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第六十四話



京とウォンは退学処分を受けた。


「いやぁ…わりぃなウォン。オメェまで巻き込んじまった…」

「フン…こんなところは辞めて正解だったな。」

ウォンは京をかばい口論をしていたが、論破されそうになりそのまま先生を殴ってしまった。言葉に詰まると武力行使に出てしまうのはウォンの良いところであり悪いところだ…良くはないか。それからは酷かった。京とウォンは先生に掴みかかり、大人数の教師と生徒二人が戦う構図となってしまった。

「はぁ…折角イナが居場所作ってくれたのに…」

「イナ…?誰だそれは。」

「あれ、ウォンは会ったことなかったか。イナはな…」

説明しようとすると、イナと過ごした日々のことを思い出す。雷魔法で殺されかけ、たまにご飯を奢ってくれ、学園内での愚痴も聞いてくれた。下手くそではあったが慰めてくれて、本当に…

「…大切な人だったよ」

ウォンも京の表情を見てなにかを察したようで、それ以上詮索はしなかった。

「…キョウ。貴様のその力は…。」

「イナがくれたもんだ。そのお陰で、前とは比べ物になんねぇくらいオレは強くなった…。」

「今のお前の体には、光と闇の二つの力が混在している。並の人間ならその力に耐えきれず死んでいてもおかしくないが…。」

京はこの二つの力をものにした。今なら、あの闇の勢力にも対抗できるかもしれない。

「ウォン。頼みがある…。オレは『闇の主』を倒す。その為にウォン、お前にも力を貸してほしい。」

ウォンは驚くような素振りも見せず、ただ一言。

「協力してやろう。」


それから京とウォンは、寮内の全ての部屋の扉をこじ開けて侵入し、金を盗み取って寮を去っていった。

「このティアー王国からも旅立つ時だな。」

「あぁ…その前にちょっといいか?」


いつもの道を歩き、イナの家の前まで来た。

「ウォン、ちょっと待っててくれ。」

ドアを三回ノックする。しかし、誰も出てくる訳がない。ドアを開けると、いつも見る景色。木の匂いにほのかに花のような匂いが混ざった心地よい匂い。整えられた本棚に、二人で座った木製の椅子。やけに静かな部屋。

「京さん、お腹空いてますか?もしよければスープでも作りますよ。」

そんな風に会話をしていたのが嘘のようだ。夢でも見ていたような、そんな感覚。

 

「…イナ、行ってくるぜ。」

 

ここで立ち止まっていると、進めなくなってしまいそうだ。京はイナに最後の別れを告げ、闇の主を討伐する戦いに出るのだった。


 

 

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