第六十二話
次の日…京は学園へ向かい、教室の扉を勢いよく開ける。京の心持ちは穏やかではなかった。煮えたぎるような怒りと、憎悪。
「コラァ美月ィ!!表出ろや!!」
いきなり大声で怒鳴り込んできた為、クラスメイトは皆驚いて固まっている。一人づつ睨みつけていっていると、美月を見つけた。
「おおーい…居るじゃねぇーか美月ぃ!連れションしようぜ?なぁ」
美月は驚いているが、いつもの余裕そうな表情は崩さなかった。
「久しぶりだねぇ京くん…怒ってるのかい?」
「怒ってねぇよ…連れションだよ、連れション」
「…着いてきなよ」
二人は校庭まで歩き向き合った。
「…オメェは校庭でションベンすんのか?美月い」
「あいにくもうトイレは済ましてるんだ…で、なんで生きてるのかな」
美月の病気が変わった。あの時と同じ…イナと戦っていた時と同じ表情。スイッチが入ったのだろう。
「なんで生きてる…か、随分な言われようだなぁ、オレがお前になんかしたかぁ?」
「あぁしたさ…僕からその力を横取りした。僕がこの世界の英雄になる筈だったのに!君みたいなバカで間抜けでクソほどの魔力しかない奴がその力を…!」
京はため息をつき、美月に答える。
「確かにオレはバカで間抜けでクソかもだけど…これだけは分かる。」
目を閉じると、これまでイナと過ごした日々が思い浮かぶ。メチャクチャで、少し抜けていて…とても優しく、温かい人だった。
「優しいからかしらねぇけど、イナはオレの為に力をくれた。お前じゃなくて、オレ!」
「もういい…君はもう喋るな…!」
美月が二本の柱を展開し、柱から剣を取り出す。
「でもよ、お前が悪い奴でよかったぜ!良い奴だったらちょっと申し訳なかったからな!!」
京は足に力を集中させ、美月の元へ走る。地を蹴ったその時、そのパワーに京は驚いた。あっという間に美月の目の前まで迫ると、顔面に向かって全力で拳を振るう。京の拳は『完全防御』によって防がれるかと思ったが…その拳は美月の顔に直撃した。美月は京のパンチが直撃し、数メートル吹っ飛んで動かなくなった。
「いッッてぇー!!また拳が割れちまったァ!」
イナの力と合わさって無類の火力となったパンチが反射され、京の拳はぐちゃぐちゃになってしまった。しかし、数秒経つと拳の傷は治り元通りになった。
「うお!すげぇ!!」
治った拳を握り、美月の元へ向かう。美月がフラフラと起き上がる。すると柱から猛烈な量のレーザーが放たれ、京はレーザーを避ける為に美月と距離を取ったが、レーザーは校舎に直撃する。
「バッカ!!校舎には人が…!」
校舎は爆発して崩れていく。
「桂威…京…!!」
美月は顔を押さえ、京を睨みつける…。
「こんのクソヤロぉ…!」




