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第七十話

ハッとして目が覚めると、既に日が昇っていた。

「あ、おはよう京君!」

昨日と変わらない笑顔のミヤ。あれは夢だったのだろう。

(あれから変な夢見るようになったな…すげー鮮明に覚えてるし。『もっと違う出会い方をしたかった』てなんだ…?)

「早く準備しないと、セフィナさん来ちゃうよ?」

「あ、ほんとだな…ミヤも来るか?」

「いや、私はバイトだから…それに私呼ばれてないでしょ!」

「そっか…とりあえず昨日はありがとな!行ってくる」


ミヤの家を出て、待ち合わせの場所までやってきた京。相変わらずの洒落た街並みに、京は居心地の悪さを感じてしまう。すると、一台の馬車が京の前で止まった。

「お待たせ致しました。さあ、こちらへ」

馬車からセフィナが手招きする。

「ばっば…馬車ァァ?!」

京が馬車に乗るのはアストレア王国へ行く時以来だ。あの時は騎士団だとか言っていたから馬車にも驚かなかったが…コイツの家の金持ち具合には驚かされる。

「…?なにをそんなに驚いているんですか?」

馬車を引く馬の方に向かう。お馬さんからもなんだか気品を感じる。

「…オマエなら名馬になれる。オレと一儲けしねぇか?」

お馬さんは京から目を離し、ブルル、と唸った。馬の耳に念仏というのはこういうことか。

「京さん…?何してるんですか?早く乗ってください」

「あ、わりィ…」

京はセフィナの隣に座り、馬車は進み始めた。

「昨日は本当にありがとうございました。私の父が貴方に会いたがっているんです。」

「オレ、マナーとかあんま詳しくないぜ?礼儀作法とかで怒られんのやだよ」

「大丈夫です。父はとても寛容な人ですので。そのような事で怒ったりしないでしょう。」


京の父、桂威 厳武げんぶは、ハッキリ言って狂っていた。保護者面談に母ではなく厳武が来た時は、差し入れとして家で殺してきたネズミを数匹、先生に渡していた。その後成績が良くなかったことを告げられると怒り狂い、その場で京と殴り合いを始めてしまった。流石にこれが当たり前だとは思っていないが、今日にとっての父親像は、他でもないこの厳武なのだ。


カストレア家に到着すると、そんなに必要かと聞きたくなるような広さの庭が京を出迎えた。馬車から降りると、使用人のエナが迎えてくれた。

「お待ちしておりました、セフィナお嬢様、京様。さあ、こちらへどうぞ。」

基本的にサイズ感がおかしいカストレア家の敷地を歩き、玄関まで到着した。


 

 

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