第六十七話
男たちをもう数発殴って黙らせた後、攫われていたと思われる少女に手を差し伸べ、京は話しかける。
「お嬢さん…大丈夫かい?」
(へっへへ…見るからに金持ちじゃねぇか!コイツ助けりゃお礼もされて、金も情報ももらえるかも…へへっ、へっ!)
「すみません…助かりました」
豪華なドレスを見にまとった少女。年は京と同じくらいに見える。少女の手を取り、立ち上がらせる。
「アンタ…なんで攫われそうになってたんだ?」
「…私の家は伯爵家なのです。恐らくお金目当てでしょうね。」
オレも金目当てで助けました…なんて言える訳がない。
「京くーん!大丈夫?!」
ミヤが追いついてきた。京と少女の元に駆け寄ると、少女を心配そうに見つめる。
「大丈夫?ケガとかしてない…?」
「はい、お気遣い感謝します…。申し遅れました、私はカストレア家の次女、セフィナ・エル・カストレアと申します…」
…なんて?
「あ、えっと…もっかい言って欲しい。」
「セフィナ・エル・カストレアです」
「え…もう一回…?」
「あっ…セフィナ・エル・カストレアです」
「?もっか…」
「もういいでしょ!!」
問答をミヤが制する。少女…セフィナも京も困惑している。
「あぁ、わりぃ…あんまりにも聞き慣れない名前だったからよ、許してくれよ」
なんて話していると、奥から使用人らしき女性が走ってきた。
「セフィナお嬢様…!大丈夫ですか?!」
「エナ…私は大丈夫…」
使用人は『エナ』というらしい。こっちは随分と分かりやすい名前で助かる。
「お嬢様を助けていただきありがとうございます。私はセフィナお嬢様の使用人の、『エナ・ミストレス』と申します。」
「みっ、みす…?もう一回言ってくれ。」
「エナ・ミストレスです」
「??もっかい…」
「えぇ?…エナ・ミストレスです」
「もっか…」
「だからもういいって!!」
ミヤが京の背中を軽く叩く。そしてセフィナとエナの前に出ると、二人の顔を見つめる。
「…カストレア家って、ここらでも有名なお金持ちだよね。ほら!二人ともすっごく可愛いよ!」
「いえ…そんな事ないですよ!」
セフィナは京のほうに向き直る。
「改めて、助けていただきありがとうございます。お礼をしたいので…明日、うちにいらしてくれませんか?」
京の思惑通りの展開だ。この誘いを断る理由もない。
「おぉ!そりゃもう超行くぜ」
「ありがとうございます!」
トントン拍子で話が進み、京は明日、カストレア家に行くことになった。




