョンが首を振った。
「何もありませんでした。レンの小屋で材料を取ってくるのに一日滞在して、そこでのレンの息子テオと少し時間を過ごしたのが全部です。」
セイラが首を傾げながら尋ねた。
「テオって……レンの息子だよね? イアンと同じくらいの年の子?」
「そうだよ。」
「テオがイアンをかなり興味深く思ってました。話しかけたり、手を引っ張ったり、いろいろ質問したりして……一緒に遊ぼうとしてましたよ。」
リセラは視線を外し、手を額に当てた。
「もしかして……イアンは殻を破ろうとしているのかもしれないわ。」
イヒョンとセイラが同時に顔を上げた。リセラは息を吐きながら言葉を続けた。
「感情が完全に消えたわけじゃなくて……封印されたり、操られたりしているのよ。この子は自分でそれを破りたいと思ってるのに……きっかけが足りなかったの。」
彼女はテーブルの上の水のグラスを持ち上げた。
「このグラスに水が感情だと思って。この水を誰かが前に全部飲んでしまったのよ。そして今、イアンは何かきっかけでまた水が溜まり始めているみたい。」
その言葉を聞くと、イヒョンの頭の中に神殿脇の墓地でのあの夜が浮かんだ。
「そう考えると辻褄が合うな。」
黒い霧。不吉に染み込む黒い霧と共に現れ、イアンの感情を盗み去ったあの存在。空っぽの胸から最後に流れ出ていた感情たちが、青い刃に乗って消えていったあの光景。
「……あの時、あの奴。」
イヒョンの声が低く沈んだ。
「あいつが……イアンの感情を収穫していったのかもしれない。」
セイラが髪を掻き上げ、息を呑んだ。
「収穫……って?」
「イアンは感情がないように見えたけど、実はかろうじてグラスを満たしていたんだ。」
イヒョンの視線が窓外の月光に留まった。
「あいつがそれを吸収していったんだろう。」
リセラは心配げな表情を一瞬浮かべたが、すぐに口元に力を入れて微笑んだ。
「……でも、希望が見えるわ。殻が自分で割れ始めたなら、いつかその中から鳥が生まれるはずだから。」
静かな部屋の中で、イアンは依然としてイヒョンを眺めていた。彼の視線が、夜空の星のように静かに輝いていた。
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晩秋のフルベラは夜通し染み込んだ雨で大地が柔らかく濡れ、足元からほのかな水音が囁くように響いた。灰色の石垣を這い上がる蔦の蔓が赤い葉を風に委ねて揺れ、まるで血に染まった傷のように壁を彩っていた。
狭い路地は夜通し散らばった落ち葉で覆われ、足音ごとにざわざわする音が葉たちの最後の歌のように広がった。遠くの湖上に垂れ込めた薄い水霧が細い陽光に溶けて散り、空気を澄んだヴェールのように包み、路地の入り口ではパン屋の温かな香りがかすかに染み込み、寒い朝を甘い約束で満たしていた。
イヒョンはマルケンの家前の石垣に背を預けて立ち、手に握った小さな紙の包みをいじくっていた。その中にはタンポポの根の苦味、イラクサの棘の生えた力、トウモロコシのひげの柔らかな流れ、山査子の実の赤い生命力が織りなす薬、アイレナのための、そしてマルケンを説得するための最後の鍵が入っていた。
風が彼の裾を擦り抜けていく時、包みから染み出る薬草の香りが鼻をくすぐっていた。
少し後、内側からガチャンとドアの音がして、扉が開いた。マルケンが古びたコートを肩にかけ、外へ出てきた。
彼の顔は疲れた気配が歴然としていた。
石垣の前に立っているイヒョンを発見した瞬間、彼の眉が上がり、一瞬ひるんだ。
「……イヒョンさん?」
マルケンが眼鏡を直しながらイヒョンに近づいた。
「こんな朝早く、何の用だ?」
イヒョンは微笑みながら、包みを掲げて見せた。
「薬ですよ。アイレナさんのための。」
マルケンの手が伸びてきて包みを受け取ると、厚い紙越しに香しい草の匂いが擦り抜けるように広がった。マルケンはイヒョンが渡した包みをしばらく見つめ、ゆっくりとイヒョンを仰ぎ見た。
「出かける途中だが、こうして訪ねてきたのをただ帰すわけにはいかん。食事はしたか?」
「はい、しました。」
「なら、お茶はどうだ?」
応接室の暖炉には昨夜燃えていた薪の残骸が淡い火種を抱き、部屋の空気を温かく温めていた。
マルケンが自らお茶を運んでくると、湯飲みから芳しい香りが応接室を満たした。
アイレナはすでに歩くのも難しくなったようで、家の中奥深くから感じられる沈黙がその事実を語っているようだった。
「これはどんな薬だ?」
「毎朝一つずつ、アイレナさんに飲ませてください。この薬がアイレナさんの体に溜まった水を抜き出すのを助けてくれます。」
マルケンの手で湯飲みの取っ手をいじくりながら、イヒョンが持ってきた包みを眺めた。
「信じられないわけじゃないが、本当に役立つのか? 老いぼれの無駄な心配だと思ってくれ。」
「お嬢さんは幼い頃に患った熱病で心臓に問題が生じたようです。治癒の儀式を受けても、すでに変形した心臓を元に戻すのは難しいでしょう。」
イヒョンがお茶を一口飲み、湯飲みを置いて言葉を続けた。
「前に申し上げた通り、完治は不可能ですが、薬を継続して飲めば進行を止め、症状を緩和できます。息が詰まって目が覚める夜が減り、顔の腫れが引くはずです。そうして治癒の儀式が必要なくなるほどになるでしょう。」
マルケンの手が包みを慎重に開け、中を覗き込んだ。
「マルケン卿、この薬が効果を発揮したら、前回の提案についてもう一度考えてください。そうしたら薬と製法をすべてお渡しします。人命で取引するのは正しくないですが、今、あなたの助けが切実なんです。」
マルケンの喉仏が少し動き、唇を噛んだ。
「君の計画はもっともらしい。そうなればいいさ。でも……もしニルバスが……私が君とこんな話をしたことを知ったら、私は鼠も鳥も知らずに暗殺されるに決まってる。あいつはそれくらいやる男だ。私が死んだら私の娘……アイレナは……一体どうなる……」
「マルケン卿、恐れるのは当然です。私もこの事に失敗したら首を差し出さなければならないかも知れません。でも……」
イヒョンが湯飲みをテーブルにゆっくり置き、声を低くした。イヒョンはマルケンの目を貫くように見つめ、言葉を続けた。
「人はいつか死にます。あなたも、私も、今ベッドに横たわっているアイレナさんも、みんないつかは死ぬんです。でも、もし今のようにニルバスの悪行を隠してあなたが死んだら……アイレナの未来はどうなるでしょうか?」
マルケンの肩が少し落ち、彼の視線が床に落ちた。彼の手が湯飲みを握ったり離したりを繰り返した。
「マルケン卿、このままなら死んでも後悔だけが残るでしょう。でも、娘がよく生きていける方法を整えておけば……話が変わりませんか? 私が聞いているニルバスという男は、卿がお亡くなりになったら今享受している特別待遇をすぐに取り上げるはずです。」
読んでくれてありがとうございます。
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