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私の愛し人  作者: 鏡花水月
第一部 失楽園
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異世界の少女

 ズキン、ズキン、と沢山泣いたあとのように頭が痛む。ずーんと気だるげで目を開けるのも億劫だ。


 ……あれ?生きて、る?


 ふわふわとした思考がどこかにストンと落ちた。ゆっくりと浮上してく意識に、自殺が失敗したことを悟った。


 ……最悪。まだ香織(かおり)お姉ちゃんに会えないの?


 あんなに頑張って自殺したのに、これから生きていかないといけないらしい。いやまぁ、あのゴミ共を地獄に叩き落とすことに躊躇いはないけれど。微塵もないけど。


『ねぇ』


 誰かに声をかけられた。でも私はまだ少し休みたい。眉を寄せて無視をする。


『ねぇってば』


 ……えーと、まずストーカー野郎は絶対許さないとして、他は誰よ?裁判官達だけど裁判員制度で選ばれた人達も多分いるよね?え、見つけるの大変そう。探偵雇うしかないのかな?


『ねぇ!』


 あとは警察?あ、マスコミ関係者も今回の事件をあまり広めないように助力してそうだよね。うわー、これ何年かかるんだろ?ハニートラップとかって私でも通用するのかな?うーん、悩ましい。


『ねえってば!』

「あーっ!もうっ!うるさい!黙って!」


 バチッと目を見開き、腹筋を使ってグイっと起き上がって目の前の存在に吠えた。


「人様が復讐計画を立ててるのに邪魔しないでくれる!?こちとら真剣なんですわ!ギャーギャーギャーギャーうるさ……、え、あれ?」


 目の前に私がいる。サラサラの黒髪ストレートヘアに金色のタレ目がちな瞳。顔の形は綺麗な卵型で、ほっそりとしたしなやかな身体は、幼児特有の丸みを帯びている。


 ……え?え?目前に六、七歳ごろの私がいるんですが?え?うえ?ゆ、夢?


『声かけてるのに起きないのはそっちでしょ?わたしが何回話しかけたと思ってるの?』


 聞き慣れたはずなのに、いつもよりもずっと幼い声が耳に入ってくる。はぁ、と呆れたようにこっちを見る少女はふわふわと宙に浮いていた。

 

 あ、声も私だ。ていうかなんで宙に浮いてるんだ。なんで私と同じ顔なんだ。ちょっと怖い。


「……え、っと、……どちら様でございましょうか……?」

『ん?あぁ、私の名前はリーゼロッテ・グランディフローラ。よろしくね』


 左様ですか、リーゼロッテさんと申しますか。どっちも長い名前ですね。外国の方ですか?現実逃避してもいいですか?


 そっと目をそらすと自分の身体が目に入った。そして、思わず目の前の光景にピキリと固まる。


「……!?え、え、ええええぇ!?な、何、この身体!?」

『人の身体に向かって失礼な』


 記憶にある私の身体は、成長途中だが比較的しっかりとした十四歳の少女の体型だった。だが今の身体は、目の前の幼女と同じくらいの手の大きさで、腕の細さで、脚の長さだ。つまり、ちょっと細めの幼児体型である。


「え?え?え?って、ええ!?こ、声も同じ!?う、嘘!やだぁっ!」

『はあぁあぁぁ!?人の身体にいちゃもんつけないでくれる!?』


 何か重大なことを言われたような気がするが、混乱した私の頭には全く入ってこない。いつもの声が少し幼くなっただけだろうがなんだろうが、慣れないことには変わらないのだ。


「……はぁ、はぁ、はぁ、びっくりしたぁ……」

『なんでそんなに急に冷静になれるの?』


 少し騒いだところで、逆に冷静になった。さっきうるさいと人に言ったのに、私の方が絶対にうるさかった。申し訳ない。


 ハアハア荒く息をしながら、自分の身体を見つめなおしていると、あるとこに気づいた。


「……あれ、傷がない」


 自殺した時に確かにあったはずの、擦り傷も、打撲痕も、そして痛むはずのお腹の刺し傷も何もない。つるりとした白魚のような手に目を瞬かせる。


 ……そういえば、さっき、わたしの身体って言われたような気がするんだけど……。


 ゆっくりと少女の方を向くと、不思議そうに首を傾げられた。嫌な音をたてる心臓にビクビクしながら、質問をする。


「え、わ、私が、貴女(あなた)の身体を乗っ取った、てこと?だからそこに浮いてるの?」

『んーん。わたしがも死んでから貴女の魂が入ったから、乗っ取りではないと思うよ?どっちかっていうと憑依?そんな感じかな?』


 いや、それを世間は乗っ取ったって言うんですよ、とは言えなかった。頭が痛すぎて。……ん?待ってなんかすっごく頭が痛むんですけど!?


「ひぎゃぅ!?いっ……、っうぅ、かはっ……!」

『あ、記憶戻ってきた?』


 え?これ記憶が戻る時の痛みなんですか?え?先に言ってくれません?心の準備が必要なんですよ!わかります!?


 が、言えなかった。頭がズンドコズンドコ太鼓を叩くように一定のリズムで痛む。おい、なんで頭痛に拍子があるんだ、ふざけてんのか。いやそれよりいったああああっ!


「っ……、いゔ!?がっ……、ゔゔぅぁ……っ、んぇ?」


 痛みに耐えあぐねているとパッと映像が流れてきた。同時に心情などもズドーンと入ってきて、頭の中がぐっちゃぐちゃだ。


 ……何いいいいいぃぃぃっ!?ねえ待って!ほんとに待って!痛みと記憶と心情のトリプルパンチいらない!マジでいらないからああああぁぁぁぁあ!


『頑張れ!負けるな!打ち勝つのよ!』


 負けるわごらぁっ!ふざけんな!と言えるなら言いたい。でも言えん!ヤバい!ヤバいしかもう言えん!


「ゔっ、いたっ、うゔ……っ、ぅあ゛!?」


 現状確認をしよう。今私の頭の中は大渋滞でこの少女の何年分かの記憶がバーンと入っている。しかも痛い。マジで痛い。ほんと痛い。

 襲いかかってくる記憶に四苦八苦していると、どうやら昔拐われたことがあるということを知った。ちょっと序盤から重いのやめて。


 あー。あー?あ、なるほど。攫われてこき使われた挙句雪が降る中路地に捨てられるか。私となんか境遇似てますね。んで、香織姉(かおりねえ)に拾ってもらうと。ふんふんふーん……。


「……!?か、香織、っ姉!?」


 いや待て一体どういうことだ。

 香織姉は、サラッサラの艶がありあまりまくる黒髪ストレートヘアで、タレがちな金色の瞳は琥珀もさることながらの生命の輝きを感じる美しさで、引き締まりながらも出るところはちゃんと出てるグラマスボディーで、……あ、おんなじ!寸分違わず変わらない!びっくりするほど瓜二つ!何で!?好き!


 この世界でもお姉ちゃんは天使だった。いやもはや女神だった。

 熱が出た時は必死に看病をしてくれ医師免許までもを取得し、お洋服や生活用品などを買い与え、愛情を注ぎ、勉強は手取り足取り教えてくれ、礼儀作法や社交の仕方、さらに魔法の使い方にいたるまで……、いやまてこの世に魔法が使える人いるの?ここもしかして地球とは違う世界!?えっ!?


「うぎっぃ……、あ、ゔぅ、……ゴホッ!」


 咳き込んでいる間にも記憶はどんどん流れ込んでくる。

 止まってええええ!せめて少しだけでも考えさせてえええええ!と思っていると今度は獅王(れお)にそっくりなレオンハルトととか言う少年が現れた。


 お?お?おー、なんか胸がドキドキしてますねー。なんででしょうねー。……いや、これ絶対意識してるでしょ、一体いつから青春してるの!?早すぎない!?


 お姉ちゃんへのほと走る愛情ゆえの暴走を止めてくれたうえに解決方法も必死に考えてくれ、真剣に勉学や剣術、魔法の修行に打ち込む姿にトキメキを覚えたのだろう。記憶の中で少女は料理、家事、洗濯、裁縫、経営、様々な分野に手を伸ばし必死に釣り合おうとしていた。


 いやお相手の方の身分が低いそうなので、もし付き合うまだに漕ぎ着けたとしても親に結婚を反対されるかも、と言う杞憂があったそうだ。そんでもって相手の生活レベルに合わせるために普通の令嬢には必要ないであろう家事スキルも磨いていたらしい。


 え、ここ身分社会なんですね。で今の私、王家の次、つまり爵位の中で一番高い公爵家の娘なんですね。お相手は下から二番目の子爵ですか。あー、そりゃ結婚認められそうにないね、頑張れー。


 ……本当に止まって!記憶中断させて!もっとじっくり見たいから!人間の脳は一人につき一つだから!二個も三個もないから!処理能力追いつかないから!


 そうこうしているうちにラブストーリーは佳境に入る。大輪の花が咲き誇る花畑で(よわい)五歳の恋愛上級者、レオンハルトくんがプロポーズをしてきた。強い。強すぎる。世の中の愛をはっきり伝えられない寡黙な紳士諸君にその経験値を分けてやって欲しい。


 もちろん了承する、少女ことリーゼロッテ。あ、そうだわ、この子の名前リーゼロッテだ。忘れてた。


 そこからは比較的ダイジェストだった。いや、あとからどんどんくるが流し見だ。また今度、見ようと思う。


 お姉ちゃんとイチャイチャ、レオンハルトとイチャイチャ、勉強にも精を出し魔法も頑張る。家事全般も得意になり、ウエディングケーキまでも作っていた。もうプロじゃん。


 しかし物語はいきなり不穏になる。香織お姉ちゃんこと、カオリ・マグノリアさんにストーカーができた。なんか知ってる流れである。


 ……へぇ、カオリさんと一緒に歩いてる時にストーカーが現れて刺されそうになったのか。で、庇われたのね。なるほど。……へーぇ。


 相手の身分が高かったので、裁判も碌にしてもらえずお葬式当日になったらしい。リーゼロッテは誠心誠意謝りに行った先で苛烈な暴力に晒された。


 ……六歳の子にすることじゃないけど、カオリさんはリーゼロッテのせいで死んだんだし、妥当、なのかな?


 自分が全て悪いと思い込み、自殺するところまで一緒だ。だがそのあとが少し違う。


 この世界はさっきチラッと見た時に知ったがどうやら魔法が使えるらしく、治癒魔法でなんとか一命を取り留めたらしい。そこはほっといてあげなよ、もう生きていく気力がないんだから、と思った。


 だがそのあとも散々だった。葬式会場から追い出され、街をフラフラ歩いていると、街の人たちから罵声と石が投げられる。カオリさんはみんなに慕われていたそうで、死ぬことになった原因であるリーゼロッテを恨んでいたそうだ。んー、どっちもどっちかな?


 結局家に帰った時には、ボロボロだった。泣き崩れ、全てに絶望し、このままじゃ魂が壊れるとかなんとか言うリリーベルを振り払って倒れたそうだ。そして現在に至る。いやリリーベルってどなた?


「っ……!はぁ、はぁ、はぁ……」

『ああ、終わったの?』


 溢れてくる記憶を無理やり記憶の宮殿に突っ込んだ。ぎゅーぎゅーに詰めて押し込めて、プレスして、ようやく蓋をする。終わった頃にはクタクタで汗だらけだった。

 

 びっしょりと汗で濡れた頬についた髪が煩わしかったので、服の袖で拭ってからリーゼロッテを見つめた。


「……はぁ、はぁ、……ず、いぶんと、過酷な人生だったですね……」

『そお?貴女とあまり変わらないと思うけど?』


 変わっているに決まってる。そもそもの話、世界が違う。なんで香織お姉ちゃんや獅王に似ている人がいるのかは置いておいて、私はじっとリーゼロッテを見つめた。


 自分と多少の差異はあれど、歩んできた道のりは大体一緒だった。そして記憶の中でリーゼロッテは、カオリさんを一番に愛し、死に際にはこの世の全てを憎んでいた。


「……私に対して、どう思っているんですか?」

『これからどうするのかな?って思ってるよ』


 答えになっていないが、こっちを見つめる目が異様に怖い。真面目に答えなければ、こちらが痛い目に会うに違いない。


「……どうするかって言われても、私に気力なんてもうないですよ。できるだけ早く死にたいです。……今すぐにでも」


 こちらの世界にまだカオリさんがいたなら耐えられたかもしれないが、そもそもの話、いないからこんな状態になっているのだ。希望的観測はあるだけ無駄だ。

 取り繕わず自分の希望をのべると、笑みを深めて言葉を口にされる。


『ふーん。復讐はしないの?今までわたしが体験したものは、貴女自身の経験になっているけど?』


 確かに先ほどは字幕付きのテレビを見ていた気分だったが、今では私がこういうことをした、言った、というふうに定着している。つまり、私は大切な人を失う経験を二度もしているのだ。正直言って辛い。


「もう死にたいんですよ。リーゼロッテさんだってわかるでしょう?私とおんなじように自殺したんだから」

『でも貴女が死に際に望んでいた復讐をできるのよ?しないの?』


 うっ、と言葉に詰まる。確かに死に際、もしこのまま生きてるなら復讐してやる!と豪語していた。

 だが私は、今六歳のちんちくりんである。ハニートラップなんてできるわけがない。あと普通に死にたい。


「無理ですよ……、だって、私、今何にも持ってない……」

『持ってるでしょ?』


 バッとリーゼロッテの方を向いた。何を言っているのか分からなくて目を瞬かせていると、にっこり微笑みながら言葉を紡がれた。


『知力、体力、精神力、貴女の前の世界での知識、あぁそれに、そっちの世界ではなかった魔法とかなり高い社会的地位もあるわ。全部復讐に役立つと思うんだけど、違う?』


 言われた言葉を思わず反芻(はんすう)した。一つ一つその重さを噛み締める。そして頭をフル回転させる。


 ……長い時間をかければできないことでもない。


 そう、今の私だとクソ野郎共に完璧な復讐をすることができる。どれだけ時間がかかっても多分、十数年で終わるぐらいの。


 ……このままあいつらが幸せを享受すると知っておきながら、私はこの人生を手放すの?


 憎くて憎くてたまらない人は、まだまだいる。その人達にもきちんと制裁を与えたい。


『わたしはカオリお姉ちゃんが世界で一番好きよ』


 声の方向に目を向ける。目は金色で、輝いているはずなのにどんよりと澱んでおり、憎悪やら嘆きやら悲しみやらが複雑に溶け込んでいた。それに、一種の共感が持てた。


『どれだけ薄情だと言われようと、わたしはカオリ姉とレオンハルトなら前者をとる。誰よりも、何よりも、世界で一番愛している人を理不尽に取られる気持ちが、貴女にはわかると思う』


 ……ああ、それなら、よく、わかるよ。


 自分の不甲斐なさとともに、全ての人に憎しみが湧くのだ。やるせなくて、許せなくて、どうしようもなくなって、結果、生きる意味を見いだせなくなる。


『あの人がいない世界に興味なんてない。けどね、死んでから思ったんだけど、これって理不尽じゃない?』

「……うん、理不尽だね」

『そうでしょ?』


 ぱぁっと笑う顔は可愛らしいのに、そこ知れぬ不気味さを感じる。そして、爆弾を投下してきた。


『わたしはね、今悪霊っていうかなんていうか、とにかく呪いを周りに振りまく存在になっているんだけどね』


 ……ちょっと待って呪いって何?貴女今幽霊超えて悪霊なの?


『でも女神様に世界が滅ぶからやめてって言われて……。こんなに悔しいことってなくって……。でも、わたし、復讐はちゃんとしたいの。役に立ちたいし』

「……貴女の呪いで世界が滅ぶなら、別に私が主導する必要はないんじゃない?」


 思わず呟くとフルフルと首を振られた。


『……お姉ちゃんがいない世界に用はないけど、でもまだレオが生きてるもの。きっと全く関係ない人達にとったら悪く見られるのはお姉ちゃんよ。わたし、そんなの嫌』


 確かに世界を呪うトリガーはカオリお姉ちゃんなので、事情を知らない人達からしたら、ふざけんな!と言ってもいいだろう。仕方がないが、ちょっと残念である。


「せめて呪いの範囲を限定できるといいんだけど……」

『できないことはまぁ、仕方がないね。その代わり、貴女以外には見えないから諜報員としてなら働けるけど』


 多分寝る必要もないし、と言う声に頷いた。使えるものはなんでも使おう。なに、やましいことなんて何一つない。協力してくれるなら、例え六歳の悪霊幼児であろうと使う。それが、私だ。


『それに、復讐が終わったら未練も無くなって成仏するだろうし……。貴女も、全部終わったら死後の世界でお姉ちゃんに会えるよ?』


 ……何て!?


 目を見開いているとリーゼロッテがうーんと唸りながら目を閉じる。数秒の推敲(すいこう)ののち、こう答える。


『死後の世界っていうか、転生待ちの地区って言ってた気がするんだけど……。善人用と悪人用で住んでる場所が違うらしいし、天国と地獄みたいなものかも』


 転生するまでに時間は結構かかるらしいから天国に行けるように努力すれば会えるよ、と言われた。お姉ちゃんに会うためには、天国にいける善行を積まなければならない。


 この国の膿を全部駆逐して、身分社会をぶち壊し、カオリお姉ちゃんの家族と婚約者に償っていけば、会えるかもしれない、と思った。


 頭の中でシャカシャカ計算していると、不意にリーゼロッテと目があった。思わずピンと背を伸ばす。


 こちらを見ながらゆっくりと挑戦的に微笑む姿にお姉ちゃんの姿が重なった。


『わたしの名前はリーゼロッテ・グランディフローラ。カオリお姉ちゃんに全てを捧げ、幸せにすると誓った日から、この命はあの人の物よ』


 あの人がいない今わたしを誰も止められない、とリーゼロッテは言う。射抜かれるような力強い目がひどく綺麗で痛々しい。


『貴女が私に協力しないなら、わたしは一人で世界を滅ぼすけど。さあ、どうする?わたしと、お姉ちゃんに会いに行かない?』


 ひどく魅力的な誘い文句にぐらりと心が傾き、堕ちた。ゆっくりと頷き、微笑み返す。


「私の名前は君影祷(きみかげいのり)。お姉ちゃんに助けてもらったあの日から、私の一番はあの人だけ。お姉ちゃんに会うために、クソ野郎共を駆逐しましょう」


 お姉ちゃんのためだなんて綺麗事は言わない。そもそも頼まれてもいない。私達は、自分がお姉ちゃんに会うためだけに、復讐をするのだ。


 確かな高揚感とともに湧いてくる様々な感情を押し込めながら微笑み合う。復讐劇を始めるためには、様々な下準備が必要だ。


 こうして香織お姉ちゃんに会うための私の復讐劇が幕を開けたのだった。

何故か自分に似ている境遇の異世界の少女、リーゼロッテの身体に憑依してしまった祷。生きる理由がないなら、死んだあとの希望を糧に復讐しようと決意します。


次回は、リーゼロッテの現状です。

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