第七十二話
「セフィナ、すまない…少し席を外してくれないか。」
「わっ、わかりました、お父様…」
セフィナは部屋から出ていき、部屋には京とカルザックが残った。
「…闇の主は今…この地から離れた、北の巨大な洞窟の奥に封印されている。今はまだ結界が残り四つ残っているから洞窟から出てこないが…今すぐに向かっていく事はおすすめしない。あの洞窟には闇の勢力が大勢潜んでいる。一人でもこの国の軍隊を壊滅させられるほどの力を持っている、ね…」
「オレも闇の勢力のメンバーにあったことがある…アストレア王国は、ソイツ一人だけで壊滅させられた…」
重い空気が流れる。今のままでは、闇の主に挑んでも命を落とすだけなのだと、京は理解した。
「…オレがもっと強くならねぇとな」
「…私から提案がある。五つの国には封印の他に、五傑集達が使っていた『宝具』が存在する。その宝具を集め、イアスの斧の力を高めるのだ…」
カルザックが言うには、イナの斧は今の状態では本領を発揮できない。もっと力をつければ、闇の主に対抗できる程になるという。
「じゃあよ、セントノリアにも宝具はあるんだな?それは今どこに…」
「たっ、大変です!!」
使用人が慌てて部屋に入ってくる。カルザックも立ち上がる。
「何事だ!」
「ゴブリンの王が…この国に攻め込んで来ました!」
「なんだと…!!すぐにセフィナと使用人たちを避難させろ!ここも危ないかもしれない…!」
突然、外から大きな音が聞こえてきた。京が急いで外に出ると、ゴブリンの軍勢が街で暴れている。
「オイオイ、マジかよ…ッ!!」
ゴブリン達は京を目視すると、唸り声をあげて襲いかかってきた。
「フンッ!」
数匹のゴブリンを蹴りで倒し周りを見ると、セフィナがいた。
「オイ!危ねぇからこっち来い!!」
セフィナは…襲われて怪我をした民間人の治療をしているようだ。怪我人の傷があっという間に治っていく。
「な…アンタ、すげぇな…」
「京さん!お怪我はありませんか?」
京はまた襲いかかってくるゴブリンを殴り倒していく。
「オレはいいんだよ!ここは危険だ…!」
突然嫌な気配を感じたかと思うと、他のゴブリンよりも大きな個体が歩いてきた。
「その力…忌まわしき、光の力…」
これまでのゴブリンは、人の言葉を喋れなかった。だがコイツは違う、言葉を話す…それに。
「この感じ…アストレア王国のと同じ…闇の力!!」
京はすぐに、コイツが『ゴブリンの王』なのだと理解した。




