表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/152

103. 誘引

「もしイヒョン卿の計画がしくじれば、この地獄絵図はプルベラ一つじゃ済まねぇだろうな」


ベルティモの声には、濃い憂慮が滲んでいた。


「そうであろうな」


伯爵の肯定に、イヒョンが一歩前へ出た。


「だからこそ、ここの下水道の地理を最も熟知している私が、直接行かねばなりません」


伯爵の眉間に深い皺が刻まれた。認めたくはないが、ベルティモの言葉に間違いはなかった。ここでフェルトゥスの進撃を断てなければ、プルベラはもちろんのこと、自らの首に刃が届くのも時間の問題だった。いや、奴らがどれほど増殖するのか見当もつかないこの状況自体が、災厄そのものだった。


「……どうか、武運を祈る」


許可が下りるや否や、イヒョンとベルティモは遅滞なく動いた。ベルティモはイヒョンが教えた配合法に従い、迅速に火炎瓶を製造していった。きついアルコールの臭いが鼻を突いた。


「おい、これ、本当に実験しなくていいのか?」


ベルティモが瓶の口を布で塞ぎながら、わざとらしい悪戯な笑みを浮かべて見せた。緊張をほぐそうという配慮だった。


「性能は私が保証します。疑っている時間もないでしょうから」


イヒョンは完成した火炎瓶を鞄にかき集め、ベルティモの胸に押し付けた。ずっしりと重い鞄を受け取ったベルティモの目が丸くなった。イヒョンは彼に短い目配せを送った後、再び伯爵とラマンの方へ顔を向けた。


「ラマン卿、お願いがあります。馬を一頭だけ貸してください」


「その体で、一人で死地に飛び込むつもりですか? 絶対に駄目です。私が同行します」


ラマンは拒絶など聞く耳持たぬといった太い声で答えると、伯爵に向けて重みのある視線を送った。伯爵が重々しく頷いた。


「馬を用意させろ! 直ちにだ!」


ラマンの号令に、副官が慌てて兵舎を飛び出した。準備は瞬く間に終わった。イヒョンは伯爵に向かって丁重に腰を折った。これが最後になるかもしれない挨拶だった。


「閣下。個人的な頼みを一つだけ、よろしいでしょうか」


「何だ? 言ってみろ」


イヒョンの声の端に、抑えきれない湿り気が帯びた。


「広場の西側、城門へと続く大通りの宿に私の仲間がいます。リセラ、セイラ、エレン……。この騒乱の中で無事かどうかは分かりませんが、もし私に何かあれば、その三人をお願いします」


遺言とも取れる願い。


伯爵は席から勢いよく立ち上がり、決意に満ちた眼差しでイヒョンを見据えた。


「イヒョン卿。我が家門の名誉にかけて誓おう。ここにいる全員が証人だ。もし君が戻れなかったとしても、その三人は私がどんな手を使ってでも責任を持とう」


ラマンがイヒョンの肩を強く掴んだ。分厚い手のひらの力から、熱い戦友愛が伝わってきた。


「そんなことはありえません。我々は共に生きて帰るのですから。行きましょう、イヒョン卿」


「……ありがとうございます。閣下、そしてラマン卿。では、行って参ります」


イヒョンは薄い笑みを残し、ラマンと共に兵舎を後にした。揺らめく松明が二人の男の影を長く伸ばした。幕舎の外には兵士たちが用意した二頭の馬が、荒い鼻息を吐きながら待機していた。


やがて闇が降りた別荘の内城、最後の阻止線が開かれた。


ギギギッ――バン!


鈍重なかんぬきが外されるや否や、飢えたフェルトゥスの群れが城門の隙間へと殺到した。

「防げ! 奴らの心臓を狙え!」


待機していた重歩兵たちの長槍が、一斉に奴らの心臓を貫いた。先頭に立った怪物どもが串刺しにされ、たじろいだまさにその刹那だった。


「今です!」


重歩兵たちの盾壁の上に、二つの影が躍り出た。ソ・イヒョンとラマンが乗った馬が味方の頭上を飛び越え、敵の真っ只中へと短剣のように突き刺さった。


「キエエエエッ!」


耳をつんざくような怪声。フェルトゥスたちが獲物を発見し、狂ったように暴れ始めた。


「私が活路を開きます! 私だけを信じて走ってください!」


ラマンの剣が閃光のように煌めいた。冷たい剣気が触れる先から、奴らの四肢が虚空に撒き散らされた。ソ・イヒョンとラマンは土煙を巻き上げながら大通りを疾走した。ソ・イヒョンの外套の裾が激しい向かい風にはためき、ラマンの赤いマントはまるで燃え上がる炎のように舞った。


都市は瞬く間に修羅場と化した。ソ・イヒョンを発見したフェルトゥスたちは、血の匂いを嗅ぎつけた鮫の群れのように興奮し、襲い掛かってきた。静寂に包まれていた路地という路地で、奴らの奇怪な悲鳴と家財道具が砕ける破裂音が響き渡った。


奴らはもはや城壁を登ろうとはしなかった。ただソ・イヒョンとラマン、二人の背中を追い、黒い波のように押し寄せ始めた。


城壁の上、最も高い尖塔に立ったアズレムが目を細めた。激しい夜風が彼の長いマントを無慈悲に叩いたが、彼は微動だにしなかった。彼の視線は眼下で繰り広げられる奇妙な流れに固定されていた。


「ようやくネズミが巣穴から這い出てきたか」


アズレムは口角を歪めて吊り上げた。


「だが、ベルダク様が憂慮なさるレベルではないな。たかが、あんな粗末な囮とは。この都市にフェルトゥス軍団を防ぎ切れる兵力など存在しないはずだが」


彼の瞳が捕食者のそれのように冷たく光った。


「最期の悪あがきか? まあ、見世物としては悪くない」


彼は顎で背後の闇を指した。


「カルヌス。狩りを始めろ」


命令が下るや否や、濃い影の一つがスルスルと固まったかと思うと、蜃気楼のように姿を消した。


一方、ソ・イヒョンとラマンは迷路のような路地を抜け、中央広場へと躍り出た。


がらんとした広場は静まり返っていたが、背後からは数千匹の獣がひっかくような身の毛もよだつ音が、津波のように押し寄せていた。ソ・イヒョンは荒々しく手綱を引き寄せ、ラマンに向かって叫んだ。


「ラマン卿! 奴らを一匹残らず引き連れて行かねばなりません! 絶対に止まらないでください!」


「ご心配なく! 奴らの視線を引き付けることには自信がありますので! こちらです!」


二人の馬が闇を切り裂き、その跡を黒い波のような怪物たちが覆い尽くした。


同刻、伯爵の別荘。


息を殺して状況を見守っていたベルティモの目がぎらりと光った。フェルトゥスたちがソ・イヒョンを追って怒涛のように抜け出していくのが確認された。


「……食いついたな」


ベルティモは遅滞なく身を翻し、別荘の裏手、茂みに隠された下水道の入り口へと向かった。古びた鉄格子を外すと、地下深くから昇ってくる湿った冷気が顔を打った。


「うげっ、すげぇ臭いだ」


部下たちが鼻を覆いながら顔をしかめた。だが、ベルティモが嗅ぎ取ったのは単なる下水の悪臭ではなかった。腐った水の生臭さの中に、鼻を突く煙たく刺激的な臭いが混ざっていた。オイルガスだった。


ベルティモが急いで手を振り、部下たちを制止した。


「今すぐ松明を消せ。ここで火の粉が一つでも飛べば、俺たちは全員丸焼きだ」


「えっ? ですが隊長、火を消せば漆黒の闇ですが、どうやって進むんですか?」


「つべこべ言わずに消せ。壁に手をついてついてくりゃいいだろ。爆死したくなけりゃ、言う通りにしな」


ベルティモの剣呑な怒号に、部下たちはぶつぶつと言いながら松明を床に擦りつけて消した。漆黒の闇が訪れた。ベルティモは慣れた様子で先頭に立ち、湿った通路へと這い入っていった。


『イヒョン、手前の頭の中にあるのが、どうかとんでもねぇ妙手であることを祈るぜ。俺たち全員の命がかかってんだからな』


彼は心の中でそう呟き、より深い闇の中へと身を投じた。


下水道は思ったよりも長く、複雑だった。膝が擦りむけ、息が顎まで上がる頃、狭い通路が終わり、かなり広々とした空間が現れた。かつて密輸業者たちが船着き場へと物を横流しする際に使っていた秘密ルートだった。


「到着だ。ここだ」


ベルティモが荒い息を吐きながら身を起こした。後からついてきた部下たちも泥だらけになって喘ぎながら這い出てきた。


「はぁ、はぁ……。本当に着いたんですね、隊長」


「ところで、こんな抜け穴、一体いつからご存じだったんですか?」


部下の問いに、ベルティモが鼻で笑って埃を払った。


「俺がいつも善人として生きてきたわけじゃねぇからな。昔、ニルバスの奴らに追われてた時、この道がなけりゃ俺はとっくに刑場の露と消えてたさ」


「卑怯な。俺たちに耳打ちくらいしてくれてもよかったのに」


「うるせぇ、この間抜け共が。手前らの口がどれだけ軽いと思ってやがる。酒が一杯でも入りゃ、町中で言いふらして回るような奴らに教えてたまるかよ」


「確かに……それは否定できませんね」


部下たちが気まずそうに後頭部をかいた。ベルティモはケラケラと笑っていたが、すぐに表情を引き締め、低い声で命じた。


「無駄口叩いてる暇はねぇ。急いで油を運べ。奴らが気づく前に終わらせなきゃなんねぇ」


________________________________________


雲間から射す血の気の引いた月明かりの下、ソ・イヒョンとラマンは崖っぷちを走る心持ちで路地を駆け巡った。尾に尾を接して増え続ける敵の数は、すでに手に負えるレベルを越えて久しかった。


だが、二人は機械のように決められた経路を回り、奴らを刺激していた。


一方、彼らの背後を影のように踏んでいるカルヌスとは違い、遠く城壁の上で戦場を眺めていたアズレムの眉間が狭まった。単なる逃走にしては動きが奇妙だった。奴らはまるで牧羊犬のように、都市全域に散らばったフェルトゥスたちを一点に集めていた。


「……ふむ」


アズレムが低い唸り声と共に頬杖をついた。


『カルヌスは気づいていないのか。あのネズミ共の動き、作為的だ。だが理解できん。奴らを一箇所に集めたところで、一網打尽にできる兵力などこの都市にはない。一体どういうつもりで自ら退路を断っているのだ?』


ソ・イヒョンとラマンが円を描きながらフェルトゥスたちを一箇所に集めると、アズレムの疑惑は深まるばかりだった。襲いかかるフェルトゥスたちを払いのけてはいるが、それは抵抗というより誘引に近かった。


『まさかフェルトゥスの弱点でも把握したのか? いや、偶然知ったところで無駄だ。これほどの物量なら、弱点だろうが何だろうが踏み潰してしまえばいいだけのこと。それでも……目障りだな』


アズレムの目が不快そうに光った。


ソ・イヒョンとラマンは西門を過ぎ、広場を横切り、船着き場へと続く大通りを疾走した。タタッ、タタッ! 石畳を叩く蹄の音が空っぽの都市にけたたましく鳴り響き、その背後を引き裂くような怪声と金属の摩擦音が追った。


極限の追撃戦だった。都市を何周回ったか見当もつかない。馬たちの口元には白い泡が立ち、張り詰めた筋肉は限界に達して痙攣していた。手綱を握るソ・イヒョンの指の節々が白く変色し、感覚さえなくなっていた。


その瞬間だった。


漆黒の闇の中、船着き場付近で松明が一つ、規則的に円を描いて揺れた。漆黒の海の上に浮かぶ灯台の明かりのように鮮明な信号だった。


ソ・イヒョンが荒い息を吐きながら顔を向けた。


「ラマン卿! 合図です。ベルティモが準備を終えました!」


息が上がり、声が掠れて出た。


「ここからは私一人で行かねばなりません。ラマン卿はここで離脱してください!」


ラマンの表情が硬直した。一瞬の油断が死に直結する状況。あの巨大な怪物の群れをイヒョン一人に背負わせ、立ち去ることが果たして正しいことなのか? 脳裏を数万の懸念がよぎったが、今は感傷に浸っている時間はなかった。


「イヒョン卿……」


ラマンは唇を噛み締め、血を滲ませた。


「約束してください。絶対に、死なないと」


ラマンの悲痛な叫びに、イヒョンは短く笑ってみせた。決して崩れはしないという意志が込められた眼差しだった。


「私は死にに行くのではありません。勝ちに行くのです」


二人の視線が虚空で絡み合い、そして解けた。


「行くぞ!」


イヒョンが馬の腹を強く蹴り、船着き場の方へと向きを変えた。彼の予想通り、狂気に囚われたフェルトゥスの群れは、獲物であるイヒョンの背中を追い、黒い波のように押し寄せた。


ラマンはその背中を目に焼き付けるように見つめていたが、やがて反対方向へと手綱を切った。心臓が胸を突き破らんばかりに脈打っていたが、彼は振り返ることなく別荘を目指して駆けた。


しばらくして到着した別荘は、台風の目のように静まり返っていた。


先ほどまで壁を引っ掻いていた奴らの身の毛もよだつ鳴き声は、嘘のように消え失せていた。ただ内城の望楼の松明だけが風に揺らめいているのみだった。イヒョンの誘引策が完璧に的中したのだ。


ラマンが内城に入ると、警戒勤務に当たっていた兵士が驚いた目で彼を出迎えた。


「ラマン卿! ご無事でしたか!」


「伯爵様は? 伯爵様はどこにおられる!」


「ご無事です。ラマン卿とイヒョン卿が奴らを誘引して出て行かれてから、蟻一匹寄り付いておりません」


ラマンは荒い息を整えながら会議室へと向かった。


静寂が漂う作戦会議室。窓の隙間から差し込む月明かりが床に蒼白な模様を描き、壁に掛けられた蝋燭の火だけがパチパチと燃えていた。伯爵は窓辺に立ち、イヒョンが姿を消した暗い都市の方をただじっと見つめていた。


ラマンが扉を開けて入ると、会議室を満たしていた重苦しい沈黙が破られた。一座の視線が一斉に彼に注がれた。ラマンは伯爵の前に片膝をつき、切迫した様子で口を開いた。


「閣下、作戦は成功です。イヒョン卿の言葉通りでした。都市に広がっていたフェルトゥスの群れが、狂ったようにイヒョン卿の後を追っています」


報告を上げるラマンの声には、どこか力がなかった。作戦は成功したが、イヒョンを独り死地へ追いやったという罪悪感が、胸の片隅を押し潰していたからだ。彼は無事でいられるだろうか? いや、あの凄まじい数を相手に生き残るなど、奇跡に近いことだった。


伯爵は重々しく顎を引いた。


「それは何よりだ……。だが、イヒョン卿を奴らのあぎとに餌として投げ与えた形になってはならん」


伯爵の視線が窓の外へと向いた。黒い霧と闇に飲み込まれた都市。その彼方、風に乗って運ばれてくる微かな蹄の音と怪獣たちの咆哮が、彼の耳朶を打った。それは悲鳴であり、生存のための凄絶な死闘の音だった。


伯爵の眼光が鋭く変わった。


「ラマン! 直ちに残存兵力を把握し、全員集結させろ。奴らがイヒョン卿に気を取られている今が、隊列を整える唯一の好機だ! 万一の事態に備えねばならん」


「御意!」


ラマンは席を立ち上がりながら、心の中に留めておいた言葉を切り出した。


「閣下。それから、もう一つお願いがございます。現在、都市は一時的に空になっております。イヒョン卿が案じておられた仲間たちを、今連れてくるというのはいかがでしょうか」


「うむ、君の言う通りだ。今でなければ、二度と好機は訪れぬかもしれん。別の隊を送り、神殿に孤立しているシエラと神官たちを救出させよう。君は直接赴き、イヒョン卿の一行を連れ帰るのだ」


「御意!」


ラマンは遅滞なく、イヒョンの宿がある宿屋へと馬を駆った。闇が濃く立ち込める路地を抜ける間、蹄の音は極力殺されていた。


宿屋の裏手、薄暗い厩舎に馬を繋いだラマンは、慎重に裏口の扉を開けた。


ギィィッ――


錆びついた蝶番ちょうつがいが悲鳴を上げた。古びた木の床が軋む音が、静寂に沈んだ宿屋の内部に響いた。その音が、まるで雷鳴のようにラマンの鼓膜を叩いた。


月明かり一筋さえ許されない一階のロビーは、墓場のように静まり返っていた。時間が止まったかのような静寂。ラマンは剣のつかを握る手に力を込め、慎重に足を踏み出した。背筋を伝い、ぞっとするような寒気が流れ落ちた。


『奴らは今、イヒョン卿を追うのに夢中だろうが……もし待ち伏せしていたとしたら……』


ラマンは不吉な想像を懸命に振り払い、二階へと続く階段を上った。古い木の階段が彼の重みに耐えきれず、低く軋み声を上げた。一段、また一段と上がるたびに、緊張感が首を締め付けてきた。


廊下は漆黒の闇に沈んでいた。扉の輪郭だけが微かに見えるのみだった。ラマンは息を殺したまま、一つ目の部屋の扉を開けた。


空っぽだった。


埃の匂いと冷たい冷気だけが彼を出迎えた。二つ目の部屋、三つ目の部屋も同様だった。人の気配など微塵も感じられなかった。ドアノブを掴むラマンの手のひらが、冷や汗でじっとりと濡れていった。


『もう手遅れなのか? イヒョン卿の話通りなら、間違いなくここに……』


焦燥感が頂点に達する頃、廊下の突き当たりにある最後の扉が目に入った。


ラマンは恐る恐るノブを回してみた。


ガチャリ。


鍵がかかっていた。彼は肩で扉を押してみたが、扉はまるで壁と一体になったかのようにびくともしなかった。単に鍵がかかっているだけではない。内側から何か重いもので入り口を塞いでいる感触。扉と枠ががっちりと噛み合い、隙間さえなかった。


『何かが……扉の裏を塞いでいる』


ラマンの瞳が揺れた。ここだ。


彼はさやで扉を軽く叩いた。


コツ、コツ。


小さな音だったが、静まり返った廊下ではまるで波紋のように広がっていった。


しばらく息詰まるような沈黙が流れた。ラマンは扉に耳をぴったりと押し当てた。


その時だった。扉の向こうから、ごく微かな音が聞こえてきた。衣擦れの音、あるいは何かを床に引きずるような音。


『中に……誰かいる』


ラマンの心臓が早鐘を打ち始めた。



読んでくれてありがとうございます。


読者の皆さまの温かい称賛や鋭いご批評は、今後さらに面白い小説を書くための大きな力となります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ