第六十話
次の日学校に行くと、アイリスとザック、ビビが京を心配してくれた。
「昨日は大丈夫だったの?!すごい血吐いてたよ…?!」
「え?あー余裕だって。道端のキノコ食ったせいだった」
「ええ…?なにそれ!」
三人はまんまと騙されたようで笑っている。
(なんか…これで信じられるのムカつくな。コイツらはオレが道端のキノコ食うやつだと思ってたのか…?)
授業では、魔力は使わなかった。またあんな苦しいのはゴメンだったからだ。それから授業が終わり、京は放課後美月の元へ向かった。
「…てことがあってよ…」
「…君は大丈夫なのかい?」
美月は思ったよりも京のことを心配してくれている。強くていけすかないが、いい奴なのかもしれない。
「今は全然動けるけどよ…あと一週間でオレ死ぬんだよ」
「…」
美月は少し黙っていたが、口を開いた。
「死んだらいいんじゃないの?」
「は…?!」
一瞬でも良いやつかもと思った自分をぶん殴りたい。
「あの力は世界を救う力…僕のような者に相応しい力なんだ。それを…君みたいな無能に渡すなんて…くっはは…」
「んだとォ…?!うっ…?!」
また心臓が痛む。口からは血を吐き、京は倒れた。
「まぁ君はさっさと死んだ方がイアスさんの為だよ。そこでそのままのたれ死んでくれ。」
笑いながら美月は去っていった。しばらくすると痛みが引いていき、京はなんとか立ち上がった。
「…クソっ」
血の色がどす黒くなっている。あまり時間がないという現実を突きつけられ、京は焦燥感に駆られる。
「…死んだ方がいい、か…」
五日後。京は学園に行かなかった。行かなかったというより…行けなかった。
「ダメだ…腕に力が入らねぇ…」
あれから京の体の不調は増えていった。最初は味覚がなくなり、味も匂いも感じなくなった。目は見えるが、色がない。好きだった夕焼けも、今ではモノクロになってしまっている。そして今日、今まで感じていた痛みが消えた。体にも力が入らない。
「オレはあとどれぐらいで死ぬんだ…?もう歩けるかも怪しくなってきたしよ…」
外は夜なのだろうか。すると、京の部屋に見覚えのある男が入ってくる。
「 」
ウォンだった。学園に数日来ていないことに気づいて来てくれたのだろう。
「あぁ…ウォンなのか?」
ウォンは不安そうな顔でなにか喋っている。
「 」
「聞こえねぇ…ウォン、オマエの声が聞こえねぇんだ…」
ウォンの表情が固まった。しばらくすると、ウォンはポケットからネックレスのようなものを取り出して、京に渡した。
「…お守りみたいなもんか?サンキュー、ウォン。」
その日、京はイナの元へ向かった。今までは楽だった道のりが、今ではとてつもない距離に感じる。何度も転んで、やっとイナの家についた。いつものようにドアを三回ノックすると、イナが出てきた。
「 」




