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第五十二話

「君もっつったか…?じゃあお前、転移者なのか?!」

「そうなんだよ。先週ぐらいに急にこの世界に来ちゃってね…右も左も分からないところを、この学園の副校長のドグマさんに拾ってもらったのさ。」

男は笑いながら言った。確かに言われてみれば、来ている服もブレザーで、この学園の生徒がよく着ている服とはちがう。きっちりと結ばれたネクタイが、彼が几帳面であることを物語っている。

「僕は美月 涼(みづき りょう)。今日から入学なんだ。君は名前、なんていうんだい?」

「あぁ…オレは桂威 京だ。」

「京くんか…!見た感じ年はそこまで変わらなさそうだね。君は何学年なのかな?組は?」

「今年入ったばっかだぜ。組は二組だ。」

「二組?僕と同じクラスじゃないか!教室まで案内してくれないかい?」

「えぇ…まあいいけどよ」

京は美月を連れて教室まで戻った。正直教室に戻りたくない。戻ってもアイリスやクラスメイトたちにイライラするに違いないからだ。しかし、そんな事情を知らない美月は話を続ける。

「君は転移してどれくらいなんだい?」

「あー…多分ニヶ月ぐらいかな。やっと生活にも慣れてきた」

「そうか。僕たちも大変だよね。いきなり『闇の主』を封じるだのなんだのと言われて…」

…?聞き間違いだろうか。今、『闇の主』と聞こえた。

「オイ…今、なんて言った…?」

「だから、『闇の主』を封じて欲しいって…」

「それ誰に言われた?!なんでソイツの事知ってんだ?!」

『闇の主』のことなど、知っている人間はかなり限られてくるはずだ。それなのに、なぜ転移したばかりのコイツがその名前を知っているのか。そして、誰に頼まれたのか…?そもそも、何故このタイミングでこの学園に?

(この学園の副校長に拾われた…とか言ってたな。コイツにはなんか…あるのか?)

「美月クンはよ…なんでその副校長に拾われたんだ?」

「あー…目の前に『金色の門』があって、その門をくぐったらここに着いたっていう風に説明しただけだよ。」

金の、門…イナから聞いた言い伝えと同じだ。つまり、コイツは…

「オマエが…言い伝えのヤツってことか?!」

京が怒鳴る様に叫ぶと、美月は不思議そうな顔をした。

「どうしたんだい急に…君も門を通って来たんだろ?」

違う、違う…京が通ったのは普通の扉。この二人の間で、大きな格差が生まれた。

「あ、ここが教室かい?ありがとうね京くん!さ、一緒に行こう」

そう言うと、美月は教室へ入っていった…。

 


 

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