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45. 投獄

イヒョン一行は宮殿の宴会場に招かれた。


宮殿からは彼らのために上品で格式高い宴会服が用意されて送られ、皆は生まれて初めて着る華やかな衣装に、ぎこちなくもありながら興奮を抑えきれず着替えた。


ドランは首までしっかりと閉じた白いシャツに深い青色のベスト、きれいにアイロンがけされたズボンを身にまとい、肩を大きく上げたまま硬い姿勢で立っていた。リセラは柔らかなシルクのクリーム色のドレスをまとい、鏡の前で慣れない自分の姿を見つめ、ドレスの裾を慎重に整えた。


エレンは空色のリボンがついたふわっとしたワンピースを着て、鏡の前でクルクル回りながらキャッキャと笑い声を上げていた。セイラは真珠のような光沢がほのかに流れるワンピースを清楚に着こなし、髪をきちんと束ね上げた。


イヒョンはシンプルな黒の礼服を着て、わずかに硬い表情で一行を率いた。彼にとって、こんな大勢での食事の場は5年ぶりで、心が複雑だった。


宴会場に到着すると、エレンは目を丸くして周囲を見回し、感嘆の声を次々と上げた。


「わぁ…本当に宮殿だ! 天井が空みたいに高い! あのろうそく、いつ全部つけたんだろう? あそこのお皿にはすごいお肉がいっぱい! わぁ…!」


イヒョンとセイラは落ち着いた表情で一行を導き、侯爵夫人とレオブラム侯爵は宴会場の入り口で直接出迎え、温かい感謝の言葉を伝えた。


ライネルもその場に同席していた。


その日の主役らしく、彼は自分が好きな色で染められた高級な宴会服をきちんと着こなしていた。深い赤みがかったシルクの服は、襟と袖に金糸の刺繍が繊細に施され、腰には淡い灰色のリボン飾りが添えられ、上品な気品を漂わせていた。ろうそくの光の下で服の光沢はほのかに輝き、赤系の色味はライネルの肌をより一層澄んだ美しい色に染めた。


まだ肌が完全に回復したわけではなかったが、彼は誰よりも明るい笑顔を浮かべていた。


宴会が始まると、宮廷楽師の旋律が響き渡り、コース料理が次々とテーブルに並んだ。一生味わったことのない珍しい肉料理、色とりどりの果物、精巧に飾られたデザートが宴会場を華やかに彩った。


皆がグラスを掲げ、ライネルの快癒を祝った。侯爵は自ら立ち上がり、イヒョンとセイラ、ドランとリセラ、そして幼いエレンに酒杯を渡し、深い感謝の意を表した。


その中で、静かに席に座っていたライネルが突然腕を掻き始めた。


最初は誰も気づかなかったが、子が続けて腕や首筋をゴシゴシ掻くと、侯爵夫人がその様子を見てわずかに眉をひそめ、静かに口を開いた。


「ライネル、君の行動が場の雰囲気を乱しているよ。客人たちに失礼のないよう、慎重に振る舞いなさい。」


ライネルはビクッとして手を引いたが、すぐに慎重に口を開いた。


「母上…本当に我慢できないんです。どうしてもかゆくて、どんなに頑張っても止まらないんです…。」


侯爵夫人は驚いた目で息子に近づいた。彼女は急いでライネルの腕を上げ、じっくりと観察した。ろうそくの光に照らされた肌は、ついさっきまで柔らかく健康的な輝きを放っていたのに、今は赤い斑点がまだらに広がっていた。皮膚は赤く膨れ上がり、一部は掻き傷と共に赤い血の滴が浮かんでいた。


彼女は驚いて手を離し、再び子の首筋を覗き込んだ。そこにもすでに発疹が広がっており、腕の内側や膝の裏、汗が溜まりやすい柔らかい部位には、炎症が一つ一つ目に見えて広がっていた。


そばにいたメイドが驚いて口を押さえ、賓客たちの間では囁き声が広がった。侯爵夫人の顔は驚きと混乱、深い絶望が混ざった表情に染まった。彼女は震える手で息子の頬を撫で、声を抑えた。


「ライネル…どうしてこんなことに…。ついさっきまでは大丈夫だったのに…。」


ライネルは涙を浮かべた目で頷き、言った。


「母上…とてもかゆいんです。急に、また…。」


侯爵夫人は顔を上げ、イヒョンを見つめた。その眼差しには恐怖と怒り、そして再び押し寄せる恐れがそのまま宿っていた。彼女は震える声で口を開いた。


「子の肌が…またこうなってしまった…。一体どういうことですか?」


その瞬間、宴会場の空気が一瞬にして凍りついた。笑顔と祝福に満ちていた雰囲気は、瞬く間に静寂と緊張に覆われた。すべての視線がライネルとイヒョンに集まった。


レオブラム侯爵の顔がこわばり、やがて怒りで歪んだ。彼は席から勢いよく立ち上がり、イヒョンに向かって声を荒げた。


「イヒョン卿、一体これはどういうことだ! 数日でまたこの有様だというなら、君があれほど自信満々に言った『癒しの儀式とは違う』という言葉は何の意味があるのだ? これが君の言う病の理解と治療の結末なのか?」


イヒョンが立ち上がり、何かを説明しようとしたが、侯爵は手を伸ばして彼の言葉を遮り、叫んだ。


「これが詐欺でなければ一体何だというのだ! 私の子を実験台にしたのか? この屈辱的な…!」


侯爵の叫び声に、使用人たちは慌てて凍りついた。彼はすぐにそばに立つガルモンに向かい、冷ややかな声で命じた。


「ガルモン、彼らを今すぐ拘束しろ。地下牢に隔離し、このすべてのことが明らかになるまで絶対に解放するな!」


ガルモンは一瞬戸惑った様子を見せたが、侯爵の鋭い視線にすぐに姿勢を正し、頭を下げた。


「命令の通りいたします、閣下。」


宴会場の賓客たちは酒杯を置き、息を潜めて事態を見守った。ドランは顔が青ざめ、エレンは呆然とした表情でリセラの手をぎゅっと握った。


「衛兵!」


侯爵が手を上げて命令すると、すべての視線が一斉にイヒョンに向けられた。


「全員、今すぐ牢に閉じ込めなさい!」


一瞬にして兵士たちがなだれ込み、宴会場の空気は張り詰めた緊張に覆われた。兵士たちの鎧がぶつかり合う音や足音が響き渡ると、賓客たちの間から息を呑む声と低いざわめきが漏れた。


イヒョン一行は驚愕のあまり、席から動けず凍りついた。


兵士たちが四方から彼らを取り囲んだ。ドランは突然の事態に目を丸くし、言葉を継げなかった。リセラは驚きのあまり口を手で覆い、息を呑んだ。エレンは恐怖に怯えた顔で、リセラの手をさらに強く握りしめた。


その時、イヒョンが静かに一歩前に進み出た。


「少しお待ちください。」


彼の落ち着いた声は、騒がしい宴会場の空気を一瞬で静めさせた。すべての視線が彼に集中した。


「レオブラム侯爵閣下。」


イヒョンの声は毅然としながらも穏やかだった。


「治療の責任者として、すべての結果に対して私が責任を負うとすでに約束しました。この件に関して他の者は何の罪もありません。すべての責任は私にありますので、私一人を牢に入れてください。」


レオブラム侯爵は眉を深く寄せ、イヒョンを鋭く睨みつけた。一瞬、重い静寂が宴会場を包んだ。やがて侯爵は冷徹な声で命令を下した。


「イヒョン、そして彼を補佐した女性一人だけを拘束しろ。残りは今すぐ宮殿から追放しろ。」


兵士たちはイヒョンとセイラだけを残し、残りの一行を乱暴に宴会場から引きずり出した。リセラは兵士たちの荒々しい手にバランスを崩し、よろけて倒れそうになった。エレンは恐怖に満ちた目で叫び声を飲み込み、イヒョンに向かって手を伸ばした。


「おじさん! ダメ!」


エレンは最後まで彼の袖をつかもうと必死だったが、兵士の腕に押されて力なく離れた。リセラは震える手でエレンを抱きしめ、目をぎゅっと閉じて涙を抑えた。マリエンは兵士の手で背中を押されてよろめき、両手を胸に当て、唇を固く結んだ。ドランは怒りで震え、兵士たちに抵抗しようとしたが、すぐに腕をねじられ、無理やり引きずられていった。


彼らの足取りはよろめき、倒れそうだった。華やかだった宴会服は兵士たちの手に擦れて乱れた。宮殿の大理石の廊下を通り抜ける際、靴が滑る音が響き、彼らは罪人のように惨めな顔で宴会場を去った。


急いで宮殿から追い出された一行は、コランの街をトボトボと歩き始めた。彼らの背後には、言葉のない涙と抑えられた怒りだけが残っていた。


リセラはエレンの手を強く握り、唇を噛みながらドランについて歩いた。マリエンは手の甲で涙を拭い、黙ってその後を追った。陽は完全に沈み、油の街灯の薄暗い光だけが通りを照らしていた。誰もこの突然の現実に信じられなかった。コランを治める領主、レオブラム侯爵の命令の前では、平民である彼らにできることは何もなかった。


一方、イヒョンとセイラは宮殿の地下牢に引きずられていった。暗く湿った牢獄は、息が詰まるほどのカビ臭い匂いで満ちていた。壁面は長年染み込んだ湿気と苔が絡み合い、手を触れるのもためらうほど汚れていた。薄暗い灯火の下で、鉄格子の影がぼんやりと揺れていた。


イヒョンは壁に凭れ、目を閉じていた。そのそばで、セイラは青ざめた顔で膝を抱え、小さく縮こまった。


セイラの肩は目に見えて震え、両腕で膝を抱きしめ、その震えを抑えようと必死だった。目には涙が潤み、その視線は冷たい牢獄の床をぼんやりと見つめていた。唇は乾ききり、何度も歯を食いしばって泣き声を堪えようとしたが、息づかいすら一定ではなく、短い呼吸が牢獄内に小さく響いた。冷たい床は彼女の体温を急速に奪い、セイラは膝を抱く腕にさらに力を込め、身体を奮い立たせようと努めた。恐怖が全身を締め付けるようだった。


「ルメンティア…」


セイラの声は恐怖と寒さで震え、ひび割れていた。


「私たち…本当にこうなってしまうんですか…?」


声が詰まって言葉が途切れると、彼女はイヒョンを見上げた。沈黙の中で、牢獄の天井から落ちる水滴の音だけが鮮明に響いた。


イヒョンはゆっくりと顔を上げた。彼の眼差しには深い思索に沈むような気配が浮かんでいたが、顔には依然として揺るぎない落ち着きが宿っていた。


「まだ終わったわけじゃない。」


彼は牢獄の壁の湿気の跡を見つめながら、静かに言った。


「これは単なるアトピー性皮膚炎ではなかったかもしれない。晩餐の日の朝までは症状が全くなかったのに…。こんな急な再発には、きっと何か別の原因がある。あまりに特定のタイミングで、あまりに突然に起きた…。」


彼は言葉を止め、目を細めた。


「晩餐の日の朝には確かに何の症状もなかったのに…。私が何かを見落としたんだ…。」


どれほどの時間が経っただろうか。鉄格子の向こうから慎重な足音が響いた。


現れたのは、ドラン邸に派遣されていたエルナだった。


彼女は牢獄の前で立ち止まり、イヒョンとセイラを見つめた。


「イヒョン様、侯爵夫人からこっそり伝言が届きました。」


エルナの眼差しは複雑な感情で揺れていた。イヒョンの行動を間近で見てきた者として、言葉では表せない無念さが彼女の表情に滲んでいた。


「公の場で侯爵に迷惑をかけたことは…宮廷が重んじる秩序と序列を考えると、軽く見過ごせない重大な事案です。ここを無事に脱することは…簡単ではないでしょう。」


彼女の声は厳しさよりも深い悲しみで重かった。エルナは少し頭を下げ、言葉を続けた。


「しかし、私には、ライネル様のために心から尽くされた方がこのような扱いを受ける現実が、本当に胸を締め付けられる思いです。治療に臨まれる姿に真心を感じない者がどこにいるでしょうか。」


エルナは言葉を終え、短く息を吸った。


「このように、侯爵夫人からのお言葉をお伝えします。」


セイラは息を呑んで頭を下げ、イヒョンは落ち着いた声で尋ねた。


「セイラはどうなるのですか?」


エルナは頭を下げ、慎重に答えた。


「規範に従って裁かれるなら…単なる拘留で済まず、身体刑と共にコランからの追放が下される可能性が高いです。」


イヒョンはゆっくりと息を吸い、エルナを見つめた。


「裁判のような手続きはありますか?」


「裁判は行われます。無罪の判決を受けた前例が全くないわけではありませんが…今回のように侯爵様が直接命令を下された場合、期待するのは非常に難しいと思われます。」


イヒョンは頷き、静かに言った。


「侯爵様は私に2週間の時間をくださいました。まだ4日残っています。そして、私はライネル様の状態が完治したと一度も申し上げていません。治療が終わっていないからです。裁判が必要なら、約束された2週間が過ぎてから開いてください。」


エルナは一瞬驚いた目でイヒョンを見た後、ゆっくりと頷いた。


「伝えます。侯爵様の怒りが大きいとしても、ご自身でなされた約束を破られる方ではありません。」


イヒョンは静かに一言付け加えた。


「もう一つお願いがあります。」


エルナはきっぱり答えた。


「ここで私がお願いを聞けるという約束はできません。」


「ライネル様の治療がまだ終わっていません。それに関することです。」


イヒョンは一瞬言葉を止め、間を置いて続けた。


「先ほどの晩餐会でライネル様が着ていた服を確認させていただければありがたいです。病の原因に関わる重要な手がかりが残っている可能性があります。」


エルナは黙ってイヒョンを見つめた。彼女の眼差しに一瞬の躊躇がよぎったが、すぐに落ち着いて答えた。


「それについても、ここで確約はできません。」


彼女は静かに顔を背け、牢獄を去った。エルナの足音は闇の中へと遠ざかっていった。


その闇の中で、イヒョンは再び頭を下げ、深い思索に沈んだ。彼の眼差しは依然として揺るぎなく鋭く、頭の中ではライネルの病とその突然の再発の原因を追う糸口が絡まり合い始めていた。



読んでくれてありがとうございます。


読者の皆さまの温かい称賛や鋭いご批評は、今後さらに面白い小説を書くための大きな力となります。


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